担任の先生は言いました。
「みなのしゅう、おうちに帰るまでが遠足ですえ」
ザ・金言です。これこそはアウトドアの基本で、奥義です。ありがたい校長先生の長話はこれっぽっちも頭に残りませんが、担任の先生のこの言葉は深く残ります。
でも、なんでバナナはおやつに入らないの?! どうゆう解釈ですか、先生!
「く、くだものはノーカンぽいですえ」
なにー! じゃあ、ドライフルーツは? バナナチップスはノーカンですか? みかんの缶詰は? ねーねーねー。
「うるせー」
サイクリングはアウトドア
趣味の自転車はアウトドアのひとつです。扉の外には危険がいっぱいだ。なにがしかのトラブル、イレギュラーは不可避です。
アウトドアのもうひとつのだいじなおきてが自力救済です。自分のケツを自分でふくこと。ひとさまをあてにしない。好意にあまんじても、迷惑をかけない。
そもそも郊外の夜道には人気がない。
50kmを走れるスポーツバイクではこんな場面はめずらしいことじゃありません。
自走不可! さあ、どうする?
チューブラー、クリンチャーのパンクは空気チューブ、チューブレスはタイヤそのものの損傷です。
ことさらにロードバイクの軽量薄型チューブはちょっとやそっとでパンクします。
で、安全安心のチャリ活には予備チューブ、予備タイヤ、パンク修理キット、携帯空気入れ、マルチツール、救急セットなどが必須です。
これを携帯しないと、すっきりと遠出できません。車体を気遣いながらちょろちょろ神経質に走るのは楽しいものではない。
で、ここまでそろえれば、たいていのトラブルから立ち直れます。90%の日常的な非常事態から復帰できる。
しかし、10%の脅威は不意におそいかかります。
そして、外でのメンテナンスや修理はアウェーです。アウトドアの現場では100%の実力は出ません。気持ちがはやって、指先がおぼつかず、集中がみだれます。
パンクからのチューブ交換からの再パンクはありえます。気が焦って、ビードのかみこみのチェックや異物の除去や空気入れがおそまつになる。
小型の携帯ポンプで高圧・大容量にするのはしんどいものです。
低圧のクリンチャーはここからリム打ちして、再パンクの悲劇にあいます。ロングライドで予備チューブ一本は安全地帯ではありません。
てくてく歩く
距離と時間と装備によりますが、もっともかんたんな安上がりな方法が徒歩です。来た道をてくてくと戻る。
スポーツアプリのSTRAVAにはウォーキングモードやランニングモードがあります。この機会に記録しましょう。
これは実際のバーストパンクからの徒歩記録の記録です。
記録は17.9kmですが、実際は20kmちょいです。現地写真が16:00、帰宅が20:00でしたから。きっちり4時間のチャリ押しウォークです。
チャリ押しウォークでは手を大きく振れません。体の芯と足の力でてくてく歩きます。モーションとリズムはペダリングにそっくりです。
この方法はビンディングシューズではハードです。ロード用ではむりですね。つまり、フラットペダルが攻守に最強です。
あと、車輪が回らないと、押し歩きが不可です。チェーンがリアハブにからむとか、カセットがディレイラーをまきこむとか。
担ぎ移動は異次元のつらさです。ぼくは5kmしかできません。
電車でGO
駅までどうにかこぎつけて、電車でおうちへGOします。
しかし、バイクの状態がどうであれ、車種が何であれ、自転車は持ち込み荷物です。電車の車両への持ち込みには輪行袋が必須です。
トラブルのために輪行袋を持ち歩くのはおかしなはなしです。現場駐輪、駅前駐輪が現実的です。じゃあ、盗難と撤去の不安がつきまといます。
駐輪場に置いて、後日に回収しましょう。ロックのかけ方の参考例はこちらです。
バスはむり
ロードバイク乗りがこよなく愛する峠には線路がつながりません。が、バスはけっこうな山奥まできます。
速度域を同じくする路線バスとローディのデッドヒートは日本の山の風物詩です。
で、ふつうの市バスや路線バスは基本的に自転車を載せません。輪行も車載もNGです。
車載や輪行できるのはしまなみエクスプレスとか伊予鉄サイクルバスとかビワイチバスとかのサイクルスポット周辺の一部の特殊なバスだけです。
それから、バスの運転手ないし職業ドライバーの全般はサイクリストを毛嫌いします。世界共通の傾向です。
タクシーは△
電話一本で現場に呼べるのはタクシーです。こちらの運転者の方々も自転車乗りには良い感情をいだきません。
一部のタクシー会社はキャリア付きの車両を何台か抱えるとか、ワゴンタイプを派遣するとかのサービスを展開します。連絡時に自転車運搬の旨を報告するのがきちです。
抜き打ち交渉ではこちらが圧倒的に不利になります。運転手は一定の条件の客を拒否できます。車体がいちじるしく汚れる、備品が壊れる、とか。
で、自転車のタイヤ、レバー、ギア、チェーンリングは汚れと傷のもとです。ことごとく乗車拒否の条件にひっかかってしまいます。
こんなプーリーの近影はすべてのタクシードライバーを震え上がらせます。
チャリ屋へかけこむ
日本の原風景、それは自販機とコンビニとイオンとサイクルベースあさひのヘビーローテーション・コピペマップです。
なにはなくとも、イオンはあります、野に山に谷に。郊外店は大型だ。そして、大型店にはイオンバイクがあります。
イオンバイクやあさひはファミリー向けの店舗です。本格整備やなじみの店には力不足ですが、かけこみ寺には十二分です。
とりあえず、10kmをふつうにてくてく歩ける体力と気力がなければ、楽しいアウトドアはおぼつきません。
自転車ロードサービス
スポーツバイクが普及して、自転車用のロードサービスが増えました。AU損保の自転車保険のオプションなどが有名です。
注意点です。
- 運搬車両の到着まで1~2時間
- 距離は有限
- 人の運搬は不可
そうです。ロードサービスはあくまで車両の運搬サービスです。人間の運搬には対応しません。
基本的にライダーは車両に自転車を預けて、自力で帰還します。ロードサービスのトラックはタクシーでも送迎バスでもありません。
が、おおむね交渉で助手席に乗れます。そもそもロード用のビンディングシューズでは100mすらまともに歩けませんしね。