自転車は大小のパーツの集合体です。単体の最大のものはフレームやフォークです。
最小のものはピン、ネジ、ボルトのたぐいです。伝統的に自転車には六角ねじ、ヘックスボルトが多く使われます。
ためにアーレンキーは不可欠です。ちなみに「アーレンキー」て呼び名が通用するのは自転車業界だけみたいです。一般的には「六角レンチ」です。Allen keyは商品名になります。
反対にふつうの+-ボルトは自転車ではマイナーです。メンテ中にこいつらに出くわすと、新鮮なおどろきと戸惑いを覚えます。
ねじの品質がビミョー
こんなふうに自転車のあちこちに六角ねじがキラボシのごとくちりばめられます。メンテやカスタムに手を出すと、早晩にネジとワッシャをコレクションできます。
全般的に自転車パーツのデフォルトのねじ・ボルト類の品質はいまいちです。そこそこの高級パーツを買って、高精度のCNC加工ににんまりしても、ねじ類のぽんこつさに苦笑します。
ユニクロ・クロム系のボルトが基本です。ステンレス系はレアです。硬すぎる?
てろてろめっきの安い鉄ねじはちょっとやそっとでさびます。以前にボルトのサビ実験をしまして、こんな結果を得ました。
左の三つの非鉄系ねじはぴかぴかです。いずれが別途購入です。アロイ系ねじはメーカーには好まれません。金属疲労がネックです。
左端のチタンが理想的です。右端のステンレスのねじも優勝です。でも、となりのてろてろのネジ、てめーはだめだ。
外置き、野ざらしのクロスバイクの鉄系パーツはひさんなものです。ほんとに一日二日でサビが出ます。
都会の雨は弱酸性です。空気中の粉塵で一気にさびが発生します。チタンは無敵です。
かと思えば、似た個所の同素材の鉄ねじがなぜか明暗を分けます。なぜに左のねじだけがピンポイントでさびさびになる? サビサビの実の能力者の攻撃を受けたか。
いや、右のねじはなんでさびない?! バリアか、バリアですか?!!
15万のカーボンフレームのねじさえがこのクオリティです。アルミは強度のネックを抱えます。チタンねじは高価だ。しかし、ステンレスねじをも使わないのは意図的なものでしょうか?
サビサビのボルトはいやらしいものです。サビを落とすか交換するかしようとしまして、これをアーレンでこじこじしますと、きれいに角をナメナメできました。
なめたねじを外す方法百選
このハンガーのさびボルトの前に油圧ブレーキレバーのリザーバータンクのキャップにいどんで、あえなくなめちらかしました。
このフロントレバーのブリーディングのときには星形ねじをアーレンキーでむりやり緩められましたが、後日のリアのメンテのときに完全にやっちゃいました。
そのあとでホームセンターに走って、ヘックスローブを買いますが、覆水を盆に返せませんし、ナメネジを緩められません。ヘッドの穴ががっばがば、角がてっろてろです、アウチ。
ゴムを当てる
なめネジ外しの手軽な方法はゴムです。薄いゴムをソケットにかませて、余分なすきまを埋めます。プラスドライバーではまあまあ有効な手段です。
が、この小さい星形ボルトには効き目がありません。とっかかりが圧倒的に足りない。ためしに古チューブをかませますが、ぜんぜん手ごたえを感じません。
この方法は木やプラスチックのねじボルトにのみ有効でしょう。金属系のトルクはそんなやわじゃありません。
ねじプライヤー、ネジザウルス
定番はねじ外しの工具です。やっとこ、ねじプライヤー、最近ではネジザウルスが人気です。やっとこやっとこくりだした~。
ブレードの先端の部分です。みぞみぞスレッドが縦に入ります。これがボルトのヘッドや釘の頭をガッチンてつかみます。
が、このブレーキレバーのねじのヘッドは丸頭のナロータイプです。つかみ代がぜんぜんありません。
自転車のボルト類のヘッドはしばしばこの薄型です。6穴のディスクブレーキローターのボルト、クランクのチェーンリングのボルトとかがそうです。
干渉予防と美観のためです。ディスクブレーキローターに高頭の汎用ねじを使うと、ステーやフォークをがりがりやっちゃいます。
マイナスドライバー用にみぞを入れる
安ねじのなめやすさを逆手に取りましょう。ボルトのヘッドに強制的にとっかかりを作ります。縦一文字のみぞをあらたに刻めば、マイナスドライバーをかませられます。
鉄ノミを駆使して、どうにかこうにか縦線を入れました。星形の原型はありません。
が、手の力だけではボルトは回りません。つぎのテクニックとの合わせ技でIPPONを取れました。
ドライバーをハンマーでたたく
この縦みぞをとっかかりにして、マイナスドライバーをあてて、柄をハンマーでとんとこ叩きます。この期にようやくトルクが緩んで、ねじが回りました。やったね!
初動がもっともハードで、あとはらくらくです。これは強トルクの部位の共通事項です、ペダルシャフト、クランクシャフトetcetc…
このレバーの小さななめねじはなかなかの強敵でした。これはもう使い物になりません。ホームセンターコーナンPROでM3の汎用ステンねじを買ってきました。一本5円です。
純正は割高です。THOMSONのドロッパーポストのちっこいイモネジが2ドルとかです。ファンタジーだ! コーナンPROでは同等品が6円です。
基本的に純正の備品はハイプライスのビミョークオリティになります。ケミカル類はなおさらです。ジャンルはちがいますが、革靴の純正クリームはだいたいぽんこつです、ははは。
几帳面なDIYチャリダーさんは最初に全部のねじをステン系に変えちゃいます。が、手先の器用さや性格よりホームセンターの有無がかんじんです。モノタロウは安くないし。
ドリルでいてまう
最終手段はドリルです。ねじ芯を虫歯のようにがりがり削って、ねじを鉄くずにしちゃいます。最強の力技です。
ただし、へたくそがざつにやると、受けのねじ山を削っちゃいます。そして、箇所が箇所です。ブレーキフルードが吹き出しかねません。
ばかとはさみは使いようですが、ばかが電動工具をむやみに使うと、直るものが直らなくなり、壊れるものがオーバーキルになります。ジャンク一直線!
健全な男子は電動ドリルを装備すると、ばくぜんとした工作力上がった感と天元突破感に捕らわれません?
おれのなかの螺旋力がうずくぜ・・・
ハンガーのさびボルトに再挑戦
このブレーキレバーのなめボルトにはねじプライヤーが役立たずでした。友人のせっかくの好意がかたなしです。返す前にハンガーのさびボルトに挑戦しましょう。
右側はアーレンで外れましたが、左側はこのざまです。キャラメルより強度がありません。六角ソケットがめりめり丸くなりました。うへ!
このボルトのヘッドも低頭タイプです。オフロードバイクのハンガー周りはわりにガシガシHITします。とっかかりはありませんが、大きさがさいわいです。
ぎゅにゅにゅにゅにゅ~、て感じで緩みました。やっぱし、最初のトルクがかんじんです。そして、このねじはもう寿命です。さびが全体に広がります。
てきとーなアルマイトボルトでマウントしました。
金属疲労がちと不安ですが、さびの心配はありません。ヘッドはふつうタイプです。まあ、街乗りがメインですし。
いちばんの理想はチタンボルトです。でも、サイズがいまいち分かりません。M4かなあ? 取り寄せして使えないとへこみますから、安心安全現物合わせで妥協します。
ネジザウルスはふつうのねじプライヤーよりさらに特化型です。先端がテーパーになって、さきすぼまりになります。これがねじ頭をがちっとつかみます。