カーボンの弱点は圧と熱です。オーバートルクはクラックを引き起こし、オーバーヒートは溶解を発生させます。
ずぼらなO型さんがトルクレンチを用いず、ざっくばらんなMBT、マイベストトルクでぐいぐい締め付けると、近日にこんな悲劇に見舞われます。
![カーボンクラック横から](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/12/617aef6d3cc9e9f500b89d5861ccf60b.jpg)
みごとに失敗したカーボンハンドルのカット
これは不慮の事故ですが、以下のカーボンハンドルバーのささくれ、バリバリ、クラッキングは意図的な実験です。
禁断のダイソーパイプカッターでバーエンドのカットに挑みました。ガムテープの養生は気休めです。
![カーボンハンドルバーにパイプカッターセット](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/02/e51e1dd95c74b893215d16567fe03cf5.jpg)
で、もののみごとにラブクラフト神話的な邪悪なピロピロを黒い筒の内側から召喚してしまいました。這い寄る混沌、ハウリングカオスです。
![ささくれ状のものがぴろぴろっと](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/02/68a44a4a617865f8aae8fef3d9f91a96.jpg)
「カーボンのカットにパイプカッターはNGだぜ!」
て、いにしえの伝説をこの身で体感できました。
カーボンパーツにパイプカッターは×
パイプカッターは圧力で切ります。じゃあ、素材の強度が不可欠です。ソリッドな鉄、アルミはぜんぜんOKです。チタンは不明です。
他方、カーボンパーツはファイバー繊維のシートの織物、カーボンシートのミルフィーユです。全体は丈夫ですが、個々はぺらぺらです。
で、このカーボン層が薄くなれば、強度が下がります。パイプカッターの圧力ですぱっと切れる前に表層がぺろっと剥離しちゃいます。
今のところ、パイプカッターのカーボンカットの失敗率は100%です。パイプの外側はカッターの圧力に耐えてそこそこきれいに切れますが、内側は支えきれずもれなくバリバリになります。
![カーボンハンドルバーのささくれ片](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/02/eedf565b381356e62e9fa0419241a935.jpg)
ガムテは力不足でした。詰め物をきっちりして、土台を作れば、バリを回避できましょうか? 砂とか? ちなみにティッシュの詰め物は無力でした。カッターの圧に負けます。
結果的にパイプカッターでのカーボンカットは非推奨です。一発勝負ですからね。
ノコギリでカーボンコラムにリベンジ
この反省を踏まえまして、カーボンフォークのカーボンコラムをノコギリでカットしましょう。ものはこちらです。
![未カットカーボンフォークコラム](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/non-cut-fork-colum.jpg)
テーパーのOSのリジッドフルカーボンフォークです。MTBのBOOST=110x15mmエンドのセミファットタイヤ用です。クリアランスは5インチ前後です。
さきにケーブル類の取り回しのためにステムとアンカーとキャップを仮セッティングしました。
![ドロッパーポストのケーブルも変更](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/a1f9983e6a558e75f2c25a3cd5184a84.jpg)
ハンドルポジションをビーチクルーザー風の超アップライトにします。そのためにステム下に長い15cmのカーボンスペーサーを噛まします。
ステム上のデベソをカット!
問題はステムの上側です。
![上スペース](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/noncut-colum.jpg)
ステム上の数センチの余分なコラムの出っ張り、ぞくに『デベソ』て称されます。イタリア語でde bessoです、ははは。
神経質なA型フォーマルチャリダーさんはこの出っ張りを蛇蝎のごとく忌避しますが、パイプカッターでカーボンハンドルのカットをやっちゃうぼくは特段にこだわりません。てか、スーパーの袋をひっかけるのにべんりです、このデベソ。
で、今の今まで手をつけませんが、たまたま物置を整理して、こんなものを発掘します。
![万力&糸鋸](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/manriki-and-noko-1.jpg)
小型の卓上万力テーブルヴァイスとミニのこぎりです。DIYスピリッツがめらめら燃え上がります。
不要のステムをソーガイドに
しかし、万力でフォークを固定しても、なにがしかのガイドを使わないと、高確率でななめにカットしちゃいます。ずぼらの平衡感覚はひよこ以下です。斜め、ガタガタ、やけくそがノコギリの定番です。
あいにくとコラム用のソーガイドのような専用工具はうちにはありません。手持ちのアイテムでなんとかしましょう。
どこかのブログで見た手を試します。こんなです。
![ステム スペーサー カット線 スペーサー ステム](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/stem-spacer-cutline-spacer-stem-1.jpg)
コラムのカットラインをステムとスペーサーで挟みます。即席ソーガイド、SSCSSです。略して超サイヤ人ブルー! でなくて、ステムサンドウィッチです、か、ステムバーガー。
スペーサーにノコギリの刃をはさんで、ジャストフィットの当たりを出します。で、万力にセットして、ぎこぎこします。
![コラムを万力にセット](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/set.jpg)
カーボンの粒子がもろもろ出ます。そこら中が真っ黒になります。一目で有害さが分かります。まあ、シケモクスパスパや副流煙のがデンジャラスでしょうけど。
ベアリングを最初に外そう
あ、ベアリングには細かいダストはかくじつに有害です。カット作業前に外しましょう。ぼくはそのままやっちゃいましたけど・・・て、こういうところが性格です~、ははは。
このあと、風呂場に移動して、ぎこぎこを続けます。ノコギリの刃の引き代が足りん! じわじわとしか切れません。手ごたえはかっったい木です、黒檀みたいな。
二十分の激闘の末にコラムをばっさり切り落としました。
![カット完了](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/finish-cut.jpg)
剥離やささくれはゼロです。多少のバリはやすり掛けで消えます。
紙やすりでバリ取りとフェイシング
紙やすりでフェイシングしました。
![きれいなフェイス](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/good-acut-face.jpg)
おー、ぼくの作業じゃないみたいです。120点!
で、最終的にデベソはこうなりました。
![カット後](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/good-space.jpg)
遊びは約3mmです。5-10mmスペーサーで理想のギャップを出せます。完璧なDIYカーボンコラムカットです。
コラムの切れ端は無駄になりません。こんな風に再利用します。
![切れ端再利用](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/colum-connect.jpg)
こっちはミニベロのカーボンフォークのコラムです。下側のスペーサーが長すぎました。こんなふうに端材で継ぎ足して、アンカーで固定しました。
ふつうのノコギリで再々チャレンジ
後日、さらにフォークコラムをカットしました。ステムとスペーサーでラインを出して、ふつうの木材用のノコギリでやります。
![のこぎりでコラムカット](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/05/61968a7ab78f2b4ac116d2fd0350fa73.jpg)
細かい方の目を使って、ギコギコします。フォークがユーズドになりましたから、気おくれがありません。木を切る要領で片足かけて、ゴリゴリ挽きます。
それでも、15-20分は掛かります。カーボンは強靭な素材です。
![カット完了](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/05/3acb0a29a86550d48a15fa51a3bd6c10.jpg)
はて、黒い粒子にきらきらしたものが見えますね? はい、いつのまにか右のメインステムをガリガリやっちゃいました、うえーん。
紙やすりでフェイシングしました。
![やすりでフェイシング](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/05/60b5b809a5fb2d7a5b9d21d2071de2a0.jpg)
こんなふうにきれいに仕上がります。
コラムカット あさひの工賃は1512円だが・・・
このコラムカットを店で頼むと、そこそこの工賃を取られます。各種の工賃をウェブストアで公表するサイクルベースあさひのカットコラム代を見てみましょう。税込1512円です。
以前、ぼくはアルミのシートポストのカットを頼みました。これは864円です。仕上げはバリバリでしたし、シートチューブに収まらなかった。げにあさひの作業スタッフの腕はまちまちです。
そして、カーボンパーツの持ち込み作業はろこつに嫌がられます。実質、店頭はアルミとスチールパーツしか受け付けません。
「専用グリスがないんで・・・ごにょごにょ」
とかの言い訳でことわられます。へたれですわ~。カーボンはもう高級素材じゃおまへんで~。工賃をオープンに明記するのはりっぱですけどさ~。
二つ以上のカーボンパーツをカットするなら、すなおにソーガイドでやりましょう。このGIZAのやつは16-32mmまでカバーします。たいていのパーツを切れます。