四年に一度の祭典はワールドカップ、オリンピック、そして釣り人と自転車乗りにはシマノ製品のモデルチェンジ祭りです。
しかし、数々のイレギュラーな出来事が2020年をぐしゃぐしゃにします。まず、コロナが東京五輪含む全世界のスポーツを延期や中止に追いやりました。
そして、シマノのロード系コンポの最高峰、デュラエースシリーズのアップデートも特殊な事情で順延になります。2021年3月にシマノは創業100周年を迎えるからです。
新型デュラエース大予想
シマノの最新鋭の自転車パーツはMTBコンポの最高峰、XTR M9100シリーズです。2018年に大幅リニューアルして、12速化を果たしました。
トップモデルの翌年には上から二番目のグレードがパワーアップします。2019シーズンには2ndグレードのXT M8100が12速になりました。
※同年に上から三番目のDEORE SLXもM7100系にモデルチェンジしました。長年のシマノサイクルが崩れた!
で、慣例的には2020年、シマノ的には2021年がデュラエースのアップデートのタイミングです。
ちなみに釣り具の最高峰のステラリールは2018年に一新、2020年に追加機種大量投入です。
2020年4月現在、コロナの影響で大掛かりな催事はヘイトを集めかねません。とすれば、シマノ100周年の2021年がR9200デュラエースのお披露目祭りでしょう。
新型デュラエースは本命はR9200 大穴R10000
シマノのコンポ=自転車パーツ一式の型番はアルファベット一文字と4桁の数字の組み合わせで成り立ちます。
- M=マウンテンバイク系
- R=ロードバイク系
- S=実用系
- E=電動スポーツ自転車系
などなど。これに数値が合わさって、型番が誕生します。現行ではこれは4桁です、9000とか8000とか。
二、三世代前のモデルは3桁番です。とくにマウンテンバイク系ですね。ヤフオクやメルカリにM970とかM980とかの古いXTRがちょくちょく出てきます。
クロスバイクの手組ホイールに使ったXTR M950ハブには苦労させられました。
11速時代前夜のデュラエースは7000系です。7700とか7800。現行のデュラエースは2016年にデビューしました。型番はR9100です。11速の第二世代にあたります。
第一世代が2012年です。11速化はそんなに昔のはなしではありません。いや、人間の感覚が技術の進歩よりぜんぜんゆったりペースですが。
とにかく8年も経てば、パーツは陳腐化します。
常識的に次期デュラエースはR9100の正統後継のR9200シリーズになります。が、100周年絡みでR100台かR10000台になるかも?!
ディスクブレーキ標準化
シマノは業界の先陣を切って、自転車のディスクブレーキを普及を推し進めます。実際、2016年のR9100にはすでにディスクブレーキモデルがありました。
既存のロードバイク乗りはこれに懐疑的です。とくに国内ユーザーはこれを嫌がります。
現在の国内の自転車トレンドはロード系の名残だ。で、この刷り込みイメージが『リムブレーキ、クリンチャータイヤ、軽量タイプ』です。
ゆえにMTB由来のディスクブレーキやチューブレスタイヤが異形のインベーダーに見えます。
しかし、近年の自転車の技術のけん引役はMTBです。新作や新技術はこちらに率先的に投入される。
で、そこからロード系に流れて、フィードバックされます。つまり、ロードは機材的には後進ジャンルでMTBの下位互換です。
さらに自転車メーカーのフラッグシップはほぼディスクロードです。
ディスクブレーキモデルがメジャー、リムブレーキモデルがマイナーです。大手はすでにハイエンドのキャリパーブレーキロードを販売しません。
トレンドは残酷です。
12速化は既定路線
現行のR9100は11速の二世代目です。11速デュラエースの誕生からすでに8年の歳月がたちます。
人間の感覚的はそんなに大昔のはなしではありませんが、商品の8年はまあまあの歳月でしょう。2012モデルの自転車はけっこうな老体です。
ロードの11速コンポは国内のサイクリストの足元をながらく支えますが、ここでそろそろパワーアップしないと、2024-2025年まで現状維持を余儀なくされます。
さすがに足掛け12年の変速数アップなしのマイナーチェンジはあり得ない。殿様商売の典型だ。技術屋のシマノの看板が廃ります。12速化は必須です。
新型フリーで10Tメガレシオ
MTBコンポのXTR M9100はシマノのひさびさの本気です。機械式12速、新型HG+フリーボディ、XTR完組ホイール撤退が3大トピックスです。
この数年、シマノの完組ホイールは迷走を続けます。アルテグラホイールが分裂・補欠入りする、型番の数値と実際のリム高が合わない、カーボンクリンチャー台頭でアルミカーボンが不人気になるなど。
もちろん、ロードのプロチームにはホイールが供給されます。
でも、一般ユーザーがハイエンドの完組デュラエースホイールを買うかと聞かれれば、ライバルのMAVICやカンパやフルクラムに流れてしまいます。
見た目はジャスティス!
しかも、MTBコンポのXTR M9100シリーズには完組ホイールはありません。単体のリムもない。回り物はハブのみです。
もともとシマノはハブ屋さんです。完組ホイールへの参入は後発だ。それが原点へ戻った?
ハブがDT SWISSのスターラチェットの改良版みたいな”SCYLENCE”になりました。読みは『サイレンス』です。ラチェット音なしの静音ハブです。※初期不良でこそっと終売しました。
そして、フリーボディが新型のマイクロスプラインのHG+です。カセットのソケット部分が今までのHGより細身です。
つまり、現行のシマノタイプのスプロケやギアはぜんぜん入りません。
また、他社のフリーとも別物です。完全新作ボディだ。
なんでXDドライバーにしてくれへんかったんやー! ※商売敵の規格だから。
このHG+ハブを使おうとすれば、純正カセット、対応ホイールを新しく買わねばなりません。新型ハブの導入の最大の壁です。
結局のところ、現行のロードハブやロードフリーでは段数が頭打ちです。13速や14速はむりだ。ギアとチェーンがほそくなりすぎる。
ゆえに新型デュラエースハブはディスクブレーキ化にともなって、ワイドフランジ化して、マイクロスプライン化して、12速-14速時代のスタンダードになります。
実際、SRAMのXDRフリーにはすでに12速以降の兆しが見えます。
カンパニョーロが新型フリーを投入しないのは商品展開にオフロードジャンルがないからです。どちらも手掛けるSRAMやシマノみたいなネタが手元にない。苦肉の策だ。
現にカンパニョーロの姉妹会社のフルクラムにはMTBホイールはありますが、ボディはシマノかSRAMです。フルクラム独自のボディってのはない。カセットもない。
シマノの新型ハブにはけっこうな決意と思い切りが見えます。この新型ハブは入魂の一作です。これをロードに投入しない手はありません。
現状のHGフリーボディ用の12sカセットは廉価版の105のオプションあたりで数年後に現実化しますかね。はたまた、デュラ、アルテグラ、105の同時発表があるか?
リングはダイレクトマウント
最近のクランクのチェーンリングはダイレクトマウント方式です。これはSRAMのダイレクトマウントです。
スパイダーの部分がアタッチメント式に外れます。クランクアームににょきにょきのスパイダーアームはありません。
非ダイレクトマウント派の大御所のシマノもさきのXTRでようやくダイレクトマウントに参入しました。まあ、大昔のMTBクランクはダイレクトマウント方式でしたが。
ちなみに超絶不評を買った先代のXTRはこんなビジュアルでした。
アームカバーなしのルックスがなんかビミョーです。フロントシングル化が構想になかったから・・・
で、今回のダイレクトマウントのMTBクランクはおおむね好評です。
「シマノにしてはかっこいい!」
「シマノらしくない」
「どうした、シマノ?」
「シマノ、ついに本気を出したのか?!」
という謎の上から目線の声が古参ユーザーから相次ぎます。でも、グラベルコンポのGRXのクランクはクラシカルなアーム付きです。なぜだ?!
ダイレクトマウント方式の利点は軽量化と剛性アップと見た目のスマートさです。ギアもクランクもじつにソリッドです。加えてデザインの融通が利きます。
外側ボルトがないと、ルックスが非常にすっきりします。4アームvs5アームみたいな対立抗争は古いはなしになります。
ロードのフロントシングル化及びロード系ジャンル、ハイエンドなドロハン型自転車の1x化を構想に入れると、ダイレクトマウント方式を無視できません。
さいわいXTRクランクのルックスが好評です。次期デュラエースはこれを踏襲して、ダイレクトマウントにイメチェンしましょう。
おまけに現行R9100クランクのデザインの賛否がデビュー当時から今の今まではっきり分かれます。
ある意味、この第二世代11速のロードクランクはシマノらしいビジュアルです。
無線電動、サイコン、電動ロードユニット?
ところで、シマノの本気のイチオシはデュラエースやXTRではありません。ハイテク電動パーツです。
とくにEbikeの電動アシストユニットがキーです。これは欧州版のSTEPSユニットです。
最近のシマノはパワーメーター、アクションカムみたいなハイテク機器をどしどし売り出します。シマノ純正のサイクルコンピューターは夢物語ではありません。
パワーメーターを出して、対応のサイコンを出さないのは画竜点睛です。
しかも、パイオニアのサイコンやペダリングモニターを含むサイクルスポーツ事業があっけなく終了して、資産の一部がシマノに引き継がれました。
が、シマノの純正サイクルコンピューターは自転車界の黒歴史です。シマノフライトデッキというものです。ネットで検索すれば、往時の評判をうかがえます。
そして、単体の優秀なサイコンはすでにいっぱいあります。LezyneやBrytonみたいなミドルグレードのコスパ機が増えました。そもそもスマホがすっかり高機能です。
でも、電動ユニット、電動コンポ、パワーメーターみたいなパーツを統合するようなハイテクデバイスはシマノ的には悲願でしょう。
Di2 & STEPS連動のフライトデッキR9200がついに復活するか?! アプリとソフトの調整がぐだぐだになって、発売日がむちゃくちゃ伸びそうだけど。
新型Dura Ace R9200の予想リスト
ここから既存のパーツ表を参考にして、R9200のリストを仮組します。
モデル名 | 重量 | 素材 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
FC-R9200 クランク | ダイレクトマウント | |||
FC-R9100-P | パワーメーター | |||
ST-R9220 STIレバー | 機械式+ディスクブレーキ | |||
ST-R9270 STIレバー | 電動+ディスクブレーキ | |||
ST-R9250 STIレバー | 電動 | |||
ST-R9200-L STIレバー左 | 機械式 | |||
ST-R9200-R STIレバー右 | 機械式 | |||
ST-R9250 Di2 フロントメカ | 電動 | |||
FD-R9200-B フロントメカ | クランプ | |||
FD-R9200-F フロントメカ | 直付け | |||
RD-R9250 Di2 SS リアメカ | 電動 10-28T | |||
RD-R9250 Di2 GS リアメカ | 電動 10-34T | |||
RD-R9200 SS リアメカ | 10-28T | |||
RD-R9200 GS リアメカ | 10-34T | |||
BR-R9270 油圧キャリパー | ||||
SM-RT910 ディスクローター | ||||
BR-R9210-F ダイレクトマウント | ダイレクトマウントは残るか? | |||
BR-R9210-R ダイレクトマウント | チェーンステーマウント | |||
BR-R9210-RS ダイレクトマウント | リアシートマウント | |||
CS-R9200 スプロケ | 10T~ | |||
PD-R9200 SPD SLペダル | ||||
SM-BBR9200 BB | ねじ切りくん | |||
SM-BB92-41B | 圧入プレスフィットくん | |||
BR-R9200 ブレーキ | ふつうのキャリパー用 | |||
FH-R9200 ディスクハブリア | ハブ売り復活? | |||
HB-R9200 ディスクハブフロント | 同上 | |||
WH-R9200 DBホイールいろいろ | カーボンクリンチャーチューブレス? | |||
WH-R9200 ホイールいろいろ | アルミカーボンのC24デュラホイールはどうなる? | |||
SH-SC9200 フライトデッキ | 黒歴史が来るぞーーー! |
ピンク色はHOTなポイントです。C24ホイール、ダイレクトマウントブレーキはどうなるかな~? ハブは復活の可能性を秘めます。
もちろん、あくまで予想です。フライトデッキは出ません!
あと、XTRとDURA Aceのチェーンは共通です。XTRの12速チェーンが海外サイトで6000円前後です。国内価格もそのくらいでしょう。
ただし、次期デュラエースまでに毎年恒例のシマノの値上げが入らなければね! この爆上げ基調では7000円台も夢じゃないぜ!
クランクの予想図
技術的なあれこれは現行モデルやXTR M9100から予想可能です。最大の予想ポイントはクランクのビジュアルばかりです。
予想図です。
棒じゃねーか!
いや、これが正解です。手抜きじゃありません。ダイレクトマント方式のクランクは基本的にこうなります。クランクは棒です。
クランク=スパイダーアーム付きのものを考えるのがすでに前時代的な旧思考です。クランク=棒が正解だ。
この特性からダイレクトマウントのクランクアームは非対称デザインには不向きです。リング側の意匠がキモです。
とにかく今のR9100クランクよりゴリマッチョにはならない。11速第二世代のデザインは結果的にいまいちだったなあ・・・
「新型デュラエース、シマノにしてはかっこいいな!」
R9200デュラエースにはこれを期待します。あと、100周年、100万円、100セットの限定販売を個人的に予想します。信者と転売ヤーの激戦が見ものです。
シマノ最安は国内通販
少し前までシマノの海外通販が激安でしたが、WiggleやCRCなどの英国系自転車ストアが日本向けの出荷を規制してしまいました。
現在では国内通販が最安です。定価の20%引きが実売価格で、だいたい横並びです。シマノ製品は基本的に取り寄せで、売れ残りがそんなに多く出回らないので。
逆に海外の激安シマノの大半は店舗の組み立て用のいわゆるバルク品です。これを安く買えた数年前は良い時代だった・・・
売れ筋はペダル、ブレーキ、ディレイラー、チェーン、BBなどです。アマゾンで普通に買うか、楽天でお買い物マラソンのポイントアップを絡めるのがお得な買い方です。