シマノホイールの分解と清掃 フッ素グリスで回転性能アップを目指す

ここではシマノ105 R7000ハブを搭載したホイールのメンテナンス手順を解説します。カップアンドコーン方式のハブは、定期的にグリスアップを行うことで長期間良好な回転性能を維持できます。

今回のホイールはアルミリムに105 R7000ハブ、DUGASTチューブラータイヤを組み合わせたシクロクロス向けの古風な1本です。

ハブ内部のグリス状態を確認し、清掃とグリスアップを行いました。

目次

シマノホイールの特徴

メンテナンスを始める前に、シマノハブの主な特徴を確認しておきましょう。

特徴内容
ベアリング方式カップアンドコーン方式
ハブ音比較的静か
製造地XTR・DURA-ACE以外はマレーシア製
ベアリング球数左右9個ずつ 計18個(105ハブ)

一般的なシールドベアリングハブとは構造が異なるため、メンテナンス手順も専用のものになります。また、最近のシマノハブはシールドベアリング式に移行しました。

準備する工具

105ハブのメンテナンスに必要な工具は以下の通りです。

シマノハブのメンテ用の工具
シマノハブのメンテナンスに使用する工具
工具名数量備考
5mmアーレンキー2本エンドキャップの脱着に使用
板スパナ1本玉当たり調整に使用
ラジオペンチ1本ベアリング球の取出しに使用
グリス適量自転車用グリス(後述)
ウェス・ちり紙適量旧グリスの拭き取りに使用
部品入れ容器1個ベアリング球の保管に使用

フリーボディの分解には10mm六角レンチが必要ですが、シマノ公式では推奨されていません。今回はハブ本体のメンテナンスに留めます。

分解手順

以下の手順でハブを分解します。ベアリング球を飛び散らかさないよう、広い作業場所で作業しましょう。

ステップ1: エンドキャップを外す

2本の5mmアーレンキーを左右のエンドキャップに差し込み、左回しで緩めます。出荷時の締め付けトルクは強めです。体重をかけて確実に回す。

アーレンキーを左右のエンドキャップに差し込む
アーレンキーを左右のエンドキャップに差し込む

ステップ2: シャフトを抜く

右のキャップをシャフトごと左回しで緩め、シャフトを引き抜きます。この際、ベアリング球がカップから零れ落ちます。

ベアリング球
カップ内のベアリング球

ベアリング球がどこかに迷子になると、作業が続行できません。捜索は難航します。シャフトを抜く際はゆっくり慎重に行いましょう。

清掃と状態確認

ラジオペンチやピンセットでベアリング球を1つずつ丁寧に取り出します。球を傷めないように優しくつまむ。器用な人はお箸で。

105ハブには左右9個ずつ計18個のベアリング球があります。

ベアリング球をピンセットでつまむ
ベアリング球を丁寧につまみ出す
シマノハブのベアリング球
旧グリスを拭き取ったベアリング球(全18個)

取り出したベアリング球をウェスで汚れたグリスを拭き取り、表面の状態を確認します。錆や凹み、虫食いをチェックする。

ハブカップの清掃

ベアリング球を受け止めるハブカップ内部も清掃します。反ドライブ側は比較的にきれいですが、ドライブ側(チェーン側)はたいていどろどろのぐちょぐちょです。

ドライブ側の汚れ
ドライブ側は汚れが溜まりやすい

また、ドライブ側には砂埃や繊維くずが混入します。たまに謎の毛。

古いグリスを完全に拭き取り、新しいグリスを塗布する前にカップ内部を清潔な状態に保ちましょう。

グリスの選び方

ハブの回転性能はグリスの選択で変わります。用途に合わせて適切なグリスを選びましょう。

グリスの種類特徴おすすめの用途
フッ素グリス低摩擦・高回転性能ロード・シクロクロス(回転重視)
リチウムグリス防水性・防塵性に優れるツーリング・通勤(耐久性重視)
シマノプレミアムグリス汎用的な性能一般的なメンテナンス

シマノ純正のプレミアムグリスは容器やパッケージングのコストを含むので、単体価格はやや高めです。中身自体は一般的なリチウムグリスと同等の性能です。

より回転性能を求めるなら、フッ素グリスを使いましょう。AZの自転車用フッ素グリスは10gで1,000円前後で、ハブのベアリング用途にはやや高性能ですが、潤滑効果が抜群です。

フッ素グリスを塗布
AZの自転車用フッ素グリス

そして、何か甘い匂いがする・・・

コストを抑えるなら、ホームセンターの汎用リチウムグリスをたっぷり使いましょう。定期的にグリスを交換し、ベアリング球とカップを清潔に保つことが重要です。

玉当たり調整

カップアンドコーン方式のハブにおいて玉当たり調整は最も重要な工程です。締めすぎても緩すぎても回転に悪影響を与えます。

板スパナで反ドライブ側の玉押さえを抑えながら、手探りで最適な当たりを探します。ホイールを手で回して回転を確認し、ゴリゴリ感や渋さがないか確かめましょう。

板スパナで玉当たり調整
板スパナで玉当たり調整を行う

この調整は感覚的な『あんばい』や『さじ加減』によります。何度か経験を積み、指先の感覚で最適な締まりを見つけましょう。ぼくはちょいゆる派です。

メンテナンス完了後のホイール
メンテナンス完了。スムーズな回転が復活

シマノハブのカップアンドコーン方式のメンテナンスは比較的に簡単です。定期的にグリスアップを行い、ホイールの性能を長持ちさせましょう。

よくある質問

メンテナンスの頻度はどのくらいですか?

使用環境によりますが、一般的には半年〜1年に1回が目安です。雨の日に頻繁に乗る場合や、砂埃の多い道を走る場合は、もう少し短いサイクルでグリス状態を確認してください。

ベアリング球の交換は必要ですか?

錆や凹み、明らかな摩耗がなければ再利用可能です。表面が滑らかで傷がない限り、清掃とグリスアップだけで十分に機能します。

フリーボディの分解は必要ですか?

フリーボディの分解には10mm六角レンチが必要で、シマノ公式では推奨されていません。ハブの回転に問題がなければ、今回の手順で十分なメンテナンスになります。

グリスはどれくらい塗ればいいですか?

カップ内に薄く均一に塗布するのが基本です。盛りすぎると回転抵抗になるため、指で少量すくい、カップの曲面に沿って広げる程度で十分です。

玉当たり調整がうまくできません。コツはありますか?

「少し緩いかな」くらいから始めて、少しずつ締めていくのがおすすめです。ホイールを回したときに、自然に止まるまで抵抗がなく、かつガタつきがない状態が理想です。慣れが必要な部分なので、最初は多少の失敗を恐れず挑戦してみましょう。