山の国の日本ではヒルクライムが人気です。大方のイベントやレースは上りオンリーです。
まず、大会運営者・主催者が下り、ダウンヒル、DHを敬遠します。ロードバイクのダウンヒルレース、DHイベントてのはまれです。
でも、結局、参加者は上りのレース後には自走で下らねばなりません。トラック搬送では下山が追い付かない。日が暮れます。
個人的には下りまでをイベントやレースに含める方が結果的に安全であるように思えます。事故や落車は気のゆるみ、油断から起こりますし。
保険の適用範囲や責任の有りどころの問題でしょうか。イベント後の下山途中のトラブルは主催者の埒外にあるとか? うーん、なぞです。
そのおかげで全国各地の坂道がもてはやされます。きつい坂、ぞくに激坂は畏怖の対象となり、神格化すらされます。八百万の大和国では山も坂も神になりえます。
ぼくはロード乗りじゃありませんし、競技志向じゃありませんし、坂バカじゃありませんが、はなしのネタに関西の各所の激坂に訪れます。
これの記念写真がけっこうな数になりました。そんな坂のコレクションをインプレとともにお届けしましょう。関西サカコレです。
関西の激坂コレクション
ぼくの地元は北大阪です。そして、チャリンコスタイルは完全自走派です。ために近畿、関西の坂が多くなります。
ついでにメイン機材がMTBです。車タイヤはオフロード系になります。登りには向きません。
で、タイム、足つきなし、ギア縛りみたいなところは二の次です。てか、大半はハイキングになります。
それぞれの解説はデータ的なものではありません。所感、感想、インプレッションです。おおらかな気分でざっくりと行きましょう。
箕面駅から浄水場前まで
うちの最寄りのとうげは北大阪のヒルクライムの名所の箕面の山です。ふもとの西田橋から山頂の勝尾寺へのルートは人気ベスト1にかがやきます。
この西田橋-勝尾寺が表勝であれば、浄水場前-勝尾寺は裏勝になりましょうか。距離がすこし間延びして、上り下りにメリハリがなくなります。
そのうえ、ふもとの箕面駅前からスタート地点の浄水場前までの上りが10%越えのきつい坂です。実質、ヒルクライムのピークは山の前にあります。
あと、ここらのお宅はモダンでゴージャスです。金持ちやな~。
池田駅前から五月山料金所
箕面のとなりの山が五月山です。こちらも北摂の定番のヒルクライムコースです。スタート地点は五月山ドライブウェイの料金所です。箕面方面へと合流します。
が、またしても、スタート以前の阪急池田駅前からの住宅地の上りが10%越えのセミ激坂です。
五月山ヒルクラのスタート後の序盤も余裕の10%です。
で、この後に秀望台の絶景が来ると、おなかがいっぱいになります。そして、ここからがんばって登っても、これ以上の展望をついにおがめません。
六甲最高峰への坂
上の写真の街並みの向こうにそびえるのが阪神間の名峰、六甲山です。阪神タイガースの応援歌の『六甲おろし』はここを吹き降ろす北風のことです。
これが酒造りに良好でして、おひざもとの灘はいちばんの酒どころです。菊正宗、大関、白鶴などなど。
そんな六甲山には無数の登山、ハイキング、ヒルクライム、オフロードのコースがあります。ロードで行ってもMTBで行っても徒歩で行っても楽しめます。
ヒルクライムの人気コースは阪急逆瀬川駅前から六甲山山頂の手前の一軒茶屋までのルートです。距離11km、標高800mのハードコースです。
ゴールは一軒茶屋です。「ここまで来たら山頂まで行くわ~」て、人の前に立ちはだかるのがコースいちのゲキサカです。
コンクリ&滑り止め! これこそが激坂のあかしです。11kmをヒルクラった足と目にこの勾配とビジュアルはビシビシ効きます。短さがさいわいです。
宝塚の塩尾寺への坂
逆瀬川-六甲山ヒルクライムの影に隠れがちですが、宝塚には最上級のゲキサカがあります。阪急宝塚南口駅前から塩尾寺へのヒルクライムです。
このルートは距離2.6km、標高300mです。平均勾配が10%を超えますし、最大斜度は25%になんなんとします。
歌劇団の劇場がある宝塚南口駅前から甲子園大学前を経由して、きっつい坂に至ります。途上の住宅街がなかなかの迷路です。
第一関門がこれです。目をそむけないで! 直進が正解です。
住宅街をぬけると、人わびしい道に入ります。登山者とは逆走になります。
ゴールにはお寺があります。読みは『えんぺいじ』です、TO THE ENPAGE! 境内のトイレとベンチで一休みしましょう。
ちなみにこの寺の左手には六甲山系を縦断する六甲全山縦走の取り付きがあります。MTBダウンヒル的にはここが下りのゴールです。
オフローディの血が騒ぐぜ・・・行っちゃいますか?!
行っちゃいました!
ひさかたぶりのトレイルだぜ!
中間地点の舗装路です。通常のヒルクライムルートと合流します。縦走の正解は真正面の崖みたいなきっつい石段です。チャリ担いでGOGOGO!!!
土砂崩れだぜ~!! かんたんに崩れんじゃねーよ!! 雨降って地固まれよ!! ファイツ六甲! ドンマイ山!!
最終局面でなごり雪だぜ!! 路面がズルズルだ~!! タイヤが泥で目詰まりした~! ヤベー!
結局、時間的、体力的、精神的なゴールはここになります。
デ、デジャヴ・・・ひい~!
当たり前ですが、舗装路できつい登りは未舗装路ではもっときつくなります。途中の雪解けでぬかるんだ鎖場がまじにベリーハードでした。
まあ、ギリ日没前に山を抜けられました、めでたしめでたし。
神戸市内の山の手
神戸の市街地は六甲のふもとのきわきわにあります。そして、町の向こうはすぐに海です。
「ぷらっとポタリングするか~」
て、軽い気持ちで山の手に行くと、もれなくこういうゲキサカに見舞われます。
ほんとに中心地から10分でこうなります。10度は軽く超えます。パンを食べるなら、海側へ行きましょう。
京都の千束坂
京都には山のイメージがありません。でも、この古都は盆地のなかにあります。周辺は山だらけです。ヒルクライムのスポットには困りません。
京都市内のいちばん人気は市街地の北側の京見峠ヒルクライムです。金閣寺の奥の方になります。
そのヒルクライムのルートのひとつ外れにピンポイントの激坂があります。千束町の千束坂です。
距離200m、斜度25度てところです。滑り止めは減速帯です。生活道路のようです。路上のチューブはつわものどもの夢の跡だ。
下りの角度がデンジャラスです。そして、左側が全く見えない。
そら、電信柱がバグりますわ。
距離の短さがさいわいです。勢いでうりゃーて登れます。そして、勢いでうりゃーて下ったら、集落の奥へと向かいましょう。真のゲキサカがあります。
古道長坂道
この千束町のはてにあるのが古道長坂道です。長坂、て名前がすでに期待と不安を抱かせます。そして、それはいつわりなしです。
長い古い坂が木立のあいまにずっと続きます。
斜度はそこそこですが、路面がタフネスです。落ち葉と枯れ木と瓦礫がアスファルトを覆いつくします。
ゴール?は分岐です。
左はレストランヘの道? 右は京見峠ヒルクライムへ合流します。
この道を上るローディは皆無でしょう。車やバイクは走れません。下りはMTBにはマイルドです。グラベルやオールロードで京見峠を登って、長坂道を下るのがベストです。
暗峠
大阪府の東のはてにそれはあります。暗峠、くらがりとうげ、ダークネスヒルです。奈良と大阪の境界の生駒の山を最短でまっすぐに突っ切ります。
大阪側と奈良側のいずれが最強の難コースです。数値の軍配は大阪側に上がります。
距離2.4km、標高400m、平均斜度は17%です。最大斜度は25度、37度、40度オーバーの諸説にばらけます。
踏切の先のスタート直後の光景です。一切の手加減なしで急な登りが襲い掛かります。
基本的にこれがずっと続きます。
山道に入ると、名物のみぞの洗礼を浴びます。セミファットタイヤがすっぽり入ります。
決して振り返らない。
ぐは!
登りはベリーハード、下りはサバイバルです、まじで。高ポジのサドルとビンディングではダウンヒルできないよ、怖くて。
鳥居があります。1kmの目安です。
S字カーブです。チャリを自立させるのが精一杯です。
ちなみにここは国道です。
終盤です。ついに坂が途切れて、空が見えましたで!
あ、車はがんがん通ります。奈良への下道の最短ルートですから。
ゴールのとうげの石畳ではパリ-ルーベのクラシックレースの疑似体験を味わえます。江戸時代初期には参勤交代の、後期にはお伊勢参りのルートになったそうな。
ソフトテールや電子サスの最新エンデュランスロードならいざしらず、ヒルクライムバイクにこのデコボコは酷です。
奈良側の登りもそうとうなものです。帰路に一人のクライマーを見つけました。
ぼくは距離だけを見て、この暗峠=308号線ルートで奈良まで行きました。このさきにもう一つの榁木峠があります。往復で4回のヒルクライム&ハイキングです。へとへと!
天保山で和む
激坂に疲れたら、天保山でほっこりしましょう。山頂から海抜0メーターの大阪湾が目の前です。