ここではMTBのフロントハブのシールドベアリングの交換手順を解説します。
ハブのベアリング方式の基礎
自転車ホイールのハブには主に2つのベアリング方式があります。
| 方式 | 特徴 | メンテナンス性 |
|---|---|---|
| カップアンドコーン | 鋼球とレースを組み合わせ、調整可能 | 分解・清掃・調整が必要 |
| シールドベアリング | 密閉型のベアリングユニット | 交換前提、分解は非推奨 |
シマノハブは長らくカップアンドコーンでしたが、近年の新作ハブはシールドベアリングになりました。
カップアンドコーンの特性
カップアンドコーンは「メンテナンスしやすい」と言われます。ほんとか? 実際には以下の点がネックです。
- エンドキャップ外しに専用サイズのハブレンチが2本
- シャフト外しに大型のアーレンキー(10mm〜12mm)
- 鋼球の再配置に手間がかかる
とくにベアリング戻しはなかなかのハードモードだ。不器用な人はここで詰む。
一方、調整の自由度や耐久性は事実です。
シールドベアリングの特性
シールドベアリングは密閉されたベアリングユニットです。分解して内部を清掃・グリスアップするのはメーカー非推奨です。
パッキン内部の型番で特定し、新品と交換するのが正しいメンテナンス方法です。

準備する工具と部品
事前にハブのベアリング情報を確認しておきましょう。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | パッキンに記載(例:6803 2RS) |
| 個数 | フロント2個、リア4個(一般的な構成) |
| 調達先 | 自転車専門店、通販、オークション |
今回、ヤフオクで自転車好きっぽい出品者から2個セットを買いました。

必要な工具
- ベアリングプーラー(専用工具)
- 自作圧入工具(ナット、筒、旧ベアリングの流用)
- ウェス・ちり紙
- ゴムハンマー(※直接叩かない)
専用工具はメーカー製で約2万円、ジェネリック製で約4,000円です。予算に合わせて準備してください。今回は自作工具で作業を進めます。
旧ベアリングの取り外し
ステップ1: アクスルシャフトを抜く
シールドベアリング・スルーアクスルタイプのシャフトは圧入式です。ハブレンチ用のスリットやアーレンキー用の六角部は見当たりません。

アクスルシャフトの取り外しは以下の方法です。
- ハブを床に軽く叩きつける
- ゴムハンマーでアクスルを叩く
- DIY工具で圧入の逆方向に押し出す(推奨)
上2つはハブやホイールにダメージを与えます。専用工具やDIY工具で慎重に押し出す方法が安全です。
ぼくは手元の工具箱から適当なものを抜き出して、見切り発車でセットしました。

ドライブ側のボルトを締め、反ドライブ側にシャフトを押し出す作戦です。手前のナット下の筒はシャフトに直に接触し、反対側(ソーガイド)はオープンになります。
で、作戦がうまく行きました。

ステップ2: 旧ベアリングをハブから取り外す
アクスルを抜いた後にベアリングを取り外します。これもうまく行きました。

取り外した旧ベアリングはごりごりでした。ピンマイクが容易に音を拾ってしまう。再利用は困難です。

新品ベアリングの圧入
新品ベアリングの圧入は取り外しの逆の手順です。ただし、以下の点に注意します。
- 斜め圧入を避ける:ベアリングが傾くとハブ内部が傷つき、回転に悪影響が出ます
- ゴムハンマーで直接叩かない:ベアリング内部が損傷します
- 水平圧入を心がける:自作工具や専用工具を使って均等に圧入します

斜め圧入はスターファングルナットやプレスフィットBBでもよくある失敗例です。必ず水平を保って圧入しましょう。
自作工具を使った圧入手順
以下の構成で水平圧入を行います。
- ナット
- 筒(スペーサー)
- 旧ベアリング(当て板として使用)
- 新品ベアリング

力を入れすぎず、ゆっくり均等に圧入します。
アクスルの出代を確認
ベアリングを完全に圧入したら、アクスルシャフトを通し、左右の出代(突出量)を確認します。

OKです。
車体に取り付けて回転を確認します。

スムーズです。完全復活!
適切なメンテナンスを行えば、安定した性能を維持できます。
作業のポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| シールドベアリングの扱い | 交換前提、分解は非推奨 |
| 型番の確認 | パッキンに記載の型番を事前に確認 |
| アクスル外し | 圧入の逆方向に押し出す |
| 圧入方法 | 水平に、優しく押し込む |
| 工具 | 専用工具(約4,000円〜)または自作工具 |
よくある質問
シールドベアリングの交換頻度はどのくらいですか?
使用環境によりますが、一般的に2〜3年が目安です。雨の日に頻繁に乗る場合や、砂埃の多い道を走る場合は、異音や回転の渋りを感じたら早めに交換してください。
シールドベアリングを分解して清掃してもいいですか?
メーカー非推奨です。パッキンをこじ開けて内部を清掃・グリスアップする方法はありますが、性能保証外になります。交換用ベアリングは安価に入手できるため、新品と交換するのが確実です。
ベアリングの型番はどこで確認できますか?
ベアリングのパッキン(ゴム製の蓋)部分に刻印されています。6803 2RSや6903などが自転車ホイールで一般的です。事前に確認してから新品を注文しましょう。
専用工具がなくても交換できますか?
自作工具(ナット、筒、旧ベアリングの組み合わせ)で代用可能です。ただし、斜め圧入や過度な力は避け、水平に押し込むよう注意してください。頻繁に作業する場合は専用工具(約4,000円〜)の購入を検討すると効率的です。
フロントとリアでベアリングの個数は違いますか?
はい、異なります。一般的にフロントハブは2個、リアハブは4個のシールドベアリングを使用しています。ハブの構造によって異なる場合があるため、事前に確認してください。


