ペダルからギシギシ異音発生 原因究明と解決方法

自転車趣味が高じて、スポーツバイクが二台三台四台五台とふえると、愛情が分割され、目がとどかず、整備がおろそかになります。

待遇は保管場所に出ます。メインのMTB兼ツーリングオールロードは愛犬のように屋内に鎮座します。

一方、サブのフラットバーピストロードバイク兼万能物干し台は野ざらし、雨ざらし、ロックフリーで屋外に放置されます。ハンドルが靴干しにぴったりです。

ロードバイク兼万能物干しざお
ロードバイク兼万能物干しざお

ペダルからギシギシキーキー

こんなブラックな扱いを受ける車体はもうれつないきおいでへたります。雨、風、陽はせんさいなスポーツバイクには毒です。

が、サブ機の宿命で片道10km前後の活動範囲にしか出向きません。用途は街乗り、おさんぽ、おかいものです。完全にサンダルの感覚です。

多少の不整備や不具合を無視しても、行き帰りには困りません。しかし、こいつはスポーツバイクのはしくれです。ママチャリみたいなノーメンテのツケは早く出ます。

犯人はBBだ?

先日の堺市への往復が日常範囲の10kmを超えてしまいまして、余分な負荷を車体にもたらします。帰路の道中からペダリングのたびにギシギシ異音が鳴り出しました。

発信源はこのへんです、BBまわり。数々の前科からここがまっさきにうたがわれます。中華の安い圧入カップがわるさをしやがったか?

ん? 右のBBカップのふちをよーく見ると、ちょっとしたあそびを確認できます。あー、これはいつものあれですね。

チャリを降りて、右アームをゆすります。はい、ゆっるゆるのがったがたです。

クランクゆっるゆる
クランクゆっるゆる

黒幕はクランク!

これは取り付けの締め付け不足のたまものです。MBT、マイベストトルクでこのクランクのネジをてきとうにしめると、よくよくこの末路を迎えます。そして、チェーンのサビが強烈です。

修理はかんたんです。8mmアーレンキーでクランクのまんなかの固定ボルトを増し締めすればガタをなくせます。

しかし、サブバイクのかなしさで携帯工具がありません。ツールはメイン機のシートチューブのフレームバッグのなかです。

梅田のウエムラパーツサイクルもうでをあきらめて、トルクを強くせず、ペダルを甘くふみながら、ギシギシギシギシておうちへ引き返しました。

コッタレスクランクはゆるむ

現行の自転車のコッタレスクランク、中空シャフトはともに圧入タイプです。クランクシャフトにクランクアームをはめて、ボルトで固定します。

これはスクエアテーパーのクランクのBBです。

Miche Primato Advanced クランク
Miche Primato Advanced クランク

左右のアームの四角いソケットをBBの四角い軸にはめて、固定ボルトでぐいぐい圧入します。この接合部はつるぺたです。返しやストッパーがない。

中空シャフトもおんなじです。アームのソケットとシャフトの接合部には返しやストッパーがありません。アームはシャフトにぎゅっ! とはまった状態です。

なつかしのピン付きコッタード

返し、ストッパー付きのクランクシステムは大昔にありました。ふっるいロードやランドナー、ウェルビーとかセキネとかの実用車のクランクがそうです。

パースセキネ
パースセキネ

このぼやけた写真では詳細が見えませんが、クランクの根元にピンがつきささります。これがコッターピンです。脱落防止のストッパーです。

一見、圧入タイプより合理的なシステムに見えますが、このコッタードクランクはよりしんこくな欠陥を持ちます。ピンがジャムると、クランクが自重でだらーんとに垂れ下がる。アームに保持力がない!

破損ピンの交換はやっかいですし、補修部品の調達がハードです。そこらの平成生まれのチャリ屋の手には負えません。セミ・ロストテクノロジーです。

中空もスクエアも圧入式

で、この問題の解決のためにコッターピンなしのコッタレスクランクが誕生します。部品の点数が少なくなり、ソリッド度がまし、剛性と整備性があがります。

固定ボルトはぶっといねじです。スクエアシャフト、中空のホローシャフトは大口径のじょうぶな軸です。これらはちっこいピンみたいにそうそうジャムりません。

ここのトラブルの大方はボルトの緩みかベアリングの不具合です。固定ボルトの締め付けトルクが足りないと、ペダリングのパワーと体重でねじとアームが徐々にゆるみます。

かりにクランクから固定ボルトを完全にはずしてみましょう。そのイメージ図がこうです。

クランクとシャフトの接合部分のイメージ図
クランクとシャフトの接合部分のイメージ図

アームのソケットとシャフトは圧入でみっちみちのぎっちぎちに密着します。でも、返しやストッパーがありません。

ここに人の体重が乗って、それが何百回とつづけば、ゆるみがちりのようにつもり、あげくにガタ、遊び、ギシギシが出始めます。

また、トルク不足のボルトはこのペダリングのパワーと走行中の振動で次第にゆるみます。逆はない。振動でかってに締まるねじはノーベル賞ものです。

しかも、うちのロードは固定ギアです。バックとかスキッドをすると、ペダリング以上の負荷をクランクにかけてしまいます。ゆるみは必須です。

で、ゆるゆるのクランクをさらにふみつづけると、ソケットやシャフトの変形を起こしかねません。即座に締め直せるなら締め直す、できないなら超やさしいペダリングで家まで帰りましょう。

上級者は裏技的にこれを固着クランク外しの奥の手に使います。たしかにハンマーがしがしバンバンより町内一周ペダリングのが効率的です。

そんなこんなでおうちに着きました。じゃあ、固定ボルトが手で回りました。とりはずしの手間がはぶけたぜ!

ワイプオールでそうじ、グリスでメンテ

さて、固定ボルトを締め直せばすぐに再生できますが、この機にシャフトのそうじとグリスアップをしてしまいましょう。

魔法の紙布ワイプオールを用いまして、シャフトのよごれをふきふきします。アームの接合部に変形はありません。若干の焼き付け風の黒ずみが見えます。

屋根なし歴3か月ちょいですが、ふちにサビが浮きます。グリスをどっさりぬっても、特段の効果をえられません。室内管理が正解です。

でも、回転はなめらかです。距離を走りませんし、街中のフラットな舗装路にしか行きませんから、路上のちりや砂を吸いませんね。

シャフトをグリスアップします。て、AZ万能グリースがついにそこを尽きました。この500g入りが約二年半でなくなりました。

トルクはてきとう
トルクはてきとう

カーボンクランクとカーボンフレームの手探り増し締めはまあまあ神経質です。