うちのチャリンコの陣容は二台です。メイン機は自由主義のハードテイルの29erのMTB、サブ機は実用主義の改造ママチャリです。
うちには室内保管スペースが一台分しかありません。必然的にサブ機は屋外に配置されます。屋根なしの野ざらしです。雨風がてきめんに当たります。自転車的には最悪です。
そんな状況下で半年が経ちまして、チェーンのたるみやサビが目につき始めました。リアのキャリパーブレーキの様子です。
動きはふつうです。そもそもこの自転車のギアは漢気の固定です。バックを踏むorスキッドがおもな制動手段です。フロントとリアのブレーキはおまもりのようなものです。
でも、赤サビの浮きは気ざわりですし、時期は定期メンテのころあいです。このキャリパーブレーキのメンテナンスに挑戦しましょう。
ひさびさキャリパーブレーキいじり
メイン機のブレーキは油圧ディスクブレーキです。先代のミニベロのもそうでした。先代のサブはGIANTのクロスバイクで、これのブレーキはVブレーキでした。
で、キャリパーブレーキいじりがほんとにひさびさになります。外し方すらが記憶のかなたです。よそさまのログや販売店のレポートでいちから復習します。
て、こんなふうに個別のブレーキの系統がちがうと、運用やメンテナンスがややこしくなります。工具と備品が二倍になる。非効率的です。
ぼくの経験値的には油圧DBで統一するのがベターでしょう。そろそろディスクロードに着手するかな~。置き場がないけど、ははは。
キャリパーブレーキの外し方
さて、スポーツバイクのキャリパーブレーキにはクイックリリース機構があります。このちっこいレバーです。この向きはロックの状態です。
これを上向きにすると、リリースの状態にできます。
そして、インナーケーブルの固定ボルトを外します。
それから、アウターケーブル受けの中空ボルトをゆるめて、台座の裏の固定用ナットを外せば、エンドキャップを抜かずにブレーキを取り外せます。
こいつがちょくちょく行方不明になります。予備が手元にありません。買い時がわからない。
キャリパーブレーキの本体です。目立つのはどろ汚れとQRのサビばかりです。
裏側です。スプリング、ボルト、ナットのサビが目立ちます。
アームの本体はアルミですけど、固定の小物は鉄製です。これはもろに錆びます。都会の弱酸性雨は自転車パーツのボルトの敵です。
ブレーキシューを外す
各部をばらしましょう。手始めはブレーキシューです。
ここのねじやワッシャはきれいです。が、片側のシューのガワにひびが見えます。鉄系のパーツと同じくゴム系の素材も雨と光にめきめきやられます。
パッドの摩耗です。
案の定、へりは微量です。日常的にはバックとスキッドで減速しますし、緊急時にはフロントのミニVブレーキを使います。キャリパーの出番はほとんどありません。
アームの分解と清掃
いよいよアームの分解の幕が開けます。ここは個人的に未知の領域です。そして、しょっぱなからトラブルにみまわれます。
ボルトがなめる
先述のように雨と風と光は鉄製品をめきめき劣化させます。鉄のボルトはほんとにまっしぐらに衰えます。六角のソケットのくぼみに水気が残る。
手始めにここのボルトをくりっと回そうとしますが、いや~な手応えを感じます、なめなめっと。
このあとでボルトのゆるみ防止のイモネジの存在に気づきます。
短い二本がボルト緩み防止用、長い一本はアームのあそびの調整用です。分解のさいには短い方をさきに外しましょう。本ボルトが回りません!
センターボルトのナットを外す
不都合な現実から目を背けましょう。センターボルトのナットをモンキーで外します。
サビのせいでしょうか。動きはよくありません。ごり押しでぐりぐり外しました。じゃあ、スプリングがぽろっと落ちました。一石二鳥だね!
そして、この六角ボルトがカチカチです。
ロックタイトとサビと微妙なゆがみのしわざです。アーレンキーがぎしぎしうなります。途中で気がなえました。
ほこさきを変えて、ナメボルトにチャレンジします。ねじザウルスでごりごりやるも、みごとに玉砕しました、ちーん。
このアームのばらしはちょっとむりです。外から綿棒でちょまちょまクリーニングして、留飲を下げます。
スプリングまわりです。
バネとボルトのサビは宿命です。小さな白いタイコのようなものはスプリングのエンド受けです。
QRを外す
クイックリリースのねじは星形ねじです。トルクスレンチのT20がぴったりはまります。
ここはかんたんにばらけました。
よごれはボルトのサビくらいです。取り外しのときにインナーケーブルの固定金具(左から3つ目)とOリングみたいなやつ(右から2つ目)を見失わないようにしましょう。
組み立て
各パーツをちまちま拭いて、組み立てなおします。手順は取り外しの逆回しです。
難関はスプリングのセッティングでしょう。指でやろうとすると、けがをしかねません。ネジザウルスが面目をはたしました。
ここで必要以上にスプリングを内側に曲げてしまうと、反発力を損ねてしまいます。取り付け後のアームの戻りが遅くなる。
反対にスプリングを外側にそらせば、反発をあげられます。お好みの硬さでしあげましょう。
シューを仮留めします。最終的にフレームに取り付けて、ホイールとクリアランスを見ながら、微調整をします。
動きはとくに変わりません。見た目もとくに変わりません。不完全燃焼です。
気休めにオイルをスプリング受けのタイコとアームの調整いもねじの先にちょろっと垂らしました。あきらかに動きがよくなります。
でも、一発の雨で流れますねー。
屋外放置のダメージは3倍速
今回、野ざらしのチャリを部分的にいじってみて、雨風の猛威をじつによく理解できました。細部のダメージは想像以上です。
鉄系パーツはあからさまに劣化します。ボルトは室内保管の3倍の速さでおとろえます。あと、ロックオングリップが加水分解でベトつきます。
野外に置くにしても、屋根の下に置くとか、シートを被せるとか、なにがしかの対策をしましょう。鉄とゴムに雨、風、光は禁物です。