自転車の外装変速機は複数のパーツからなります。メカの本体、バネ、ケージ、そして、ふたつの小さな歯車です。この兄弟がプーリーです。ジョッキーホイールとも称されます。
ここのカスタムはマニアックな部類に入ります。セラミックベアリング、カーボンケージ、ビッグプーリーは万円クラスの出費です。悪コスパアップグレードの筆頭です、ははは。
高出費、低実感のプーリーカスタム
以前、うちのSRAM GXのリアメカのプーリーを純正の樹脂のやつからアルミのセラミックベアリングのものに変更しました。
安い中華セラミックです。空転時の回りは圧倒的です。まさに歯車的砂嵐の小宇宙ッ! 摩擦抵抗の増減はさだかじゃありません。基本的にファッションと自己満です。
純正がベター
純粋な変速性能は社外品 < 純正です。ShimanoにはShimanoの、SRAMにはSRAMの、カンパにはカンパのプーリーがいちばんです。
てゆうても、ぼくの体感では誤差のレベルです。このカスタムプーリーの変速に特段の不満はありません。しかしながら、別の特殊な問題が発生します。
我が家のチェーンライン事情
うちの愛機はKONAのBOOSTの29erのフルカーボンフレームです、2017モデル。これをベースにして、いちからバラ完しました。
ちまたのMTBの日本語のカスタムレポートはレアです。トレンドのBOOSTの情報はなおさらです。手探りパーツ調達にはげみました。
リングでミス
大きな手違いはありません。難関のヘッドパーツとBBはすんなり行きました。唯一の失敗はクランクのチェーンリングです。
欧州の気鋭のCNCリング屋のAbsoluteblackの楕円のダイレクトマウントのナローワイドのチェーンリングです。RACEFACE Cinchクランク用です。
これがBOOST用じゃなかった。ストアのオプション指定でミスって、ノーマルリングを選んでしまった。
6mmと3mm
MTBのノーマルチェーンリングのオフセットは6mmです。クランクとのマウント部分からリングの歯先までのギャップが6mmです。内側にオフセットします。
で、BOOSTフレームにこれをポン付けすると、リングの刃先がステーに干渉します。銀色のガードの削れはその名残です。
BOOST用のリングのオフセットは3mmです。3mmのギャップは誤差の範囲じゃありません。ギア一枚分の厚みです。
完全再現たすき掛け
そのままで使えません。苦肉の策でリングを裏返しにして、クランクにセットしました。驚異のリバーシブルです。
実質、オフセットは-6mmです。リングが外側に反る。10速、11速とのチェーンラインはたすき掛け風になります。
はい、完全にNGなラインです。しかし、ご存知のようにナローワイドリングはちょっとやそっとで落ちません。フロントのチェーン落ちはほぼ起こりません。
問題はリアです。カセット? いえ、チェーンとプーリーです。走行距離が6000kmを超えて、チェーンが寿命に近づきますと、ゆるくなったピンがばかすか外れだします。
この週、三回のチェーンBANに見舞われました。そもそもピンがとっくに限界でした。ポッキーみたいにペキペキ折れます。
この一件から11速チェーンの寿命は定説のように5000kmです。逆にこのイレギュラーな使い方で6000kmもよく生き延びたな~。暗峠とか六甲とか上って、むちゃをさせたし。
問題のプーリー
もうひとつの頭痛の種がプーリーです。BOOSTリングの正しいオフセットは+3mmです。クランクのマウントから歯先が3mm内側に入ります。
で、うちのはノーマルの+6mmオフセットリングのリバーシブルです。歯先は-6mmの位置します。正しい位置からのギャップは9mmです。
へたに裏返しでマウントできるのが仇となりました。正しいラインの目安は赤の線です。
ちょうどチェーン一本分の差です。これで落ちないナローワイドが感心くんです。
後日、非BOOSTのチェーンリングを表でセットして、クランクとBBの間に3mmのスペーサーを入れる方法を試しました。
ラインは正しく出ますが、クランクのシャフトのかかりが浅くなります。この方法は個人的に×です。へたなスペーサーはぎしぎし軋みますしね。
自力でBOOST化する人への助言
これからBOOST化を検討する人はリングのオフセットに注意しましょう。3mmオフセットがBOOST用です。
おそらくつぎのSHIMANO XTR M9100でBOOST化はさらに加速します。中古市場や特価品に6mmオフセットリング付きクランクがぶわっとあふれましょう。
- 歯数
- マウントのソケット形状
- シャフト径
- ナローワイドかノーマルか
- BOOSTオフセットか非BOOSTオフセットか
注意点はそんなところです。
逆にリングさえBOOST用にしてしまえば、142mm=135mm用のクランクをBOOSTフレームに使えます。
アームとリングを別個に買うのがけんめいな手段です。
Blackspire Snaggletooth DM Sramチェーンリング – BOOST
定価 6159円
割引 12%
特価 5404円
※2018/03/05 16:57:49のの価格
プーリーでチェーンが落ちる
もうひとつの問題児がプーリーです・・・ほんとの問題児は逆付けのフロントリングですけど、ははは。
前段のようにラインが疑似たすき掛けモードです。10速、11速ではチェーンがフロントリングにきつい角度で外側へ引っ張られます。
走行に問題はありません。そこはナローワイドさまさまです。ただし、10速以上でクランクを逆回転させようなら、超高確率でガイドプーリーのチェーン落ちを引き起こします。
しかも、カスタムプーリーは純正プーリーより肉薄できゃしゃです。刃先の長さが足りない。掛かりが浅くなります。
結果がこれです。
たびたびチェーン落ちで削れに削れて、カセットに巻き込まれて、あえなくご臨終しちゃいました。はい、低速で逆回転させるぼくがアホです。
こんなふうにアルミのプーリーは摩耗でみすぼらしくなります。きれいなメッキは意味を成しません。黒い樹脂製がジャスティスです。
取り外した予備の純正は行方不明になりました。どこへ行った~?
中華プーリーゲットだぜ!
じゃあ、新調しましょう。でも、SRAMの純正のナローワイドのジョッキーホイールの単品はぜんぜん出回りません。そして、SRAMのスモパのおとりよせはお長くお高くなります。
てことで、毎度のおチャイナさんでお同等品をお買い上げいたします。カートインから10日で来ました。ハガキ扱いの郵便受け投函です。サインなしはらくちんです。
ふくろの中身です。ん? 厚紙の台紙ありです。小売り用でしょうか。てっきりバルク品が来ると思いました。
ふくろをオープンします。樹脂製のシールドベアリングナローワイドプーリーです。歯数はSRAM純正と同じ12Tです。
プーリーの比較です。左の二つが現役のものです。まんなかがSRAMの純正のナローワイドのやつです。ワッシャは代用品です。
汚れの元凶プーリー
ところで、プーリーはパーツのなかでいちじるしく強烈に汚れます。グリス、オイル、金属カス、砂利、ダストが混然一体となって、黒い悪魔を生み出します。
使用済みのマスクでふきふきしましょう。そして、汚物のカスに注意しましょう。こいつをぽろっと床に落として知らずに踏むと、あとでえらい目にあいます。
プーリー比較
すっきりしたSRAM純正を中華プーリーと見比べます。
まず、ベアリングの大きさのちがいに目が行きます。社外製のが小ぶりです。そして、肉抜きがだいたんです。SRAMのはがっしりです。
ためしに計りで重量を計測しました。純正が15g、社外が8gです。新調品のがぜんぜん軽量です。これが吉と出るか凶と出るか。
ベアリングの回転や歯先の質感はどっこいです。
リアディレイラーのケージにセットしました。テンションプーリーが純正、ガイドプーリーが中華です。あ、損傷の前例から逆設定が正解です。
ああ! プーリーの歯の流れも逆だあ。あとで入れ替えて、付け替えないと。
はい、OKです。
ちなみにガイドプーリーのボルトはなんかの別の丸頭ボルトです。もともとのプーリーボルトはなんかの拍子で行方不明になりました。
「すなおにBOOSTのリングを買えよ!」
そんな声が容易に思い浮かびます。でも、ひとおもいにクランクを替えようかなと画策しまして、新リングの購入に手を出しかねます。
SRAM DUBを買うか、ひとおもいに12速化するか、XTRを待つか・・・
クロスバイクや~10速の安ロードのアップデにはこんなやつです。
社外品ですが、シールドベアリングです。廉価グレードのメカのプーリーはたいてい非シールドベアリングですから。
ぼくの感覚ではプーリーの順位は、
純正非ベアリング << 社外シールドベアリング < 純正シールドベアリング
です。ちゃんとしたセラミックやビッグプーリーはわかりません。てか、オールロードには無用の長物です。うん万のプーリーを岩にぶつけたらショックで寝込みますわ、ははは。