スポーツバイクの別名がパンクバイクです。パンク修理の一幕は週末のサイクリングロードの風物詩です。
暗躍のスローパンク
自転車のパンクは計5種です。
- 摩耗パンク
- リム打ちパンク
- 穿孔パンク
- バーストパンク
- スローパンク
2-4は瞬間的に短期間に表面化します。バーストはほんとに一瞬です。BAN! でチューブやタイヤが破裂します。
5のスローパンクは対照的です。字のまんまにスローなパンクです。空気漏れ、減圧ですね。数分から数時間でエアーがじわじわ抜けます。どくのような継続ダメージです。
で、変化の度合いが微温的ですから、犯人探しや原因究明が難航します。がさ入れがあやしい部分の総当たりになる。めんどくささは異音、音鳴り対策に迫ります。
スローパンクの容疑者たち
空気は最優秀な緩衝材です。空気入りチューブ、空気入りタイヤの発明でノリモノの性能は一変しました。反面、パンクの呪縛がつねにつきまといます。
ゴムそのもの
そもそもゴムの気密性は完全ではありません。ゴムは気体を通します。天然ゴムはなおさらです。風船はかってにしぼみますし、ラテックスチューブは一夜でへなへなになります。
一般的な自転車のチューブのブチルゴムははるかに高気密です。
が、気密性はカンペキではありません。軽量薄型のものはなおさらです。高圧な気体はよけいに透過します。ロードバイクのチューブはもろに影響をこうむります。
バルブ
通常の自転車のバルブは金属とゴムの複合体です。
こういうMIXちゃんぽんの仕上がりは単一素材に劣ります。つなぎめとその補強部分がネックです。単純なソリッドさは風船に及びません。風船はゴム100%でパッチレスでシームレスですし。
しかも、上記の左側のバルブのコアはこんなふうにばらけます。パーツが多くなれば、つなぎめが多くなって、空気漏れのすきまがふえます。ここのゆるみは意外と盲点です。
ピンホール
チューブは薄手のゴムです。ささいな傷、こすれ、けずれが命取りです。ピンホールは目に留まりません。
これはイージーなピンホールです。
ピンホールは外的要因ばかりではありません。製品の精度のハズレはたやすくピンホールになります。バルブの根元の補強パッチのふちがしばしばそそうをします。
ハズレやムラはつなぎめのところに出ます。げんみつにはここのCONSは初期不良ですが、返品の可否はさだかではありません。スローパンクを察知できるのはおおむね使用後ですし。
そして、この補強部分の傷や穴の修理はめんどうです。パンク修理の修理パッチがうまく張り付きません。シーラントのが有効でしょう。
リムテープ
スローパンクの主犯格のピンホールの黒幕の有力株が古いリムテープです。
スポークニップルの穴の部分がチューブの高圧を受けて、こんなふうにべこってへこみます。中間管理職のようにストレスフルな立場です。
で、これが度をすぎると、エッジが鋭くなって、チューブの表面に食い込みます。結果、ピンホールです。
この場合、チューブを交換しても、根本的解決には至りません。対策はリムテープの交換です。目安は一年ですね。
かたいプラスチックのテープがこんなふうにぼこぼこします。ストレスフル! しかも、年中無休です。たまには黒子のリムテープさんに思いをはせて、チューブの空気をそっと抜きましょう。
鬼高圧のパンパンのカチカチにするのはもってのほかですよ。
異物
自転車はアウトドアです。外に出れば、ノイズにまみれます。砂、草、ゴミetcetc…
また、家の中もパフェクトな無菌室ではありません。畳のくず、ほこり、なにかの破片、毛などなどがあちらこちらに散らばります。
これらのささいなノイズがなにかの拍子にタイヤとチューブのすきまに入り込むと、またもやピンホールの遠因になりえます。ひとえにチューブのうすさと高圧のためです。
和室の畳のわらくずや木工ボードの木くずはきゃしゃなチューブには針のようなものです。砂つぶ、ワイヤーの切れ端などもおなじです。大きな穴をあけずとも、小さな傷をつくりだします。
で、高圧が手伝って、うすいところがさらに薄まり、よわいところがさらに弱ると、空気がちびちび漏れ始めます。
タイヤ交換、チューブ交換のさいには異物チェックをおこたりなく。短髪の剛毛の抜け毛さえが角度次第でぶしゃっと刺さります。繊維は針です。