近代のロードバイクの足回りはタイヤ+空気入りチューブのクリンチャーシステムです。糊付けタイヤのチューブラーシステムの後を受けて、りっぱに大役を果たしました。
また、あまたの自転車乗りにパンクのトラウマを植え付けました。クリンチャーシステムの光と影です。
ロードチューブレス時代幕開け
このクリンチャーシステムのピークは2015年ごろです。2015年前後からロード用のチューブレスシステムがぽつぽつと現れます。
オフロードはとうにチューブレス、新興のオールロードもこの流れを汲みます。
で、外堀が埋まるようにロードバイクのタイヤシステムのトレンドがじわじわ切り替わります。
とくに4大ロードホイールメーカーのMAVIC社がチューブレスに前のめりです。同社のUSTは自転車のチューブレスシステムのオリジンのひとつですから。
また、MAVICのタイヤはHutchinson製です。で、Hutchinsonはフランスの大手ゴム屋さんです。看板商品はゴム長靴。そして、自転車チューブレスタイヤもおはこだ。
タイヤメーカーのチューブレスの動向
タイヤメーカーのチューブレス化への方針はばらばらです。MTB用のチューブレスをしても、ロード用のチューブレスをしないとかします。
積極派は、
- Hutchinson
- シュワルベ
- IRC
などです。
消極派は、
- ミシュラン
- ヴィットリア
- コンチネンタル
などです。ミシュランはロードクリンチャーの元祖的存在です。ヴィットリア、コンチネンタルはクリンチャータイヤの人気No1.2にかがやきます。
ことさらにコンチのGP4KSII、Continental Grand Prix 4000S IIはクリンチャータイヤのロングセラーのベストセラーです。
クリンチャー用のハイエンドロードタイヤでいちばん売れたのがこのタイヤでした、たぶん。
特徴は、
- 長持ち
- 耐パンク
- 太め
- 固め
- どや顔のおばちゃん
です。ロードのクリンチャーを象徴するモデルです。そして、WiggleでGP4000 SIIのペアを買うのが清く正しい海外通販の第一歩です、ははは。
あいにくとぼくは定番のGP4KSIIを買いませんが、アーバン用のCONTACT IIとシクロクロス用のSPEEDKING、チューブラーのSPRINTERを使います。
あ、50gの軽量ブチルのSUPER SONICを忘れない。
て、コンチをまあまあ使いますが、とくに好印象を覚えません。若干、タイヤのゴム感がぼくの好みよりドライでハードです。もちもち感がやや足りない。
ぼくのお気にNo1はシュワルベです。オンロード、オフロードで愛用します。
てことで、ぼくは好みからコンチのタイヤをチョイスしませんが、目新しさと話題性にひかれて、またまたここの新作を購入してしまいます。
はい、GP4000の正統後継者のGP5000です。旧態依然のクリンチャーモデルではありません。TLのとおりにTube Lessです。コンチのチューブレス!
GP4000系がながらくバカ売れして、ナンバリングの新作が延び延びになりましたが、ついに桁数がくりあがって、完全新作の5000が販売されました。
ために旧作のGP4000がセール価格です。二本セットが海外通販で8000円ぐらいだ。一方の5000CLは7000円、5000TLは8000円です。
ちゅ、チューブ代が浮くから・・・
実物です。
ちっこいドイツの国旗マークがいかします。このデザインはきらいではありません。
コンチのTLはピュアチューブレス?
おニューのタイヤをまっさきに自転車にのっける自転車乗りはいません。自転車乗りが最初にのっけるのははかりです。
つべこべゆわずにどーん!
はい、302gです! おっも! 700x25cのレベじゃねーぞ!
つーても、カタログ値は300gです。これは重量詐欺ではありません。TLタイヤはCLタイヤよりおもくなります。
しかし、ロード系のチューブレスが300gを超えるのはまれです。だいたい250-270gですね。+30mlのシーラントで計300gだ。
タイヤ単体が300gを超えるのは非常事態です。コンチのプレスリリースや方々のふんいきではこのGP5000 TLはピュアチューブレスのようです。
チューブレスとチューブレスレディ
ところで、さっきからチューブレス、チューブレスとはやしたてますがこのチューブレスは正確には『チューブレスレディ』です。
パンク防止剤のシーラントの使用を前提にするのがチューブレスレディ、タイヤだけで使うのがチューブレスオンリーです。
オフロードの『チューブレス』はほぼ『チューブレスレディ』です。タイヤとシーラントで運用します。ピュアチューブレスは少数派だ。
また、ピュアチューブレスに少量のシーラントをおまじない的に入れるのはふつうです。手軽に自動回復効果を得られますから。
タイヤだけでチューブレス化するピュアチューブレスタイヤはえてしてチューブレスレディタイヤより重くなります。
で、コンチネンタルのロード用のTLモデルはピュアチューブレスのようです。チューブレスレディーじゃない。じゃあ、この重さのわけが分かります。
チューブレスレディ=STANS
ところで、チューブレスレディ、チューブレスレディと軽々しく口にしますが、これは一般名詞でなくて、STANS社の商標です。
クロネコヤマトの『宅急便』みたいなものです。STANS社がチューブレスレディの特許を多く抱えます。リムテープ、シーラントは業界標準です。
つまり、『チューブレスレディ』は同社の専売特許です。ほかの企業はこれを使えません、西濃運輸や佐川急便が『宅急便』を名乗れないように。
で、各社のチューブレスシステムの呼称はさまざまです。
- WTB=TCS=Tubeless Compatible System
- Panaracer=TLC=Tubeless Compatible
- Schwalbe=TLE=Tubeless Easy
- カンパ=2WayFit
などなど。名前はちがえど、中身はにたりよったりです。タイヤ+シーラントです。
細部を見ましょう。チューブレスの気密性のかなめのビードです。
左が5000TL、右がSPEEDKING CLです。サイズは700×25と700×32です。にもかかわらず、TLのビードのが肉厚です。
タイヤサイズの厚みも別物です。SPEEDKINGはぺらぺら、5000TLはしっかりです。
おかげでこのスピキンはシクロ用にして、280gしかありません。ロード用のTLよりぜんぜん軽量です。
ただし、シーラントを入れても、完全に密封できません。強制チューブレス化は不可でした。ざんねん!
で、TLモデルがここまでおもくなると、チューブレスの強みの転がり抵抗は下がります。かるいCLのが転がる。
この結果はTL版のカタログ値からすでに予想済みです。しかし、コンチネンタルはあえてアンビバレンツな重量級のロード用のピュアチューブレスを世に問いました。
じつにおもしろいではありませんか。ぼくはちょい乗り用のフラットバーロードに取り付けて、その意図を探ろうと思います。
ぱぱって取り付けて、7barまで入れて、タイヤ幅を実測しました。
リム内径は18mmです。あら、意外と横にふくれません。GP4000のイメージとちがいます、ははは。
ひかえめなデザインがDTのリムとマッチします。乗り出しがたのしみです。
とあるタイヤの高速換装(インストール)
一昔前のチューブレスの印象は最悪でした。
「着脱しにくい」
「ビードが上がらない」
この二つのCONSが致命傷となって、普及がすこし遅れました。しかし、人間より商品の方がさっさと進歩します。リムもタイヤもよくなった。
さらに昨今のワイドリム化のチューブレスを後押しします。一昔前のC13やC15リムはタイトです。バルブ付近があやしくなります。
先代のミニベロ用のホイールはC13でした。リムの内側はきっつきつです。でも、気合でむりやりチューブレス化できましたが。
で、最近のチューブレスシステムはユーザーフレンドリーになりました。取り付けはかんたんで、ビードはらくにあがります。