オフロードのスポーツバイクではディスクブレーキが主流です。また、この数年でオンロード系のバイクにもぶわっと普及しました。
ドロップハンドル+ディスクブレーキはもうキワモノではありません。
当初のアレルギー的なアンチディスクブレーキ派の声もやや小康状態になりました。当の自転車業界がキャリパーブレーキの締め出しにやっきです。
以下で初心者向けの自転車用ディスクブレーキ講座をはじめます。
ディスクブレーキのいろは
自転車機材の宿命でディスクブレーキの規格はばらばらです。
- IS=インターナショナルスタンダード
- ポストマウント
- フラットマウント
クロスバイクやエントリーMTBのリアホイールの台座はだいたいISです。一方、ディスクブレーキキャリパーの主流はポストマウントです。
上のピンクのところがディスクブレーキアダプターです。これはIS to ポストマウントのアダプターです。
これはポストマウント to ポストマウントのアダプターです。台座を底上げしてローターを大きくするときに使います。
ディスクロードの台座はフラットマウントでほぼ確定しました。デフォルトのローターサイズは140mmです。
いずれの規格もパッドでローターを挟んでホイールをブレーキします。これはFormula RXのパッドです。
HOPE E4のパッドです。
メーカー、モデル、年式で違います。入手の難易度や価格はまちまちです。
ローターの取り付け規格は二種類です。シマノのセンターロックタイプ、そのほかの6穴タイプです。
ボルトは星型で、サイズはT20-25のトルクスドライバーです。
センターロックタイプの取り付けにはスプロケット工具を用います。
パッドとローターのクリアランス調整
本題のメンテナンスです。ディスクパッドとディスクローターのクリアランスを調整します。
どんなときにメンテをするか? たいがいのトリガーは音鳴りです。
なにかの拍子や経年使用でパッドかローターがずれると、ホイールの回転時に音鳴りがします。しゅ・・・しゅ・・・しゅ・・・みたいに。
これがじみに耳障りです。実際、これはブザーの警告音のようなものです。
そんなときにはディスクブレーキのキャリパーの内部に目を凝らします。
これはベストポジションです。右側のクリアランスがやや不均等ですが、この程度は誤差の範囲です。左側はパーフェクトです。
パッドとローターの隙間は1mm以下です。調整の余地はシビアです。ボルトの締め付けトルクでどっちかがずれて擦れるとかしますし。
ポストマウントのディスクブレーキのキャリパーのクランプ穴です。
手前の横長の楕円です。奥のまん丸はフォークのネジ穴です。
こっちはキャリパーとアダプターです。
ポストマウントのディスクブレーキキャリパーはこの横長の取り付け穴のおかげでクリアランスを調整できます。
先述のISはこれの前世代の規格でなんと調整不可です。一発固定ワンポイント勝負です。男らしいマウントだあ! で、案の定、廃れました。
ボルトの締め方のコツは均等&じわじわです。片側を先にがっちり締めちゃうと、もう一本のネジ止めのときに苦戦します。
三往復ぐらいしながらじわじわ締め上げるのが必勝法です。
ホイールを逆転(フリーを鳴らさないように)させて、音鳴りを確認しましょう。あと、クリアランスをはっきり見分けるために屋外であかるい時間帯にやる。
レバーを引かない、ローターを触らない
メンテの際の特記事項は二つです。レバーを引かない、ローターを触らない、です。とくにオイリーな手でローターを触ると、ブレーキ力をあっさり半減できます。
油圧の場合、ホイールやパッドを外した状態でブレーキレバーを引くのは禁物です。パッドが密着する、油圧のピストンが戻らない、ケーブルにエアが入るなどなどの不具合が生じます。
まあ、ぼくもときどき忘れて、レバーを引いちゃいます。ピストンを戻すにはへら状のものを使いましょう。ペーパーナイフがおすすめです。
マイナスドライバーでごりごりやると、ピストンのふちをパキッってやっちゃいます。
メカニカルディスクにはパッド調整ボルトがある
たまたまメカニカルのディスクブレーキキャリパーがジャンク箱にありました。どこのやつだあ?
Vブレーキと同様にインナーケーブルを付けて、ピヴォットでパッドを動かします。アジャスタボルトとインナーケーブル固定ネジがあります。
機械式のキャリパーにはパッドの調整ボルトがあります。これをぐりぐりすると、パッドだけを動かせます。
これで微調整できます。