一般人の地図の標準はGoogle Mapです。次点がOSMでしょうか。支持率は99:1くらいでしょう。大半はGoogle Mapを使います。
最近、GoogleとZENRINとの契約が切れて、日本国内の地図の見栄えが少し変わりました。一般的な意見では「劣化だ!」とか「改悪だ!」とかの声が多数です。
そのせいかぼくのお気に入りのポイントの幾つかも新地図上では無銘の更地になってしまいました。地方のマイナーポイントは要注意です。
他方、ルート設定のいちばん人気はこれではありません。ルート引きや距離測定の主役はルートラボです。こちらはヤフーのサービスですね。
ことさらに距離と高度にこだわる自転車乗り、ハイカー、トレイルランナーみたいなアウトドア系ユーザーがこの国内サービスに絶大な支持を寄せます。
こんなふうに距離と高度が視覚化されます。でも、ざんねんなおしらせが上タブに見えますね、ははは。
はい、このようにルートラボが終了します。公式発表です。サービスは2020年3月31日までです。自転車乗りの悲鳴が聞こえます。
バイバイ、ルートラボ!
このルートラボの詳細をおさらいしましょう。これは国内ポータル最大手のヤフーのLatLongLabプロジェクトのサービスのひとつです。全六種のサービスがあります。
- ルートラボ
- yubichiz
- うごけ! 道案内
- TOKYOdacade
- ぽ地図
- 4×3印刷
地図、位置情報系のサービスです。ルートラボ以外はぼくにはなぞです。で、LatLongLabが2020年3月31日で終了しますから、全アプリが必然的に終了します
サービス終了後には上記のようにウェブサイトへ埋め込んだアクティブガジェットも機能しなくなります。
日頃からルートラボのライドログや自作ルートをべたべた貼りまくる国内の自転車ブロガーは近日の貼り替え作業に頭を抱えましょう。
ちなみにわたしはGoogle Map派ですが、なにか?
永久ベータ版
おおもとのLatLongLabにもルートラボにも”Lab”=ラボて言葉が見えます。つまり、これは元より実験的プロジェクトです。
げんにルートラボは永久ベータ版、永遠ロケテストみたいなアプリです。ビジネス化、本稼働はついぞ行われません。
そのせいかメインページのビジュアルさえがどこかNPOサイトぽく見えます。案の定、実験は実験で終わってしまいました。
基幹プラグインが終了
ルートラボの危機は初めてではありません。数年前にブラウザの互換性問題が起こりました。
ルートラボの完全動作にはSilverlightてプラグインが必須ですが、これはMS系のIE系ブラウザのプラグインです。
で、この基幹プラグインのSliverlightのサービスが2021年に終了します。そして、IE系ブラウザはすでに標準ではありません。この時点でルートラボの未来が決定しました。
後日、javascript版が出て、互換性問題は一応の決着を見ましたが、後手後手の感が大でした。なぜに開発者は最初からJSで作らなかったか・・・
ルートラボの代わりはなにか?
現時点ではルートラボの正当後継サービスの発表はありません。てか、圧倒的大多数にはGoogle Mapがありますし。
距離や高度の正確さに病的にこだわるのは几帳面な自転車乗りやトレイルランナーばかりです。一般人やO型さんはそんな数パーセントの誤差を気にしません。
ヤフーの地図系サービスの大成功は雨雲レーダーだけです。ほかはのきなみ全滅です。
国土地理院データ+独自アプリ
国内の地図の最も権威的なものが国土地理院のデータです。「基盤地図情報のダウンロード」から無料でダウンロードできます。ただし、要会員登録です。
これとネット上の独自アプリ(轍ONLINE? カシミールなんとか?)を組み合わせれば、より完全なるアカデミックルートを作成できます、たしか。
しかし、この方法は上級者向けです。ぼくは前にこれをやりかけて、会員登録で挫折しました。正確性の一点を妥協すれば、Google Mapでだいたいまかなえますし。
Google Mapのルートはめんどい
はい、現実的な手段が登場しました。Google Mapです。
ちなみにぼくは最初からGoogle Map派です。こちらでルート作成を始めまして、のちにルートラボに触りました。
たしかにルートラボでは細かいルート作成はらくちんです。二点間の自動補正が優秀だ。
Google Mapでは自転車用のルート作成はわりとめんどうです。自動車用と徒歩用のやつはポチポチでばーっと出ますが、自転車用は「ルートが見つかりませんでした」となります。
日本版のGoogle Mapの自転車ルートは永遠のベータ版です。稼働の気配は絶無です。結局、日本ではクルマさまが最優先ですし。
Google Mapのルート作成の難点は表示の足りなさです。二点間のルート作成では細かい距離、高度が出ない。そして、ルートラボみたいなグラフィカルな表が出ない。
大阪市内みたいな平坦な場所では高低差のグラフは出ません。「全ルートがほぼ平坦」てそっけないアラートが来ます。
きちんとした距離を出すなら、ラインツールでちまちまルートを作って、そのラインから推定距離を換算します。
実際問題、上の大阪-京都の淀川サイクリングロードのルートは完全手動です。100個以上のポイントを打って、ルートにしました。作成時間は1時間です。
自動ルートでは河川敷の遊歩道はルートになりません!
ぼくはブログ記事にスマートに埋め込むためにルートラボのNPO的野暮ったさを嫌って、上のGpoogle Mapのルートを採用ました。
が、ふつうの人はこんなめんどうなことをやれません。だれがこんなポイント乱れ打ちをやります? 点描か。
しかし、ウェブ上にさくっと埋め込み表示できるルート込みのマップはこれくらいです。くだんのようにルートラボは完全に終わりますし。
でも、一般人にはウェブサイトへの埋め込み機能は不要でしょう。ふつうにルートを引いて、保存して、サイコンにデータをインポートして、SNSで友達とシェアできれば。
多分、ルートラボの終了でいちばんの打撃を受けるのは自転車、ハイキング、トレイルランのブロガーやSNSラーです。埋め込みがネックですね。
別の機会にGoogle Mapのルート作成の仕方を紹介しましょう。
Garmin conectやその他のアプリ
ルートラボユーザーはこのルートラボ終了のおしらせを受けて、いろいろな代替方法を探します。
- Garmin Conect
- Runtastic
- Ride With GPS
これらが有力な候補です。しかし、それぞれが一長一短です。
Garmin ConectはGPS機器大手のガーミンの純正アプリです。一昔前までGPSサイクルコンピューター=ガーミンでした。利用者は多くいます。
が、Garmin以外のGPS付きスマートデバイスはすでにごろごろします。
はて、Cateye Lezyne、Bryton、Sigma、Poralなんかのユーザーがルート作成のためだけにわざわざGarmin Conectを使うか? 使いません。
Runstaticは人気のスポーツフィットネスアプリです。Stravaかこれかで派閥が分かれます。が、”Run”てタイトルのように基本はランナー向けですね。
Ride With GPSはルートラボの海外版みたいなアプリです。ルートのアクティブ埋め込みやグラフの視覚化が可能です。
しかし、アプリの知名度が絶望的にマイナーですし、文字表記が英語です。初心者向けではありません。
救世主はSTRAVA
Stravaはチャリダー、ランナー、ハイカーにはおなじみのド定番フィットネスアプリです。
- 二点間自動ルート補正
- 距離高度測定
- グラフ化
- 保存
- 印刷ページ
- エクスポート、インポート(ベータ)
- シェア
これらは可能です。ルート込みのアクティブなマップのウェブ埋め込みだけが不可です。
WordPressのメディア挿入からURLを追加しても、カード式にはできますが、アクティブなマップにはできません。ただの直リンクです。
https://www.strava.com/routes/20089955ためしにブラウザを変えて、EDGEからログインなしでこのURLにアクセスしますと、きちんと地図を見れます。
内容はこちらです。
環状線とピークの茶屋の二点間ポチポチでルートが自動で出ました。過去のライドデータや区間データから定番ルートが勝手に出ます。
これはべんりだ! ルートラボよりべんりだ!
STRAVAの難点です。
- ルート込みのアクティブな地図のウェブ埋め込みが不可
- 高度がちょっとガバガバ
- モバイル版の使い勝手は落ちる
ぼくはPC版でやりますから、PC版でのルート作成の手順を以下に示します。STRAVAの使い方やRELIVEとの連動を一緒に見れば、プライバシー設定や動画作成をやれます。
モバイル版の操作性の悪さはおもに画面の小ささですね。アプリ自体は優秀ですよ。
STRAVA PC版のルートビルダーの使い方
※2020年5月19日のアップデートでSTRAVAのルートビルダーとリーダーボードが有料会員向けの限定機能になりました。ただ乗りを常とする自転車乗りには悲劇が続きます。→ストラバがサブスクで超改悪! ルートビルダーとリーダーボードが有料に!
STRAVAでのルート作成の大前提はSTRAVAの会員登録です。これはかんたんです。STRAVAの日本語はすでに完全です。
メルアドかSNSアカウントで登録しましょう。ちなみに基本使用料は無料ですし、有料特典は大したものではありません。
本登録のログイン後のホーム画面です。もちろん、新規ユーザーには中央の『最近のアクティビティ』は出ません。
このトップメニューの左上のダッシュボードの項目から「My ルート」を選びます。また一つ上の「My 区間」ではセグメント作成が可能です。
で、「新しいルートを作成」のボタンをクリックします。ちなみに暗がり峠を8分で登れる化け物はこの世にいません。原付か!
はい、ルート作成画面が出ました。これがSTRAVAルートビルダーです。 デフォルトの地図はOSMです。
左の設定マークから地図表示の切り替えとかヒートマップの確認とかできます。ズームの限界値はこんなもんです。
グローバルヒートマップです。大阪市内はおおむね真っ赤です。淀川サイクリングロードなぞは真っ赤っかのベリージャムのようだぜ! ビスケットに付けるかい? HAHAHA!!!
と、こんなふうにオプションでいろいろ遊べます。ルートラボの思い出補正はこのイマドキなメジャーアプリのまえにはかなく消えます。
じゃあ、そろそろルートを引きましょう。左上の検索フォームから町名を入れるか、地図をズームして、スタート地点の周辺に行きます。
手のマークを起点に移動して、左クリックします。緑のサークルが出ました。これがスタート地点です。
大阪梅田のグランフロントの広場の南側です。ポケモンGOのジムがありますし、UMEGLEのレンタサイクルステーションがあります。
さて、ここからどこへ向かうか? 自転車乗りらしく大阪市内の東住吉区のキャットアイ本社と堺市のシマノ本社へ行きましょうか。
とりあえず、ごちゃっとしたエリアから離れて、堂島方面へ抜けて、てきとうにクリックします。じゃあ、ルートがすすっと出ました。
と、この時点ですでに自動補正機能がじみにはたらきます。スタート地点がこうなりました。
UMEGLEのステーションのまんまえにあった起点が車道へずれました。そう、このもとの地点は遊歩道です。より望ましいルートへの自動補正が働きました。すごい!
ルートの修正には「元に戻す」と「やり直し」を使います。既存ポイントを指やマウスでドラッグしても修正できます。
消去はルート全クリアです。保存する前にやらないように。
この二点間でタイプを「ランニング」にしても、同じルートを提案されました。
ここから一気にキャットアイ本社まで行きます。あいにくとキャットアイ本社はOSMの地図では出ません。Google Mapと比較して、ポイントをクリックしました。
ん? この自動ルートはやや遠回りに見えます。なぜに大阪城公園へ行くか?
これはアクティビティのタイプや「人気度」と関係します。この大阪城近辺のルートはジョギングやサイクリングに人気のコースです。
大川沿いは有名な北大阪サイクルラインの前半部分ですね。
ヒートマップ濃い=人気度高い、です。自動補正機能がそれを加味して、ルートをそちらに誘導します。
タイプを「ライド」に戻して、「人気度」のスロットをオフにしてみましょう。キャットアイ本社までのコースはこんなふうになりました。
御堂筋の西隣の四ツ橋筋を大縦断します。こっちのが明快なルートです。が、なにわの自転車乗りはこう叫びましょう。
「四橋筋は南から北の一通やないか! 大逆走や!」
ふむ、歩道を徐行するか、裏道へ入るか、さらに隣のなにわ筋へGOしましょう。
ちなみに松屋町筋、堺筋、御堂筋、四ツ橋筋の大阪4大一方通行ストリートには「自転車を除く」の看板が見当たりません、たしか。車道の逆走はNGです。
て、そんな地元民さえが判断に困るような事情を海外のアプリがきちんと把握しましょうか? むりだ! AIは凄まじい速度で成長しますが、完全ではありません。
ゴールの釣具屋さんへ向かいます。なんとこちらはOSMの地図にありましたで!
ブランド力の差が出たか? キャットアイの海外売り上げはどんなもんでしょう? 本社のでかさは圧倒的にシマノですけど。
俯瞰図に戻して、距離と標高をグラフを表示します。
下の棒グラフが標高です。こちらにカーソルを合わせると、地図上の地点を特定できます。大阪市内は超フラットですねー。
この平坦さのために「経度上昇」の効果はほとんど出ません。このスロットは獲得標高のオンオフを表します。オンが平地優先です。
手動でルート追加
ああ、そうそう、堺市の天皇陵を含む前方後円墳が世界遺産に認定されました。大阪では初の世界遺産です。
その正体はたんなるじみな森です。遺跡とその敷地内は立ち入り禁止です。
これはシマノの目と鼻の先です。大仙公園の外周はツアーオブジャパンの第一ステージですね。ついでにここへ立ち寄りましょうか。
その前にルートを手動に切り替えます。「マニュアルモード」をオンにします。
はいはい。続けるをクリックして、立ち入り禁止の古墳内へひとっとびします、びゅーんと。
スーパーマンか! いや、GPSのバグか!
こんなふうにマニュアルモードはマニュアルです。自動補正は効きません。Google Mapの点打ち技術がここで役立ちます。
大仙公園で散歩して、古墳の正面に到着しました。こんなふうに自動ルートと手動ルートを自由に繋げられます。
でも、自動補正は完全には切れません。しばしばポイントの打点が少しずれるとか、エラーが出るとかします。
ルート作成を終えたら、きちんと保存しましょう。タイトル、説明書き、プライベートの設定をします。
公開設定で保存すると、ふつうにURLをもらえます。友人との共有とSNSへのシェアは可で、Webへのアクティブな埋め込みは不可です。
印刷は紙用のレイアウトです。GPXとTCXはルート系データの定番形式です。サイクルコンピューターやほかのアプリと互換があります。
公開範囲について
保存時のプライベート設定で公開範囲が変わります。
- プライベートオフ=非ログイン会員にまでふつうにWeb上に公開
- プライベートオン=原則非公開
個別ルートの完全消去はむりです。アカウント削除が唯一の手段です。
公開範囲を変えるなら、Myルートの「編集」からルート変更するor消去するなりして、プライベート設定を切り替えて、再保存しましょう。
この場合、友人への限定公開もシェアもむりになります。完全自分用ですね。
GPXをインポートしてみよう
最後に別のアプリのログをGPX形式でエクスポートして、STRAVAにインポートしてみましょう。これは冒頭のルートラボのログのGPXダウンロードの直リンクです。
実際問題、このルートはSTRAVAのライドログから作ったデータでした。逆輸入です。
現時点の情報ではルートラボのサービス終了後の過去のGPXデータのダウンロードは『可』のようです。が、これも将来的には分かりません。
STRAVAへの時間設定なしのGPXファイルのインポートは動作保証外です。アップロードしてもエラーを吐かれます。
うーん、なぜ? 元データはStravaの実走ログなんだけど。
アップロード方法を「ファイル」から「デバイス」に変えると、メジャーなサイコンやアプリのGPXをインポートできます。
つまり、過去ログのデータ移行には問題がありません。時間情報なしの新規ルートのファイルアップロードのみがエラーを食らいます。
新規のルートのみのファイルのアップ用にはSTRAVAのチームがプラグインらしきものを独自に開発します。それがSTARAVA LABSです。
LABS…
インポート結果です。
ルートはきちっと出ます。しかし、文字が英語表記だ! オーマイガー!
SNSへの投稿は可能ですが、ベータ感がけんちょです。今後に期待しましょう。ルートラボの終了のころにはこいつが正式機能に加わるかも?
とりあえず、ルートラボ以降のルート作成のスタンダードはこのSTRAVAになります。