変速機メーカーの御三家は堺のシマノ、ヴェネトのカンパニョーロ、そして、シカゴのSRAM社です。
話題の油圧式ROTOR UNOやセミ無線電動FSA K-force WEは四葉のクローバークラスのレア中のレアです。街中で見かけたら、幸福になれます、きっと。
SRAMのフリーボディXDドライバ
SRAMの看板商品は”1x”です。読みは『いちえっくす』でなく『ワンバイ』です。フロント変速なしのフロントシングルのスタイルの総称です。
SRAM=シカゴのフロントシングル屋さんです。
一方のぼくらのシマノはフロント変速の有力な特許を多く持ちます。フロント変速では他社の追随を許しません。
シマノ=堺のフロント変速屋さんです。
で、SRAMはシマノに匹敵する独自のフロント変速をついに開発できなかったので、
「えーい、もうフロント変速をなくしてしまえ! で、リアメカをめっちゃ軽くしてしまえ!」
というコペルニクス的大転換をして、1xのフロントシングルを定着させて、一気にジャンプアップしました。
当然、シカゴのこの流儀は堺のフロント変速屋とは相容れません。シマノはフロントシングルには消極的でした。
しかし、この1、2年でわだかまりや特許問題がクリアになったか、シマノ純正のナローワイドリングやBOOSTハブが出ます。
小ギア使えるXD
SRAM XDの形状です。
スプロケの台座が平坦でなく、トップのところでギャップダウンします。これで11T以下のトップギアやセカンドギアを乗せられます。
現時点のSRAMのXD用の純正カセットは10T~です。最小は社外品の9Tです。
11Tと9Tでは20%の差が出ます。単純にギア2枚分の差です。フロントのチェーンリングを大きくするより合理的です。
以前、ぼくはミニベロのフロントに62Tの大リングを付けましたが、チェーンライン、チェーン外れ、ステー干渉、と毎日のように泣かされました。
実のところ、シマノはXDみたいなシステムをすでに開発します。小径車用のCapreoのフリーボディです。
しかし、いかんせん、カプレオは9速です。そして、ハブが専用です。フリーボディだけの交換はむりです。
おのずとホイールは手組みです。カプレオモデルの完成車は最近では見ません。
SRAMのXDフリーの折り畳み自転車はTERNから出ます。TERN Verge X11がそうです。これのリアがSRAM XG 1150、10-42Tの11速です。
お先に3Tがロード用のXDカセットを発表
春先の自転車新商品の情報の発信源は台湾の台北サイクルショー、秋口のそれはドイツのEUROBIKEです。
で、今年のEUROBIKEでイタリアの3T社がロード用のカセットを発表しました。BailoutとOverdrive、同社の2nd完成車モデルのエアログラベルSTRADA用のスプロケットです。
ギアは共に9-32Tの11速です。レシオは3.56です。XDドライバー的にはミディレシオ、ふつレシオデすね。
なぜならXDは基本的にオフロード用です。レシオはのきなみ400%オーバーです。Eagleシリーズの12速カセットは10-50のジャスト500%ですし。
かようにSRAMの純正のロード用XDカセットはありません。10-32や10-36の開発のうわさがちらほら聞かれますが、ちまたのうわさに留まります。
後日、ぼくはセール品を買って、ミニベロに装着しました。
オーバースペック!
SRAMのロード用XDフリー、XDR
で、本家のSRAMの動向です。オールロードバイクのXD化は時間の問題です。今回のEUROBIKEでの発表はありませんが、XD計画は水面下で着々と進行します。
XDRです。もちろん、このRはROADの頭文字です。台座の形状はノーマルXDとおんなじです。根元のツメ、中段のネジ切り、トップのギャップです。
ぱっと見のちがいはロゴだけです、ははは。でも、XDとXDRは完全互換じゃありません。XDRの方がXDより1.8mm長くなります。
ロード用のXDRのフリーにオフロード用のXDカセットを付けるなら、1.8mmのスペーサーを挟まなきゃなりません
て記述があります。なに、それ?
今日のラインナップにはXDのカセットだけが並びます。現在の観点からこの1.8mmは無用の長物に見えます。
しかし、これはその先のロード用の12速カセット、万が一の13速カセットのための重要な1.8mmです。
オフロードのスタンダードは148mmのBOOSTに移行中です。ロードではディスクロード化に伴うエンド幅の拡大とスルーアクスル化が本格進行中です。
十中八九、つぎのSRAMのロード用のレースグレードREDはこの142mmエンドの幅のスルーアクスルに最適化されます。
現状のノーマルXDで12速化は可能です。XDRはそれよりワイドになります。13速化の兆しでしょう。