ツールドフランスのしょぼすぎ賞金からひもとく自転車競技のお金事情


世界最高のプロのロードレースがツールドフランスです。18つのワールドチームと4つのプロコンチームがツール系レースの最高峰の栄冠をあらそいます。

 

 

歴史、格式、規模、知名度、そして、優勝賞金のいずれが世界最高峰です。その賞金総額はざっと250万ユーロに上ります。日本円換算で約3億円です。

 

 

ツールの賞金は低すぎ?

 

3億円は一般市民や趣味の自転車週末ライダーには非現実的な金額です。しかし、プロスポーツの世界的大会的には特段に高額なものではありません。

 

むしろ、フランス全土に渡るレース会場、数万単位に上る警備員、一か月弱に及ぶ開催期間をかんがみると、賞金のすくなさにおどろきを禁じえません。

 

プロサッカーやプロゲームの賞金

 

おりよくツールドフランス2018とサッカーワールドカップ2018の開催期間が部分的に重なりました。両者の賞金を比較しましょう。

 

ア式蹴球世界選手権、サッカーのロシアW杯2018の賞金総額はざっと4億ドル、400億円です。優勝チームは3800万ドル、40億ちょいをもらえます。

 

より興行的な欧州クラブの王者決定戦、UEFAチャンピオンズリーグ2017-2018の分配金は13億ドル、1300億です。純粋な賞金額さえが700億円強です。優勝のレアルは117億をゲットしました。

 

目線をすこし変えて、ニュージャンルのスポーツの賞金を見ましょう。ビデオゲーム競技のEスポーツです。

 

Dota2てタイトルの2016年の世界大会の賞金が20億です。ファンや視聴者からのカンパ込みのチケットで総額が一気にふくれあがりました。

 

さらに『フォートナイト』てタイトルの運営元が100億円の分配金を世界大会に計上する! てニュースがゲーム業界をさわがせます。ゲームがついに100億競技だ。100億ショック!

 

日本人におなじみの格ゲー『ストリートファイター5』の世界大会さえが4000万円の賞金を確保します。

 

2017年の世界のプロゲーマーの賞金総額ベスト5はのきなみ3億円弱に上ります。1998年の200万円前後から100倍越えの急成長です。金の集まり方が急ピッチです。

 

他方のツールドフランスの賞金は20年前からほぼ変動しません。2-3億円です。日本円換算には為替の影響のが大きく出ます。

 

自転車レースの賞金は主催者持ち

 

サッカーの国際団体はFIFAです。ここが世界の蹴球を一元的に管理します。本部はスイスにあります。欧州の統括団体のUEFAとは犬猿の仲です。

 

で、自転車のFIFA的な立ち位置にあるのがUCIです。Union Cycliste Internationaleの略称です。やっぱり、本部はスイスにあります、ヨーレイヒー。

 

オンロード、オフロード、トラックレースなどの自転車競技はこのUCIの管轄下にあります。ちなみに自転車で球けりするサイクルサッカーもUCIの管轄です。

 

UCIはスポンサーではない

 

で、このUCIは自転車競技のルールを決めて、スポーツ自転車の活用の促進に取り組み、やんややんやと口出ししますが、基本的に賞金を出しません。スポンサーやパトロンやタニマチではない。

 

ツールドフランスの賞金のでどころは大会の主催者のふところです。おおむねコース上の自治体がスポンサーです。

 

つまり、ツールの賞金の20年の低迷はフランス経済の20年の低迷と完全に一致します、ははは・・・てか、日本は欧州の低迷をわらえませんが。

 

国内のトップレースの賞金の最高額は20万円です。国内のロードレースだけで生活を維持するのは困難です。

 

国内では競輪のがもうかる

 

また、日本の特有の事情に公営競技の競輪があります。こちらは国家資格の超安定職です。学校があって、試験があります。

 

年棒平均が900万円前後です。トップ選手は億万長者です。KEIRINグランプリのトップ賞金は1億160万円です。退職金制度と年金制度があります。セミ公務員ですね。

 

で、金銭的には国内ロードレース <<<<<<<<<< 競輪となります。自転車競技一本で食える最も手堅い手段が競輪です。

 

登録選手数が2000名を越えるプロスポーツはまたとありません。選手寿命は比較的に長めです。剛客さんの就職先には最高でしょう。

 

そのほかの自転車競技で『プロ』を成立させようなら、海外進出を余儀なくされます。ロードレーサーはヨーロッパへ、オフロード乗りは北米へ。

 

国内レーサーは兼業農家ならぬ、兼業チャリダーになります。自転車メーカー営業、ショップスタッフ、兼業しないとやってられません。

 

国内トップレースの20万の賞金は優勝お祝いパーティでぱっと消えます。天下一武道会の50万ゼニーのようなものです。

 

さらに地方の小さなレースにはUCIのポイントが付きません。UCIのポイントが付けば、JBCFから助成金が出ます。金銭的には小さなレースの優勝 < UCIポイント付きレースの入賞です。

 

伝統のレースの開催はもうからない

 

そんなふうにロードレースの賞金はスポンサーのふとごろ具合に左右されます。で、スポンサーはどんな手段でファンや観客からお金を集めるか?

 

現実問題、ロードレースには集金のシステムがぜんぜんありません。会場は公道です。観戦は無料です。入場料やチケットはない。

 

そして、コースが長大です。レースのなかばで観戦に行っても、最終的な勝敗を見届けられません。ひいきの選手は一瞬でとおりすぎてしまう。

 

そのうえ、競技時間がべらぼうです。見どころはゴール前数kmです。それ以外はフランスの地方ののどかな風景動画、ひまわりムービーになりがちです。

 

かりに主催をまかされたら、集金方法に頭を抱えましょう。

 

  • ゴール付近を有料化→パリ市民一斉蜂起
  • 大会名を売る、『ツール・ド・ユニクロ楽天ソフトバンク:フランス』とか→旧来ファンから避難ごうごう
  • 安心安全助成金→一気には上がらない
  • 運営費削減、警備縮小→このご時世にそれはむり

 

はい、詰みです。たのみはテレビの放映権やネットの配信権ばかりです。でも、運営費に回って、賞金や分配金には回りません。慢性的な赤字でしょう。

 

グランツール系の大会では伝統と格式がうらめに出ます。Red Bullなんとか~みたいなてっとりばやいかんむりスポンサードがむりです。

 

最終手段は賭け、ギャンブルですか。賭けに賭ける。ツールのロト化です。3連単、単勝、ボックス買い、チーム買いなどなど。

 

しかし、もともとドーピングが常態化するロードレースに金がからめば、もしものリスクがえげつないことになります。そして、ギャンブルに八百長はつきものです。

 

そんなわけで自転車競技の主要なロードレースの賞金はそうそう上がりえません。若き剛脚さんは競輪選手をめざしましょう。

 

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