ドロップハンドルはスポーツバイクのアイコンです。フラット、ライザー、チョッパーなどはオートバイに使われますが、この特徴的なハンドルは自転車にしか見られません。
ロードレーサー、トラックバイク、シクロクロス、そして、ニュージャンルのグラベル、アドベンチャー、オールロードのハンドルがドロハンです。
ドロップハンドルの基本構造
フラットバー、ライザーバー、カマキリ、スワロー・・・これらの一般的なハンドルは直観的でシンプルです。初心者や子供が自転車にまたがっても、おのずと正しい握り方をします。
他方、ドロップハンドルはすんなりと感覚に訴えません。直感的に正しい握り方をできる人はまれです。
部位の名称
未知のものは不安をもよおします。手始めにドロップハンドルの構造を解き明かして、心の中の???の数をへらしましょう。
さきほどのCANYONのハンドルバーで説明します。白抜き!
- 緑=フラット
- 黄=ショルダー
- 赤=ブラケット
- 青=ドロップ
さらに細分化すると、バーエンド、ブラケット先、ステム横などを追加できます。
ブラケットが安定
ドロップハンドルのグリップの基本はブラケットです。肘を軽く曲げて、ここを握ると、バランスよく体制を保てます。万能ポジション。
フラットやショルダーはややアップライトになって、フラットバーやライザーバーに近くなります。ヒルクラ、流し、ゆったりモードにベストです。
ドロップは上級者向けです。前傾を深くして、空気抵抗を減らし、スピードを出せます。ただし、視野が狭くなり、上半身が不自然になります。ハイリスク、ハイリターン。
個人的なおすすめのポジションはブラケットです。
サイズと寸法
ドロップハンドルのサイズは3つの数値からなります。幅、リーチ、ドロップです。
採寸の目安は芯から芯
採寸の目安はハンドルの芯から芯です。チューブ、パイプ、筒系パーツの測り方は基本的にこうなります。アルファベットではC-CはCenter to Centerです。
幅はバーエンド部分の芯-芯の距離です。ドロップハンドルでは必然的に下ハンが基準になります。大半の日本人の肩幅は40-46に収まります。
後述のフレアバーのような特殊形状では下ハンと上ハンにギャップが出ます。サイズ、タイプ、用途をしっかり確認しましょう。
リーチ、突き出しは上ハンの芯からカーブの最先端の芯までの距離です。こことステムの長さを検討して、総リーチを決めます。
ドロップは上ハンの芯-バーエンドの芯です。前傾姿勢の深さを左右します。
クランプ径
最近のドロハンのクランプ部分の太さはほぼ31.8mmです。25.4mmや26mmはすでにイレギュラーですし、さらに太い35mmは時期尚早です。
オフロードバイクのステムもだいたい31.8mmです。35mmは一部の過激なDHバイクやフリーライドバイクばかりです。
ためにロード系ステムにMTB系フラットバー、MTB系ステムにドロハンみたいなちゃんぽんが可能です。
ドロハンの形状
さて、ドロハンの構造とサイズの測り方が分かりました。これでどんなドロハンもお茶の子さいさいでしょう。つぎの項目はドロハンの形状です。
シャロー
上図の左の白いのがシャローです。俗称は丸ハンです。カーブのところが曲線です。伝統的なドロハンです。
ちなみにshallowの意味は英語で『あさい』です。シャロー=あさいカーブのドロップハンドルです。中級者向け。
ディープ
で、対義語がディープです。グリーンのやつです。ドロップ部分が深く大きくなって、より過激な前傾姿勢が可能になります。
ドロハンの歴史的にはディープ→シャローになります。シャローの誕生以前のディープはディープでなく、スタンダードなノーマルです。
現在、ディープはドロハンの主流じゃありません。かように時代の流れでメジャーがマイナーに、マイナーがメジャーになります。上級者向け。
アナトミック
黄色のものがアナトミックです。下ハンが丸みを帯びず、直線風になります。カクカクなルックスがクールです。
難点は下ハンからのレバーの遠さです。小さい手、短い指の人には向きません。げんにぼくはうまく使えません。
アナトミックシャロー
アナトミックシャローはアナトミックとシャローのハイブリッドの末っ子です。両者のいいとこどりです。つまり、最後発のドロハンです。
下ハン部分はカーブを描きますが、シャローやディープみたいな丸みを帯びません。最近の完成車付属のハンドルバーはほぼこれです。初心者、女子、小さい手の人向け。
フレア
フレアは末広がりタイプのドロップハンドルです。下ハンが外側に放射状に広がります。
グリップを広く取れば、ハンドルをらくにコントロールでき、荒れ地や段差をスピーディに走破できます。
80mm以下のショートステム、寝かせ気味のヘッド角みたいなMTB発の技術とともにオールロードやグラベルバイクへ進出します。
ホバー
ドロハンの最注目株がCANYON GRAILのホバーハンドルバーです。フラット部分が二段式です。
ポジションが一気に倍増しました。非常に合理的です。独特の見た目が人を選びます。案の定、業界内外で賛否両論が巻き起こりますが、話題性はばっちりです。
あと、こんなキワモノを外置きにすると、まちがいなくいたずらの標的になります、ははは。
オールロード系のパーツの進歩は圧倒的に自由奔放です。古参のローディの心境はふくざつでしょう。でも、ドロハンはべつにピュアなロードレーサーの専売特許ではありません。
おすすめドロハン
ドロップハンドルのおすすめブランドのベスト1はTecnologia del Tubo Torinese、通称3Tです。トリノの自転車パーツ屋さんです。
2016年からフレームに参入して、意欲的なバイクをつぎつぎ発表します。
ここの看板商品がハンドルです。AERONOVAがぼくにぴったし来ました。
アルミのは2万、カーボンのは4万です。お安い買い物じゃありません。でも、握りやすさとルックスはピカイチです。完成車付属の純正品とは別次元だ。
EASTON、DEDAみたいなチューブメーカーのハンドルも好感触です。
国産派には日東です。埼玉県のしにせの自転車ハンドル屋さんです。
良いブランドはいろいろあります。でも、候補をむやみに挙げても、アイテム数を把握しきれません。有力な4、5社から好ましいものをしっかり吟味しましょう。