自転車の心臓部がBB、ボトムブラケットです。クランクのシャフトの軸受けのことです。
スクエアテーパーや旧世代のオクタリンクは一体型です。
クランクのシャフトがBBに付きます。ママチャリ、一般車、クロスバイク、小径車、ミニベロのBBはこれです。
一方のスポーツバイクのBBは中空型です。クランクのシャフトはクランクに付きます。圧入式のBBはまんまカップやシールドベアリングです。
2018年初のBBのメンテ
で、上のうちのメイン機はKONAのフルカーボンのトレイル用ハードテイルフレームです。シェルはつるぺたです。ねじみぞはない。BBは圧入プレスフィットになります。
BB92
ハンガーの幅はジャスト92mmです。BB92です。独自規格じゃありません。汎用規格です。ロードのBB86のMTB版になります。
BBはクランクに準じます。で、事前にテーマカラーが緑に決まりました。緑色のクランクは激レアです。条件に合ったのがRACEFACE Atlasクランクでした。30mm軸です。
RACEFACEのクランクは好評ですが、BBはやや不人気です。社外製の代用品を検討しましたが、はじめての圧入BBにビビッて、安全パイを選びました。
結果的にとくに不満なく使えます。うわさの音鳴りはしません。整備性も悪くない。たびたびゴムハンマーで叩き出して、おそうじをします。
「プレスフィット、余裕っすわ~。ネジキリネジキリ! て騒ぐやつの気が知れんわ~」
て、余裕をぶっこいて扱いに慣れたやさきにバキッってやっちゃいました。
なんでしょう? はい、BBカップの外側に入れる樹脂製のダストシールです。玄関でメンテ中にその辺にほったらかして、靴でべきっと踏んじゃいました、ありゃー。
案の定、シールの割れ目がペダリングの最中にパキパキて鳴ります。耳障りな音です。もっとも、ぼくはそんなに神経質じゃありませんから、しばらく使い続けます。
つづけざまに別の不具合が表面化します。ベアリング球のサビです。これ以前にカップの内側のパッキンとスリーブを外して、回転性向上を試みました、ほんの出来心で。
それでレイニーライドやスノーライドやシャワー丸洗いをしますと、むき出しの鋼球をビチャビチャにできます。そして、冬場で水気がなかなか抜けない。
あげくにサビ色のにじみがシェルの外まで出てきました。茶色い汚汁をしたたらす愛車・・・ふびんです。
もののついでです。BBを総とっかえしましょう。で、たびたびのむやみなメンテナンスで圧入への不安がすっかり消えました。
なれば、安い中華パーツが視野に入ります。
2018年のメモリアルな1st中華パーツです。
セラミックベアリングのBB
AliExpressやeBayをめぐれば、いろんなBBをおがめます。しかし、BB92、30mmのボトムブラケットは圧倒的にレアです。SRAMとSHIMANO用ばかりです。
Shimanoのクランクのシャフト径は24mm、SRAM GXPクランクのそれは左右異径の22-24mmです。新規格のSRAM DUBは28mmです。これの代用品も早晩におめみえしましょう。
30mmスピンドルのRACEFACEのクランクはこれらに入りません。RFの純正のBB92はカップ外径41mm、ベアリング内径30mmです。
で、これに近いものを探します。これが目に留まりました。
スリーブなしのカップ型プレスフィットBBです。圧入部外径は41mm、ベアリング内径は30mmです。カップの数値は合います。
本来はROTORかFSAの代用品か補修品でしょう。BB92用ではない。しかし、上記の純正のBB92用の『らしさ』は樹脂製のスリーブだけです。
正味、両端のカップがOKであれば、幅はそんなに神経質じゃありません。スリーブを入れなければ、ぴたっと圧入できます。
WISHBONEやTRIPEAKみたいに中で連結するタイプの圧入BBはむりです。幅が固定です。
92mm幅用はあるが、30mm径用がない!
そんなわけで上記の4130の汎用品らしいカップ型BBを買いました。鋼球モデルが2000円、セラミックボールモデルが4000円です。
「おいおい、桁がちがわんけ? セラミックBBが4000円ぽっちであるかいな」
て、意見はもっともです。セラミックスピードやENDUROのベアリングは軽く万円を越えます。でも、中華セラミックはこんなもんです。
スクエアテーパー用のフルセラミックのシールドベアリングさえが一個千円です。
30mmシャフトの互換は?
ところで、セラミックはおまけです。今回、わざわざ詳細不明の4130BBを取り寄せたのは30mmシャフトの互換性をたしかめるためです。
現行、30mmシャフトのクランクはROTOR、FSA、HOPE、RACEFACE、キャノンデールのHOLLOWGRAMクランク、スペシャライズドのSWORKSクランクとかです。
このFSAのBB30用のクランクはRACEFACEのBB92カップにはまります。が、シャフトの長さが足りません。BB30とOSBBのクランクのシャフトはほかより短くなります。
反対にシャフトの径と幅を合わせれば、30mm内径のカップにいろんな30mmスピンドルのクランクを嵌められそう・・・て、もくろみました。
「30mmのBBにシマノクランクをつける!」みたいなレポートは山のようにありますが、「30mmのBBに30mmを使いまわす!」はぱったり見当たりません。
じゃあ、自分でやりましょう。
ふん? パッキンに『TAKINO』て刻印があります。日本企業のベアリングか? 調べましょう・・・ふむふむ、台湾のベアリング屋みたいです。競技用ローラースケートがサーチで出てきます。
BB交換
では、うんちくをこのへんにして、作業に取りかかります。メイン武器はゴムハンマーとタイヤレバーです。ごり押しDIY大作戦です。
タイヤレバーで叩き出す
BBを外しましょう。クランクを取っ払って、タイヤレバーのさきっちょをカップの内側のくぼみに当てて、バカスカ叩きます。
タイヤレバーの硬さが絶妙です。カップを傷つけずに叩き出せます。金属ドライバーやノミはNGです。
はい、3分でスコーンと抜けました。圧入BBのメンテ性の悪さは誇張的に語られますが、実態はそんなに気難しくありません。
カップのさびです。
パッキンを外して、グリスを抜いて、水をしこたまぶっ掛けると、こんなふうなベージュ色に染め上げられます。回転はそんなに悪くありません。
シェルをクリーニング
フレーム側のサビの付着がざんねんです。
BBシェル内のカーボンの表面はノンコーティングです。粒子が繊維にめりこみます。神経質な人はここで頭を抱えましょう。
O型のぼくはぼろい服でさっと乾拭きします。売り物じゃないしね。
グリスをちょろっと塗布します。あんなにたっぷり詰まったAZの万能グリスがついに空っぽになりました。2年でこれはややオーバードーズです。
缶入りのピカールはぜんぜん減りません、ははは。
ゴムハンマーで叩き込む
新BBカップをシェルにONします。
で、ゴムハンマーでまんべんなく叩き込みます。はじめてのBB圧入の慎重さがうそのようです。カーボンフレームは予想外にフランクでした。
左カップを同様に叩き込んで、ぶじに圧入プレスフィットを完了します。てか、もう叩入スタンプフィットです。
クランクを洗う
クランクの軸です。
シールドベアリングとのコンタクト面と右アームの圧入部に焼き付きみたいなしつこい汚れがこびりつきます。
ピカール! で磨くと削りすぎますから、洗濯用の粉洗剤でごしごし洗います。
風呂上がりのようにこざっぱりしました。
いよいよBBに通します。現物合わせはドキドキものです、うへ!!
はい、スパッとはまりました。ギチギチでもなくユルユルでもなし。及第点です。ヨカッター。
ただし、カップの出代がRACEFACEのやつより肉薄みたいです。シールなしでポン付けすると、クランクの遊びが出ます。
テキトーにワッシャやスペーサーで仕上げました。
すでに10回くらいこの方法でメンテしますが、音鳴りとかゆるみとかにはお目に掛かれません。圧入BBの異音は都市伝説のようです。
あ、回転はふつうです。カップのパッキンとグリスが足をひっぱります。そのうち、外してやりましょう。
禁断のパッキン外し
後日、カップのパッキンを外して、グリスをちょろっと拭き取りました。もうノンシールドベアリングです、ははは。
効果はぜつだいです。回転が一気に3倍になりました。この一件から防水防塵シールの摩擦抵抗のすごさが知れます。
回転のなめらかさににんまりしながら、水をぶっかけないように注意しましょう。性格的にむりだな・・・