ダイソーニッパーは自転車整備に使えるか? ブレーキケーブルやシフトワイヤーを切ってみる

最新のスポーツ自転車のトレンドは脱ケーブル・ワイヤレスです。変速はほぼ無線電動化して、無線ブレーキの噂さえがちらほら聞こえます。

しかし、一般的な自転車のブレーキやシフターは今も昔も有線・手動です。業界用語で『紐式』です。ブレーキ、シフターの紐のフルセットはこうなります。

各種ケーブル 左・シフト 中・リアブレーキ 右・フロントブレーキ
各種ケーブル 左・シフト 中・リアブレーキ 右・フロントブレーキ

この古典的なケーブルワイヤー類は消耗品です。交換や調整の目安は1、2年です。つまり、世間の大半のママチャリやシティサイクルのケーブル類はあきらかにオーバーユーズです。

自転車ケーブルの調整=カット

具体的な紐の経年劣化です。

  • 外側の被膜が縮む
  • インナーの端っこがほつれる
  • レバーの引きが悪くなる

幾つかの問題はケーブルの張り直しや詰め直しで解決します。詰める=カットする、丈を短くすることです。物理的にケーブルを『足す』は無理ですから。調整=カット=短くするです。

ケーブルカッターでやると?
ケーブルカッターでやると?

自転車ケーブルやワイヤーの調整にはパークツールやホーザンなどの自転車工具専用ケーブルカッターが理想です。しかし、これらはおおむね数千円の高級品です。ケーブルも詰まるし、財布の中身も詰まってしまう。

で、庶民はライトなDIYの駆け込み寺のダイソーへ行って、ケーブル取り回しのための工具を調達します。

ダイソー工具コーナー
ダイソー工具コーナー

はい、ニッパーですね。右上が100円、左上が200円、下が300円です。

価格の違いは台座の型紙と本体の重さです。100円のやつはあきらかにチープ、200円はそこそこです。

これとべつにダイソーケーブルカッターが存在します。が、今回はカット能力の比較のためにあえてのニッパーです。

ダイソーニッパーでケーブルカット

今回の主役のダイソーニッパーです。ニッパー=汎用カッターです。

ダイソーニッパー開き
ダイソーニッパー開き

で、こちらがケーブルカッターです。ケーブルカッター=ケーブルワイヤー専用です。パークツールのこれは自転車ケーブル専用のカッターです。3000円の高級品です。

パークツールケーブルカッター
パークツールケーブルカッター

はい、刃先の形状がぜんぜんちがいます。ニッパーはフラットですが、ケーブルカッターはオウムのくちばしみたいに湾曲します。

ちなみに2020年ごろにあったダイソーケーブルカッターは2026年の店頭にはもう見当たらなかった。昨今の物価高で終売になったか・・・

第一戦・ブレーキアウター

自転車のケーブルワイヤー類は全4種類です。ブレーキアウター、ブレーキインナー、シフターアウター、シフターインナーです。線のサイズ、形状、束ね方がそれぞれ違います。

ブレーキアウターとシフターアウターの比較です。

複数直線のシフターと単線螺旋のブレーキ
複数直線のシフターと単線螺旋のブレーキ

左の結束タイプがシフター用、右の螺旋タイプがブレーキ用です。そして、太さがちがいます。ブレーキアウターがやや太めです。

さて、開幕戦はケーブルカッターのデモンストレーションです。

パークツール vs ブレーキアウター
パークツール vs ブレーキアウター

「ばっつん!」

ブレーキアウター切り口 by パークツール
ブレーキアウター切り口 by パークツール

はい、一撃でした。結局、ブレーキアウターの鋼線は一本の針金のようなものです。なんらの支障はありません。

ダイソーニッパーのお手並みを拝見しましょう。

ブレーキアウター vs ダイソーニッパー
ブレーキアウター vs ダイソーニッパー

「ぱっつん!」

ブレーキアウター切断面 by ダイソーニッパー
ブレーキアウター切断面 by ダイソーニッパー

はい、OKです。太い一本線のブレーキアウターはカッターやニッパーの敵ではない。

第二戦・インナーケーブル

自転車のブレーキとシフターのインナーケーブルは細いスチールの撚り糸です。

で、こんなふうに一本のワイヤーがちょろっとほつれると、上から下までほつれます。まき直しはたいへんです。

ジャンクインナーワイヤーで外し
ジャンクインナーワイヤーで外し

パークツールのケーブルカッター師匠が手本を見せます。

インナーケーブル vs パークツール
インナーケーブル vs パークツール

「ばっつん!」

ニッパーさんが続きます。

インナーケーブル vs ダイソーニッパー
インナーケーブル vs ダイソーニッパー

「ごりごり!」

はい、手ごたえのギャップがあきらかにありました。ニッパーでインナーを切ると鋼線の束の抵抗を感じられます。ばっつん感がない。

こちらが切り口の近影です。見やすさのために黒ケーブルの切れ端を作りました。あしからず。

インナーワイヤーの切り口
インナーワイヤーの切り口

致命的な差はありません。ケーブルカッターの仕上がりは安定です。ニッパーは力を一気にかけないと、高確率でほつれを引き起こします。

断面の荒さや不均等はのちのちにピロピロの悲劇になります。接着剤で切り口を固めましょう。

瞬間接着剤でほつれ防止
瞬間接着剤でほつれ防止

最終戦・シフターアウター

ケーブルワイヤー類のラスボスがシフター用のアウターケーブルです。上記のように細いスチールワイヤーで構成されます。切り口はひまわりか巻きずしみたいになります。

シフターアウターにはブレーキアウターみたいなピンポイント切断が通用しません。

ケーブルカッターは安定のばっつんを披露します。

シフターアウター 切り口 by パークツール
シフターアウター 切り口 by パークツール

一方のニッパーはこのざまです。

シフターアウター vs ダイソーニッパー
シフターアウター vs ダイソーニッパー
一回ではむり
一回ではむり

手ごたえは「むにょん!」です。カット感は皆無です。

これはひとえにニッパーのフラットな刃先のせいです。ニッパーの刃はケーブルカッターのように交差しません。カットがフラットな部分で止まります。爪切りとハサミの差。

で、上みたいに圧縮まで行けても、切断まで行けません。じわじわ押しつぶせるが、一気に切り落とせない。方向を変えて、二度切り、三度切りをせねばなりません。

ダイソーニッパーの戦績

この300円のダイソーニッパーの実用度はそれなりです。無論、ケーブルカッターの方がケーブルカットには向きます。奇跡の在庫をダイソーの店頭で見つけたら即効で確保しましょう。

通販で買うなら、ホーザンかパークツールのやつを検討しましょう。どちらもプロ仕様の自転車屋の定番品です。