自転車の本体はフレームです。パソコンのマザーボード、建物の基礎、人体の骨格です。
自動車の『シャーシ』はフランス語です。和訳は『枠』、中訳は『车架』、で、英訳はやっぱり『フレーム』です。
バラでパーツを集めて完成車を組み立てる、『バラ完』はこのフレームから始まります。これが決まらないと、パーツ調達が始まりません。
CPUはドライブトレイン、メモリはホイールでしょうか。PC自作とチャリバラ完はそっくりです。
フレームの到着
現物の到着が前後しましたが、今度の新車の本体がついに届きました、EMS、国際速達配送で。つまり、おとなりの大陸からのおとどけものです。
アジア圏のEMSは一週間以内で来ますAliExpressの無料配送の英米ストアの二週間待ちになれると、とくにあくせくせずにのんびり待てます。
はい、ふたを開けましょう。
ていねいな梱包です。過去の個人的な海外通販の経験からアジア、英米、イタリアの順に梱包はアバウトになります。ラテン系はほんとにおおらかです、ははは。
反面、中華系ストアのだいごみが失せました。しにせのストアはイマドキに洗練されてしまいますし、へんなストアは即座に淘汰されます。
みごとなぐるぐるまきです、マミーか。
過剰包装じゃありません? この巻き巻きシートで45リットルのごみ袋が埋まってしまいました。
ちなみに中華カーボンホイールはすでにありますが、中華カーボンフレームはおはつです。
新鋭中華カーボン FASTERWAY
ぶあつい肉の壁を取りさると、ようやく本体のハンサム顔をうかがえます。
軽量なオールラウンド型のレーサータイプのフレームです。ザ・ロードバイクです。ブランド名はロゴのとおりにFASTERWAYです。
中華カーボンの定番はDenghu、Hongfu、BXT、Miracle Bikes、Seraphなどです。加工や塗装のOEMをやりつつ、自社モデルを開発します。
で、これらの王道中華カーボンのレポートはよそさまのブログやSNSでちらほら出てきます。二番煎じはネタ的におもしろいものじゃありません。
で、これらを避けて、仕様とジオメトリとにらめっこし、このFASTERWAYにたどり着きました。
BBrightと1 1/3のテーパーフォーク
このフレームのポイントはBBとフォークです。BBは汎用のBB86やBB30やねじきりでなく、BBrightです。一般的にはCerveloフレームのBBです。
そして、フロントフォークが1 1/8 to 1 1/3インチてめずらしいテーパーです。おおくは1 1/8 to 1 1/2を採用します。
こんなふうに1.5インチ用のヘッドセットのベアリングははみ出します。
おかげでヘッド回りの下側がすこし細身になって、正面のルックスがしゅっとしたイケメンになります。
Factor? NO Fasterway!
BBrightと1 1/3テーパー、この二つの特徴を持つのが英国の自転車ブランドのFactorのロードです。機材供給先はフランス籍のプロチームのAG2R La Mondialeです。
このFactorのバイクは2017年のツールドフランスに初参戦して、競合各社を抑えて、総合3位の成績をおさめます。まさに新進気鋭の自転車ブランドです。
セパレートダウンチューブのONE-Sが話題を集めますが、そのうらでオールラウンダーのO2がひそかに好評を博します。
そんなFactorのフレームにこのFATSERWAYはそっくりです。実際、別モデルのジオメトリとカラーはO2のAG2R版と完全に・・・げほんげほん! こんなときに持病の癪が!
ぼくのモデルはFactorのリストにありません。O2のシートステーはこんなにギャップダウンしませんし、ブレーキはダイレクトマウントでなく、ふつキャリパーです。
実際問題、これはO2のプロトタイプの没モデルじゃないかてぼくは推測します。とにかくじつにユニークな一本です。
ディレイラーハンガーのうらになぞの表記があります。H2? コードネームか!?
結局、最終的な判断基準はビジュアルです。マットシルバーの細身のビジュアルがぼくの気分とマッチしました。
これを53000円で買えるなら、こまかいことをとやかく申せません。
フレーム重量を計測
バラ完のPROSのひとつはパーツを個別にチェックできるところです。結局、完成車はパッケージ品に過ぎません。細部や暗部がはっきりしない。
フレームを計測しましょう。おおまかな軽さは手応えから分かります。1kgはない。ここから余計なものを取っ払います。
が、ヘッドの下側のベアリングが外れません。ハンマーで叩けばこじり出せますが、ぴかぴかのフレームに気後れします。最悪、ペイントやカーボンのチッピングが起こります。
安全策でトップのベアリングの重量からこれを皮算用しましょう。
実測20gです。じゃあ、これより大きい下側は25g(仮)です。
あ、フロントメカ台座も外れません。ボルトに角やスレッドがありません。これは10gぐらいでしょう。
正味、フレーム+ヘッドセット下側ベアリング+FD台座の実測です。サイズは52です。
870gです。ここからベアリングの25g、FD台座の10gを引きます。結果、まるはだかの塗装済みフレームの重量は835gです。かっる!
ストアの同カラーの52の公称値が880gです。これはディレイラーハンガー、アウター受け、ボルト、BB下のケーブルガイド込みの重量でしょう。
てことは、この現物はほぼほぼイーブンorアタリのフレームです。塗料の目安がだいたい100gです。未塗装の窯出し焼き立ての無地フレームの推定体重は750g前後になりますか。
おあそびのドロハン♡カーボン☆バイクには十二分な軽さです。
ヘビーなフォークとポスト
フレームはそんな軽量級です。一方のフォークがこうです。
385gです。コラム未カットです。これはそんなに軽量級じゃありません。ふつうのカーボンフォークです。
重さの容疑者はダイレクトマウントブレーキの台座です。この部分には金属の補強が入ります。でも、ダイレクトマウントは今回のテーマのひとつです。不可避。
そして、ダイレクトマウントのブレーキキャリパーはふつうのキャリパーより軽くなります。結果的にはイーブンないしやや軽になります。
ポストの形が心をざわつかせる
シートポストは230gです。
そこそこの重さです。きっちりカットすれば、200gを切れます。
サイズはスタンダードな27.2mmの丸形です。てことは、ドロッパーシートポストやサスペンションシートポストが入ります。
おりよくTMARSの3段式の格安ドロッパーが靴箱の奥にひそみます。前衛的なロードバイクが現実味をおびます。
中華カーボンの暗部をうかがう
外見はOKです。中身はどうでしょう?
ザラザラじゃねーか!
あ、まちがった。これはKONAの15万の台湾製の正規のフルカーボンフレームのトップチューブの中身でした。しまった、しまった。悪気はないよ ウヘ!
もちろん、新品購入時の組み立て前の写真です。市販のカーボンパーツのつくりさえがこんなもんです。性能は問題なしです。てか、超速い。
中華カーボンのトップチューブの実態です。
おお、カーボンの生地の目がきれいじゃありませんか。好印象です。
つぎはBB裏からトップチューブの胃カメラです。
ダウンチューブ付近の接着はふつうです。BB圧入部はていねいです。
BBシェルの左の裏におくゆかしきチャイナっ気が出てしまいました。アイヤー!
今回、ガラスコーティングを試そうと思って、アマゾンでおすすめのやつを買いました。表側を塗った後でここをぺたぺた補強しましょう。
シートチューブ内です。
パイプのところはじつにきれいです。総合ポイントはかなりの高得点です。カーボンパーツの本場の地力が知れます。
細部を見る
細部を見ていきましょう。末端はえてしてざつになります。
各所のねじ穴をチェックします。へんなつっかかりや曲がりはありません。
ケーブル内装用の穴です。
きれいなパンチングです。
中華カーボンフレームのインプレ
重量はA、内部はB、細部はAです。ファーストインプレッションはA’です。有名ブランドの市販フレームと比べても、特段のCONSを感じません。
走行性能うんぬん、ブランドうんぬん、ステータスうんぬん、アカデミックうんぬんは別のはなしです。
今や中華ストアに頼まずとも、アマゾンで買えます。ICANは有名ですね。