「ルック車」
この単語を見聞して、眉をひそめたり、鼻をならしたり、『それはLOOKのバイクですか?』て嫌味したりする人はいっぱしのチャリダーさんです。
はて? と思う方は健全なしろうとさんです。むしろ、どっぷり浸からないでください。お金がおもしろいようにぽろぽろ出て行きます。
ルック車の定義
ルック車は
「ルックスだけのチャらい自転車」
の略です。見た目はスポーツバイク風、その実態はホームセンターのママチャリなみてファンタジーな乗り物です。
代表格はハマーです。
なんか外車ぽいブランド名、なんかMTBぽい見た目、なんか安心安全シマノ製ドライブ、なんかはではでハッピーカラフル、イエーイ!
堂々の正統派のすがすがしいルック車です。走行性能はママチャリに勝るとも劣りません。お値段は安くありません。
分かりやすくたとえましょう。ルック車はiPhoneの中国製のぱちものです。ブランド品のスーパーコピーでもありません。低品質、中価格のはんぱなアイテムです。
でも、ふつうに走るし、曲がるし、止まります。ぎりぎり自転車のはしくれではあります、はしくれのはしくれ。ただし、基本性能はママチャリかシティサイクルです。
上のハマーのようなMTBルック車で山を走るのはデンジャラスです。MTB風の見た目はかざりです、デコレーションです。それはサイクリングでなく、チャレンジ企画か罰ゲームです。
「え、おれはふつうに走れたよ?」
そんな人は本格的なDHを買って、表彰台をめざしましょう。
でも、そのハマーはまさかのMONTAGUE製の真ハマーじゃありません?
こっちはそこそこの本気バイクです。
もちろん、ルック車はMTB系のものばかりじゃありません。ロード系ルック、ミニベロ系ルック、クロスバイク系ルックがあります。ママチャリやコンフォートのルック車はありません。
なぜなら、ルック車の根底のコンセプトはノットママチャリルックスですので。見た目とデザインで一見さん、初心者さんの衝動買いをうながすのがルック車ビジネスのからくりです。
ぱっと見のインパクト、3万ちょい、21段変速、そして、これがかの有名なドロハンだ! でもうメロメロです。
ぼくもものすごくだめだとは思いません。いや、むしろ、この見た目はぜんぜんありです。ネットの出品画像は良く見える。
実際問題、三十年前の本格スポーツバイクはこのレベルです。仮に同じ素材で同じものを日本で作ると、こんな価格にはできません。
スーパールック車はロードバイクに勝てるか?
ルック車の限度はどこでしょう? さて、これはルック車でしょうか?
10kgアンダーの2x系でシマノドライブ、ドロップハンドル、700Cです。おそらくたいていの人はルック車に認定します。決め手はブランドです。
ドッペルギャンガーのこれはどうでしょう?
やっぱり、ルック車です。決め手はブランドです。
これはどうですか?
ルイガノ! じゃあ、これはロードバイクです。ノットルック車です。決め手はブランドです。
そう、性能より値段よりブランドが肝心です。10万のドッペルギャンガーはルック車ですが、5万のGIANTやルイガノは本格スポーツバイクです。そうゆうものです。
ピナレロに乗ろうが、ハマーに乗ろうが、どんくさい人やいんけつな人は事故りますし怪我します。
若い初心者がちょろっと鍛えれば、そこらのなんちゃっておっさんロードバイカーにはクロスバイクやルック車系ブランドのロード系バイクで余裕で勝てます。
本格ロードロードとさえずる人ほどさほど走らないルックローディですので。
ぼく的にはブリジストンのアルベルト以外はだいたいストライクです。あの自転車風の重い乗り物だけには二度と乗りたくないなあ。ぼくのなかではあれがワーストバイクです。
で、実際問題、ルック車はロードバイクに勝てるか?
ハイクラスのルック車はそれなりの安ロードと変わりません。てか、前傾を取りさえすれば、ビジュアル的に速度的にロードバイクと並びます。
ロードを必要以上にもてはやすのはただの流行、風潮、アホらしいアカデミックな権威主義です。現代ではロードはたかだかドロハンバイクの一角にすぎません。