2010年代の初頭には自転車のカーボンパーツは競技用の特別な高級品でしたが、2020年代の初頭にはすっかり身近なアイテムになりました。
おかげで中級モデルや入門モデルの自転車の構成にさえこのいかつい黒い部分をどこかしかに発見できます。
ブランドやトレンドを問わなければ、格安のパーツを入手できます。現在、リムブレーキ用のカーボンホイールは全体的にお買い得ですね。
![カーボンホイール](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/01/3ac8094377b8e61307d1c9723e0b47ca-1280x720.jpg)
普及する自転車のカーボンパーツ
2021年現在、手頃なアルミフレームのロードバイクや上位のクロスバイクのフロントフォークはほぼカーボン製です。
うちの新車のスペシャライズド・アレースプリントはアルミロードの代表ですが、フレームセットの3分の2(フォークとシートポスト)はカーボン製です。
![スペシャライズド・アレースプリント](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/01/885fc1c769d92e52479b052db4df60cf-1280x720.jpg)
入手先はヤフオクです。出品者の妙な採寸方法で『490サイズ』での出品物でしたが、実測は520サイズでした。身長170cm、股下72cmのぼくにはちと大きめです。
とくにサドルの高さは深刻です。上の写真はベタ下げのセッティングです。フレーム形状が特殊で、シートポストが下まで入りません。
![エアロシートポスト](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/01/b6fdc2d598d7ac322e0a23b607ed591f-1280x720.jpg)
おかげで乗り心地がソフトな三角木馬です。爪先がペダルに届かない・・・
エアロ&カーボンのカットは大変
解決策はシートポストのカットです。しかし、形状が扁平なエアロタイプで、素材がカーボンです。シートポストの中では最も厄介な組み合わせだ。
こんなふうにパイプカッターでさくっと切るとかできません。カーボンシートが圧に負けて、剥離します。そもそも形が合わない。
![カーボンハンドルバーにパイプカッターセット](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/02/e51e1dd95c74b893215d16567fe03cf5.jpg)
といって、のこぎりでギコギコやるのは大変です。カーボンは鉄より頑丈(同じ体積で強度は4倍、同じ密度で引っ張り強度は10倍)で、研磨や切削にはめっぽう無敵です。
![のこぎりでコラムカット](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/05/61968a7ab78f2b4ac116d2fd0350fa73.jpg)
ガラスのように折る・砕くのは簡単ですが、うまく削る・切るのは至難です。
カーボン用替え刃
で、しばらく未カットの高サドルで乗り回しましたが、股間に危機感を覚えて、専用工具を調達しました。
パークツールのカーボン用替え刃です。
![PARKTOOL カーボン用替え刃 CSB-1](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/01/f14d7a6aaa583af5d15a98c3efe30c3d-1280x720.jpg)
金属用はホームセンターなどにありますが、カーボン用はなかなか見つかりません。つまり、これは一種の専用工具です。
ちなみに上は別売りのカーボン用、下は付属の金属用です。でかでかと”CARBON STEEL”とありますが、これは刃の材質で、炭素鋼のことです。カーボン用ではなく、金属用です。
違いは刃の部分です。金属用はふつうのギザギザの山型ですが、カーボン用はザラザラの粒子のようです。これはおそらくダイヤモンドか超硬素材のパウダーでしょう。
で、これを使えば、きれいに楽にカーボンパーツを切れます。が、ガイドなしでは真っすぐに切り落とせません。
そして、手元のガイドはGIZA プロダクツのノーマルシートポスト用ソーガイダーだけです。エアロタイプのシートポストは物理的に入りません。
![GIZAプロダクツ ソーガイダー](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/03/a88dfd59ed8bfdea366ec8aa8fd73524-1280x720.jpg)
切断面はフレームの中に隠れます。加工のきれいさは性能面に影響しません。が、珍しくぼくの中の職人魂が「まっすぐに切れ」とおっしゃいます。
あれこれ考えて、厚めの本をくるっと巻いてテープで留めて、メンテスタンドのアームに固定しました。
![メンテスタンド固定](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/03/225c3e92b24b3e9220ed096df0d9acc8-1280x720.jpg)
結果的にこの方法は成功でした。カーボンパーツのカットにそんな大きな力は要りませんし。
何cm切る?
股下と相談して、切り代を決めます。と、その前にシートポストの表記をチェックします。
![シートポストの記載](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/03/239057a8bcdf932f803bd3b2fa36c9a0-1280x720.jpg)
小さな文字と目盛りが見えます。”minimum”なんちゃらの部分が最低挿入部分です。フレームにはここまで差さないと行けません。
長さ的にこのシートポストは未カットの初期状態に見えます。つまり、下端からこの”minimum”の目盛りまでが挿入部分の最小の長さです。
軽量化を考えるなら、ぼくの股下にジャストで合わせて、シートポストをがっつり切れますが、プレゼントや譲渡を考えて、多少の調整幅を持たせて、切り代を決めます。
ちなみにシートポストのカットは中古買取の査定に響きます。
シートポストを切る
切り代を5cmと決めて、カーボン用替え刃をセットしたノコギリでぎこぎこします。粉はモリモリ出ます。床養生と換気は必須です。
![鋸引き](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/03/0c438a7b7b01ca8998b935f2d4d8cf08-1280x720.jpg)
カーボン用の刃の見た目はシャープではありませんが、切れ味はスマートです。目詰まりが起こらない?
ちなみに剥き出しのカーボンは繊維質で油を吸いますから、潤滑油や切削オイルの類はNGです。必然的に粉塵は舞います。ゴーグルやマスクしましょう。
目を近づけ過ぎるのもよろしくありませんね。
![近づきすぎ](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/03/763d52d996bab10095465107748b0cec-1280x720.jpg)
で、ギコギコを続けて、正味15分くらいで切れました。
![シートポストカット完了](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/03/491d97e5b81ddb28b7344291fd4ed74c-1280x720.jpg)
切り終わりの側が少し荒れましたが、おおむね切断面はフラットできれいです。本をマスキング代わりに、メンテスタンドを万力代わりにすれば、ソーガイドなしで十分に作業できます。
仕上げは紙やすりです。几帳面な人は接着剤で断面を保護しましょう。
サドル高チェック
カットしたシートポストをフレームにセットして、サドル高を確かめました。無論、ポジションはベタ下げです。
![サドル高チェック](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2021/03/5cc93f85f63e7942a0cc5ed8b3d56ba4-1280x720.jpg)
室内では三角木馬感があります。さすがの股下72cm。外に出して、シューズを履いたら、良い感じで乗れました。
きれいにスマートにやるなら、この専用替え刃を使いましょう。そう高いものじゃあありませんし。
あと、エアロ形状のポストをきれいにカットするなら、専用ガイドを使いましょう。バイクハンドのやつが割安です。ノーマルポストやフォークコラム兼用です。
カーボンパーツの滑り止めにはアッセンブリバウンドです。Finish Lineのファイバーグリップが有名ですね。この容量は余るけど。