本体のフレーム、回転駆動系のドライブトレイン、仕上げのフィニッシュ、そして、足回りのホイール、これが自転車パーツの4大元素です。
ホイールはゆるむ
ホイールのへたりはおもに連結部分に出ます。古い靴のアッパーの縫い目やソールの繋ぎ目がパカパカするようにニップルやスポークがゆるみます。
このゆるみが度を過ぎるorスポークやニップルが破損すると、『振れ』が出て、リムがぐにゃぐにゃ波打ちます。
リムブレーキホイールの振れはブレーキパッドに抵触して、しゅっ…しゅっ…to断続的な音を出します。目ざわりで、耳ざわりです。
で、この不具合を解消するのがホイールの振れ取り作業です。自転車のメンテナンスのなかの上級者向けコースです。
はじめての振れ取り
振れ取りの作業はシンプルです。スポークニップルを締めるor緩める。これを繰り返して、リムの張りを均一にして、ホイールをきれいな円に近づけます。
ニップルとスポーク
振れ取りのかなめがニップルとスポークです。ニップルが雌ネジ、スポークが雄ネジです。
ニップルやスポークが何がしかの不具合を起こすと、テンションの均一性が失われて、リムが部分的にぐにゃぐにゃ歪みます。これが振れです。
また、ニップルやスポークは経年で緩みますが、締まりません。組み立て、未使用がもっともフレッシュです。定期健診の目安は一年ですね。
工具はニップル回し
振れ取り作業の最重要アイテムがニップル回しです。これはスタンダードなマルチタイプです。
数値はスポークヘッドのサイズです。14=2mmや15=1.8mmが標準的です。
こちらはインターナルニップル用のY字型ニップル回しです。リムのなかに隠れたニップルを外側から回します。
ソケット形状は六角or四角です。
自転車をひっくりかえす
振れ取りのもう一つの重要アイテムが振れ取り台です。ホイールをこれに乗っけて、こまかな調整します。カリカリのチューンナップには必須です。
が、この振れ取り台はかさ高、割高、出番少です。初心者が見切り発車で買ってしまうと、98.3%でもてあまします。元を取れない。
同じ金額でのむラボみたいなプロに振れ取りを頼めます。工賃は実費別で2000円~です
てなわけで、伝統的な代用方法がチャリダーのあいだに伝わります。それが自転車ひっくりかえし作戦です。
振れ取り台みたいな専用工具を通販でぽんぽん買えるのはせいぜい2010年以降の事情です。旧世紀の自転車乗りたちはおおむねこの方法で急場をしのぎました。
ニップル締める
スポークはリムからホイールの回転軸のハブの左右のふち=フランジに向かいます。方向は規則的です。右左右左…
上の図の1のスポークのニップルが赤矢印方向に締まると、スポークが青矢印方向にぴんと張って、リムが黄色矢印方向によります。
また、1のスポークの張りが十分であれば、両隣の2、3が緩んでも、リムは黄色矢印方向によります。まさに綱引きのイメージです。
ニップルの締めと緩め、振れ取りはこの作業のくりかえしです。で、最終的にいびつな部分をなくして、ホイールをきれいな円にする。
全体のテンションを低くすれば、やわらかいホイールにできます。テンションを高くすればば、リムをかちかちにできます。
ただし、この簡易な方式では部分的なスポークの修正は可能ですが、一からの手組は不可です。