日本のビールの酒税は350ml/70円です。本体の約30%が税金です。もちろん、消費税は別途です。ビールを飲むのは税金を飲むようなものです。
そして、コンビニの定価のビールもスーパーの特売のビールも350ml/70円です。そう、セール品の方が高税率です。
Uber Eats などのフードデリバリーの手数料は約35%です。1000円の料理の350円が運営元の儲けです。出前の料理を食べるのは手数料を食べるようなものです。
これを頭で漠然と理解しつつも、カラカラに乾いた喉は税金汁を、ペコペコに空いた腹は手数料飯を厭いません。
ここではフードデリバリーの料金が妙に割高になる仕組みを解説します。
フードデリバリーの仕組み
フードデリバリーアプリはこの数年来の新興サービスです。寿司と蕎麦とピザの出前しか知らなかった日本に革命をもたらしました。
今やトレンディーなタピオカやおしゃれなパスタがワンクリックで届きます。
差額は手数料
さて、問題です。上の貢茶の黒糖ミルクティー+タピオカトッピングの料金はいくらでしょうか?
正解は770円。店頭650円より20%の特別価格です。貢茶はテイクアウト系の大手チェーン店ですから、手数料の割り増しは平均より控え目です。ちなみに配送料は別途です。
タピオカのトッピングが非常に明朗会計です。店頭が80円、menuの注文アプリが100円ですね。もちろん、容量や品質は同じです。
差額の20%は何でしょう? これは加盟店がフードデリバリーサービスに支払うアプリの手数料です。
加盟店はデリバリーアプリを店舗に導入して、注文者のオーダーと配達パートナーの手配の斡旋を受けます。この斡旋料金が手数料であり、貢茶では20%です。
しかも、20%はフーデリの手数料的には非常に低率です。店舗数や知名度を持たない個人の飲食店や中小展開のローカルチェーン店の平均利率は35%です。
一部のフードデリバリーはさらに加盟店登録料を取ります。これが5万円くらいです。仲介、紹介、斡旋は非常においしい商売です。
飲食店はこの手数料や登録料を自腹で賄えません。仮に35%の天引きを自己負担すれば、利益率の激減を招いて、早晩に潰れてしまいます。
結果、店頭では750円のラーメンがフードデリバリーでは1000円になります。これは理不尽な搾取のようですが、入手経路や流通網で価格が変わるのは普通のことです。
フーデリ=IT企業の出前マッチング
出前館は出前の会社です。飲食物の宅配から始めて、LINEの子会社に収まりました。出自が生粋の配送業です。
一方のUber Eats やDiDi FoodやfoodpandaやWaltなどの海外系のフードデリバリーサービスは出前館のような出前屋ではありません。本質はIT企業です。
実際、Uber Eats やDiDi FoodはUber社やDiDi社のフードデリバリー部門に過ぎません。本業は自動車のシェアライド、マッチングです。出前は副業だ。
- 出前マッチング=Uber Eats など
- 飯屋マッチング=食べログ
- 家電マッチング=価格ドットコム
- 民泊マッチング=Airbnb
- 異性マッチング=出会い系
- 結婚マッチング=結婚紹介所
結婚紹介所では店頭、出前館では電話やFAX、価格ドットコムや食べログではブラウザ、Uber Eats やAirbnbではアプリと窓口が変わります。
しかし、収益の柱は紹介料、仲介料、広告料、手数料、斡旋料、サービス料などなどの泡銭です。
これをグローバルデザインのアプリで全世界でガンガンやれば、ほんの数年でUberのような巨大企業になれます。
出前館は国内では人気ですが、海外では無名です。元々が生粋の出前屋であって、IT企業ではありません。アプリやシステムの完成度は外資系のフーデリに大きく及ばない。
出前館のような国内トップがもう少し頑張らないと、外資のIT系フーデリにシェアや手数料を独占されかねません。とりあえず、LINEのバックアップに期待しましょう。
サービス料と配送手数料
さて、これまでの内容は料理代金だけのことです。実際の支払いはこれに留まりません。
フードデリバリーのユーザーは3つです。
- 注文者
- 加盟店
- 配達パートナー
運営元はこの3つのユーザーからアプリ手数料を取ります。配達パートナーも例外ではありません。彼らはフーデリから配達の紹介を受けます。紹介=課金の発生ポイントです!
さて、注文者は加盟店には割高な料理代を、配達パートナには配送料を支払わねばなりません。無論、加盟店と配達パートナーは無関係の第三者です。対価の支払先が異なります。
結果、配達パートナーに支払う配送料は加盟店に支払う料理代金とは別途です。また、注文者自身のアプリ使用料もそれぞれのユーザーとは別途です。
注文者は課金の支払先は以下の通りです。
- 料理代→加盟店
- 配達料→配達パートナー
- 手数料→運営元
実際の注文の明細を見てみましょう。
はい、項目がしっかり3つに分かれます。なぜか? 対価の支払先が違うからです。
で、結果的に店頭でせいぜい900円の牛ハラミBOXがフードデリバリーでは1320円に化けます。
「手数料で牛丼を食える!」
それは店頭の事実であって、フーデリの事実ではありません。昔からマクドナルドの単品セットより割高ですし、ピザの持ち帰りは露骨に半額でしょう?
クーポンとキャンペーンで削るのが前提
プレーンなフードデリバリーの価格設定は庶民の懐には厳しいものです。いや、そもそも出前はもう少し特別なものではなかったか?
マクドナルドでコーラとバーガーとポテトを別々で頼むのは非常識です。セットがお得だから。
同様にクーポンやキャンペーンなしでフードデリバリーを頼むのは賢明ではありません。諸々の手数料が嵩むから。
新規ユーザーの初回注文やお友達紹介コードはだいたい1000円オーバーです。手軽に無条件でランチ代をペイできます。
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