FACTRO O2風の中華カーボンフレームFATSTERWAY号のボトムブラケットは圧入式です。これはねがったりかなったりです。
あらためてBSA/JISのねじきりBBを見ると、その異常さに気づきます。
だって、右カップが逆ねじですよ? 整備性? タッピングとフェイシングが前提ですよ?
フルカーボンMTBの一発目のプレスフィット作業にこそ気遣いを見せましたが、生来のずぼらな性格がわざわいして、その後の作業はもれなくごり押しバンバンになります。
かれこれ10回前後の着脱を行いますが、異音やガタには悩まされません。圧入BBの陰口は都市伝説か秘密結社ねじ切り団の陰謀でしょう。
BBrightのなぞ
このMTBのボトムブラケットはBB92です。ロードのBB86に相当します。業界標準です。シマノ、SRAM、カンパ、サードパーティがたくさんのBBやアダプタを出します。
で、中華フレームのオプションはおおむねBB92-86、PF30、BB30、BSAねじきりです。ところが、うちのフレームのBBはマイナー規格のBBrightです。
BBright=CERVELO=Rotor、て連想ゲームはわりにイージーです。しかし、気鋭の英国自転車ブランドのFACTORのバイクもBBrightです。
それがなぜかなぞの中華カーボンフレームに採用されます。いきさつはさだかじゃありません。形だけを似せるなら、メジャー圧入BBの型を使えば、よりかんたんにできますし。
てか、FACTORがBBrightですから、規格がもうCERVELOの専売じゃない? うーむ、なぞは深まります。
まあ、そんなに深く突っ込まないようにしましょう。
左右非対称のBB
BBrightの特徴は左右非対称、アシンメトリックです。
左側のベアリングはフレームのシェル内に収まりますが、右側のベアリングはカップとともにシェルの外にはみでます。これがBBrightの由来です。
シールドベアリングは6806 RSです。汎用の工業規格です。セラミックのものを調達すれば、おやすくグレードアップできます。
PF30の親戚
BBrightフレームのシェル幅は79mmです。カップ外径は46mmです。ベアリング内径は30mmです。46-30、これはPF30系の親戚にあたります。
実際、CERVELOにPF30の左右対称のカップを圧入して、スペーサーを使っても、86や92系のクランクを使えます。BBrightの特性は失われますけど。
例外はピュアBB30クランクとスペシャラのOSBBクランクです。
30mmスピンドルがジャスティス
さて、このぼくは30mmスピンドル団の北摂支部代表ですから、なんのまよいなくピュアなBBright 46-30を取り寄せます。クランクはEASTON EC90 SLです。
変速屋御三家のロードクランクのビジュアルはなぜかことごとくイマイチです。食指がまったく動きません。業務用機材だ。ファッションバイクには向かない。
そして、シマノ24mm、SRAM GXP 22-24mm、カンパUT 25mm、て20mm台の細シャフトがパンチ不足です。
そして、フロントシングル化すれば、変速性能を無視できますから、純正のビミョールックスなクランクを使わずともすみます。
あと、中華サイトをちょろってさがせば、シマノ24、SRAM GXP22-24、カンパウルトラトルク25のBBrightすらかんたんに発見できます。
安パーツのGINEYEA製
ぼくのBBrightはGINEYEAのものです。ここは中国シンセンの自転車パーツ屋です。安ヘッドパーツ、安BBが看板です。このBBrightは2300円でした。
「回りもんに中華パーツだ?」
そんな意見は分かります。でも、圧入BBの精度はフレームの出来に大きく左右されます。高いBBも安いBBもぽんこつシェルの前では形無しです。
最大の欠点はGINEYEAの読み方が分からないことです。ギネイエア? ジャイナイア? ギニュー? なぞです。
Oリングとベアリング以外はフルアルミです。
おもっ! でも、樹脂カップはネバーおすすめです。叩き出しで割れかねません。つまり、シマノのPFBBはお察しです。
圧入ごり押しプレスフィット
さあ、楽しい嬉しい圧入作業の時間がはじまります。ビバ・プレスフィット! PFPFPFPF!!!
工具はゴムハン
専用工具や自作圧入工具は初心者のためのものです。プレスフィットしない歴0か月のマンスリープレスフィットプレイヤーはゴムハンマー一本で一切の圧入をやってのけます。
左からやっつけましょう。シェル内にグリスをうすく塗って、カップをのっけて、ゴリゴリごり押しゴリラになります、うほうほ!
コツはまんべんなく平行に叩くことです。一か所を集中的にやらない。まんべんなくぐるぐる回し打ちしましょう。
六分の状態がこうです。
OK牧場です。
やつぎばやに右カップをガシガシ叩き込みます。カーボンフレームのBB周りはそんなにへなへなじゃありません。こんな打撃で壊れるようなものは初期不良です。
はい、きれいにプレスフィれました。
このぴっちり感はくせになります、ははは。作業時間は15分です。ふだんのメンテのBB着脱よりしんちょうにやりました。がちゴリじゃなくて、ぷちゴリです。新品ですから。
クランクをしゃこっと通します。
おー、おっとこまえです。53Tのアウターリングがロックです。想像以上の高速マシーンのオーラがただよいます。セミプチマイルドゆるポタ号だよ!
BB裏です。
シャフト保護用のスリーブとスペーサぬきで圧入しました。結局、なんだかんだでこまめにいじります。保護性 < 可視性です。
ハンマー圧入後のBBシェル内です。異常はとくにありません。
フレームは中空です。反響で音がでかくなります。しかし、ゴムハンの実際の打撃はそんなにきつくありません。
たとえば、古いカーボンの釣竿をゴムハンでガシガシたたいても、ちょっとやそっとで叩き潰せません。自作工具や専用工具のオーバートルクのがかくじつに神経質です。
あとは実走時の異音とガタです。出るかな出るかな~、ギシギシミシミシ。
無印の簡易な圧入工具はそんなに高くありません。
が、結局、取り外しはハンマー頼みになります。
お金持ちは安心安全Wishboneを使っちゃいますか。ロックンロールなピュア圧入BB党員にはこんなものは邪道ですけど。