ピーチの自転車の預け手荷物料金が無料化! 新しい料金体系スタンダードプランで関空から鹿児島まで飛行機輪行したときのやり方と注意点など

自走=自転車で自力で走ること
輪行=自転車を乗り物に積んで移動すること

ただし、自家用車に自転車を積んで行くのは輪行でなく、トランポ=トランスポーターです。『輪行』とは電車、飛行機、バスなどの公共機関に自転車を積んで移動することです。

空港で自転車を輪行袋に入れる
空港で自転車を輪行袋に入れる

飛行機輪行はやや上級者向けですが、絶大に乗り物酔いするぼくのような自転車乗りには長時間の電車移動より総合的に楽ちんです。

伊丹空港がチャリで二十分にあるのもプラスです。以前の別府旅行や北海道一周サイクリングではここからANAで飛行機輪行しました。

で、今回はそのピーチ編です。この格安LCCのプランが2024年12月3日にアップデートされて、フライトプランと預け手荷物の条項ががらっと変わりました。

折よく直後に鹿児島への野暮用旅行が決定しまして、このピーチの飛行機輪行の実践の機会が訪れました。それを以下に詳しく紹介します。

飛行機輪行ピーチ編

ピーチ・アビエーションはANAの親会社のANAホールディングスの子会社です。実際、鹿児島空港ではこの桃色の受付はANAの横にあります。

鹿児島空港のピーチ
鹿児島空港のピーチ

関空ではピーチの窓口はバスで10分の第2ターミナルにあります。そして、この空港は大阪の南の端、和歌山の手前にある。北大阪在住のぼくにはすでに遠い道のりだ。

大阪市の地下鉄から1000円で関空まで行けるお得な切符もなくなってしまったし・・・

そういうことで、普段の観光にはチャリで20分で行ける伊丹空港を利用しますが、今回の私用では予算のことを考慮して、チャリと電車とシャトルバスで130分で行けるピーチを選びました。

結果、朝5時30分出発です。ピーチの鹿児島行きは朝と晩の二本だけしかない!

飛行機輪行の注意点

さて、ピーチで飛行機輪行する前にこの自転車移動スタイルの基本的な注意点を述べます。これはピーチの改定前の預け手荷物の概要です。

航空会社手荷物の料金料金
ANA手荷物一つ無料 自転車可0円
JAL手荷物一つ無料 自転車可0円
ピーチ手荷物一つ無料(中級プラン) 自転車やサーフボードやゴルフ用品は別料金
窓口で現金払い不可
3700円

ANAとかJALはプランでフライトのクオリティが変わります。他方、ピーチはプランで条件が変わります。

ピーチの最安プランの『ミニマム』は時刻変更不可、座席指定有料、手荷物有料、キャンセル時の払い戻し不可というただの即物的な移動手段です。

で、最高プランのスタンダードプラスがANAやJALのエコノミー的なものになります。ファーストクラスとかはない。

手荷物の扱いがさらに特別です。中級プラン(ハッピーピーチだったかな?)には預け手荷物一個無料のオプションが付きますが、ここには自転車は含まれません。

自転車、サーフボード、ゴルフ用品みたいな大型のスポーツ用品はスポーツ用品料金という別料金が掛かりました。どのプランを選んでも、これを払わないと、自転車を乗せられない。

これが片道3700円とかです。往復7400円。さらに関空までの電車台が往復2000円。となると、うちから近い伊丹発のANA便との価格差が薄れてしまう。

飛行機輪行しやすくなったピーチの新プラン『スタンダード』

という事情から、ピーチでの飛行機輪行は鬼門でしたが、2024年12月3日に旧プランが新プランに移行して、このスポーツ用品料金が撤廃されました。

現行のピーチのプランは以下です。

  1. ミニマム
  2. スタンダード
  3. スタンダードプラス

1が最安です。しかし、これには預け手荷物のサービスが付かない。で、2にはこれが付属します。さらに今回の改定でスポーツ用品料金がなくなり、自転車がふつうの手荷物扱いになりました。

「なんで最初からそうせんかったんやー!」というのは、なにわの自転車乗りの声です。

ピーチスタンダードプラン
ピーチスタンダードプラン

自転車を載せられて片道9610円ぽっきりはかなりお得です。これでなんば発の南海電車で中国の方々に囲まれながらはるばる関空まで行っても元を取れます。

帰りの便は日曜日で13000円くらいでした。23000円で大阪-鹿児島往復移動はほぼ最安でしょう。新幹線の片道分です。あと、新幹線は3時40分ほど掛かります。長いわー。

フェリーや高速バスはもっと安価ですが、その移動時間ではぼくの胃袋が持ちません。長距離バスが特にムリゲーです。

3のスタンダードプラスを購入すると、なんと便の時間を変更できてしまいます! と、ここでやっとANAとかのエコノミーに並びます。『プレミアム』と銘打たないのは好ポイントだ。

自転車を飛行機に積む場合のコツ

電車輪行はわりとアバウトです。一応、規定は車体をシートや袋で完全に覆うことをうたいますが、実際の現場はそんなにうるさくない。駅員さんはほぼスルーです。

飛行機輪行はややタイトです。初歩の注意点は以下のようなものです。

  • 折り畳み自転車及び分解して梱包した自転車のみ乗せられる
  • 電動アシスト自転車ダメゼッタイ
  • 電アシはバッテリー別輸送なら行けるぽい(他人談)
  • 工具類は持ち込み禁止→預け荷物へ
  • 充電式ライトは持ち込み推奨
  • 航空会社は運搬中の破損の責任を負わない
  • 空気圧をちょい下げる(膨張対策。ぼくはしない)
  • ハンドルをしっかり固定(暴れ対策)
  • 海外の空港の荷物運びは荷物を放り投げる。自転車を壊されても泣かない

工具類の機内持ち込みの禁止は何となく分かりますが、モバイルバッテリーの扱いのナイーブさはピンときません。

これは十年くらい前にスマホやアイホンのフライト中の発火が問題化した影響です。一時期、膨張、液漏れ、化学反応で発火のコンボが流行しました。

充電式ライトは実質大容量リチウムイオン電池です。ただし、手荷物検査機には引っ掛かりましたが、「あ、ライトです」の一言でそのままスルーされました。ライトの発火例がないから?

三辺合計203cm

それ以外の重要事項は重量とサイズです。ピーチの預け手荷物重量は20kgまでですから、スポーツ自転車はだいたい行けます。うちのフルサスMTBすら15kgぐらいですし。

サイズが意外とシビアです。ANAとピーチの預け手荷物の三辺合計は203cmまでです。14インチのダホンの折り畳みは余裕ですね。

関空の手荷物
関空の手荷物

ANAの場合、204cm以上のパッケージされた自転車及びスポーツ用品の積み込みは応相談です。貨物スペースの状況によりますが、だいたい追加料金なしで輪行が可です。

一方、ピーチの預け手荷物の三辺合計も203cmまでですが、こちらのサイズオーバーは追加料金の対象です。応相談? ピーチですよ?

3辺合計204cm以上(各辺の上限:高さ80cm-横幅80cm-奥行230cm以内)の手荷物をお預けする際の有料のオプションです。

ピーチの『お預け手荷物について』より

このサイズ超過手荷物オプションでサイズ超過、重量超過はともに1900円です。

クロスバイクやロードバイクの700c、MTBの29インチはタイヤとホイールのみで直径70cmから80cmになります。二辺でもう150cmだ。横幅をコンパクトに収めるように工夫しましょう。

しかし、通常サイズのフレームはふつうに超過する?

DARTMOOR HORNET 26
DARTMOOR HORNET 26

うーん、この写真からざっくりイメージすると、ホイールとフォークを外して、フレームと重ねないと、203cmには納められませんなあ。タイヤ外して持ち込む?

か、すなおに1900円追加してゆったり目に梱包するか。

あと、MTBにはサスペンションというやつがあります。これの検査は少し面倒です。FOXとかROCKSHOXみたいな有名どころはOKで、マイナーなやつは仕様書持参で応相談です、たしか。

いつかこいつを海外持っていくときにはたぶんANAで飛行機輪行すると思います。

キャッシュレスの罠

現場での出来事を思い出して、けっこう重要な補足情報を確認しました。

空港のピーチの窓口やカウンターはキャッシュレスです。現金の受け渡しは原則的にありません。

つまり、現場の手荷物検査でサイズオーバーや重量オーバーが出て、追加料金が発生すると、その支払いは現金では不可です。

  • クレカ
  • PAYPAY、楽天PAY(手荷物、国内のみ)
  • ピーチポイント買ってそれで支払い

手間はせいぜい数分ですが、フライト前の数分は現実時間の数十分に値します。でかいチャリで輪行するなら、梱包時のサイズに注意しましょう。

これは預け手荷物1個無料の特典なしのミニマムプランの乗客が預け手荷物サービスをぶっつけで利用する場合にも同様です。

実際、帰りの鹿児島空港のピーチのカウンターで事情を知らないお姉さんが手荷物をカウンターに預けようとして、追加料金と支払いの説明を受ける場面を目撃しました。

お姉さん「荷物預けたいんですけどー」
ピーチ「プランをお伺いできますか? あ、ミニマムですね。お客さまの預け手荷物は有料となります」
お姉さん「えー、そうなん?!」
ピーチ「はい。あと、現金は窓口では使えません」
お姉さん「えー!」

そんなやり取りが繰り広げられました。たしかにピーチのカウンターにはレジや現金や小銭の気配がしません。キャッシュレスの罠だ。

ちなみにお姉さんは持ち込み荷物に大急ぎで詰めなおして、3100円の預け手荷物料金を逃れました。めでたしめでたし。

ピーチの飛行機輪行のおおまかな手順

ここでは2024年12月11日の関空発鹿児島空港着のフライトを参照にして、ピーチの飛行機輪行の流れをおおまかに説明します。

関西国際空港での手順

関西国際空港での手順です、自宅から。

  1. おうちからなんば駅までチャリで10km自走
  2. 南海電車で関空駅へ電車輪行1時間
  3. 第2ターミナルにシャトルバス輪行10分
  4. 機械でチェックイン
  5. 出てきた紙で無人預け手荷物手続き
  6. 何かエラー出て有人窓口で手続きしなおし
  7. サイズと重さチェック
  8. 航空会社は破損の責任取りませんの同意書に一筆
  9. 手荷物検査マシーンで自転車チェック(ライトスルー)
  10. 保安検査
  11. 出発

自宅を出たのが5:30、登場時刻が8:45です。関空遠い! 第2ターミナル遠い! しかし、伊丹発のANAとJALはのきなみ2万オーバーだ! 往復4万は痛い!

鹿児島空港の手順

到着側空港での作業はそんなに煩雑じゃありません。自分の荷物を間違えずに受け取る、それだけ。ぼくは間違えません。はい、サドルが飛び出たその黒い袋に相違なしであります。

鹿児島北埠頭近郊より桜島
鹿児島北埠頭近郊より桜島

まあ、鹿児島空港から最寄り駅まで5km、鹿児島都心まで30km、ぼくの目的地の南さつま市まで70kmという別腹の移動がありますが。

以下がぼくの初日の移動パターンです。

おうち→なんば(自転車自走)→関西国際空港(電車輪行)→第二ターミナル(バス輪行)→鹿児島空港(ピーチのスタンダードプランでシン・飛行機輪行)→JR加治木駅(自転車自走)→JR坂之上(電車輪行)→南さつま市加世田(自転車輪行峠越え)→ばあちゃんの家

この自転車移動は純粋な私用であって、観光サイクリングではありません。まあ、法事的なやつですわ。

目的地の加世田が鹿児島の西の果ての電車なしゾーンです。最寄り駅のJR枕崎は20km先です。

ぼくは乗り物酔いするため車には10分ほどしか乗れません。それを置いても、誰かに迎えに来てもらうか、タクシー拾うか、バスに乗るかしないと、空港から駅まですんなり行けない。

ちなみに鹿児島空港の最寄り駅は駅の北側のJR嘉例川駅です。※営業中です。

JR嘉例川駅
JR嘉例川駅

で、パズルみたいな自転車輪行三昧となりました。9時間40分かかったわ・・・でも、ぼく的にはこれが最速です。

伊丹空港からANAで飛べば、100分ほど短縮できますが、1万円ほどの追加出費を強いられます。うーん・・・

鹿児島空港の自転車の組み立てにはJAL側ロビーの正面のCYCLE STATIONのゾーンが便利です。国内線ターミナル1階の総合案内所で工具や空気入れを借りられます。

ベンチの高さと広さが作業にベストですね。

鹿児島空港サイクルステーション

鹿児島空港から鹿児島方面へはずっと下りです。鹿児島空港は標高300mくらいの霧島市にあります。おかげで帰りはずっと登りでしたわ。しんどー。

ピーチの飛行機輪行まとめ

2024年12月3日より預け手荷物のスポーツ用品料金の枠が撤廃されて、スタンダードプランを購入すれば、自転車を追加料金なしで預けられるようになりました。

重量は20kgまで、三辺合計は203cmまでです。折り畳みは余裕で収まりますが、ロード、クロス、MTBはおそらくぎりぎりでしょう。

サイズオーバー料金1900円を払ってゆったり梱包するのも一考です。