大阪市内北部-北大阪のサイクリングコースでまっさきに出てくるのが『北大阪サイクルライン』です。
市内の中心部の大阪市役所近辺から中の島、淀川を経由して、吹田市の万博記念公園まで行って、太陽の塔をぱしゃって記念撮影するコースです。
土地勘なしの人にはいかにも好さげに聞こえます。しかし、地元民の目にはこのコースはおすすめじゃありません。
むしろ、淀川以北の指定ルートは北摂屈指の難走コースです。実際、近畿自動車道、モノレール沿いは近辺の自転車乗りにはとんと不人気です。
なんで府や市がこのコースを推奨するかはなぞです。モノレールのPRでしょうか。2011年までこの北大阪モノレールは世界最長の路線でしたから。
この北大阪サイクルラインに北大阪人のぼくがツッコミを入れつつ、要所要所を改善していきましょう。
?の北大阪サイクルライン
自治体のごり押しが効いたか、この北大阪サイクルラインはそこそこの知名度を持ちます。サイクルスポーツみたいな雑誌やRetripみたいなキュレーションにその名前が出ます。
『大阪 サイクリング 初心者 おすすめ』
このワードで検索すると、北大阪サイクルラインに出くわします。よその人は耳当たりのよい解説文にころって騙されます。
ルートがテキトー
しかし、このサイクルラインは名前ばかりです。路面整備やコース案内、そのほかのサイクルフレンドリーな工夫はとくに見られません。
実態は『自転車で走れるところをテキトーにつなげて、市内から万博までのルートをむりくり制定した』て風情のものです。
ことさらに前半と後半の落差が天と地です。市内の中之島公園から毛馬まで、水門から淀川サイクルロードは上々のコースです。
対照的に後半はザ・住宅街の車道です。しかも、指定コースは周辺の万博方面への幹線内で最難関の道のりです。
迷宮の南茨木周辺
ネックは宇野辺、南茨木、沢良宜の周辺です。一帯は路線のカオスゾーンです。近畿自動車道、モノレール、東海道本線、阪急京都線、小さな河川が網の目のように入り乱れます。
北摂の自転車乗りは本能的にこの近辺への接近を避けます。地元民さえがすんなり通れません。迷宮です。
大日の橋を渡っても、鳥飼の橋まで行っても、最終的に近畿自動車道沿いで万博にゴールします。これが公式の北大阪サイクルラインのコース設定です。
ゴール手前の南茨木付近をよく見ましょう。線路だらけの様子がよく分かります。しかも、モノレールと高速道路が万博へ大きくカーブします。これは迷う原因のひとつです。
序盤は及第点
序盤は問題なしです。中の島、天満公園の遊歩道を気持ちよく走れます。道幅は大きくありません。ウォーカーやランナーには注意しましょう。
これをまっすぐに関西付属医科大付属病院まで行く方がよほどにおすすめコースです。
で、ベンチでジュースを飲んで、とんぼ返りで市内へ戻ります。ここらのベストおすすめ快速コースです。
そもそも市内と郊外をはしごするのがファンタジックな発想です。河沿いをびゅーって走るか、河を越えずに市内をぶらぶらする方が正解です。なんで混ぜる?!
河の向こうに見どころはない
淀川以北のコース上に太陽の塔以外のランドマークがありません。大阪城、通天閣、グリコはぜんぜん逆方向です。
吹田、豊中、茨木はベッドタウンです。観光地じゃない。地元民が断言します。フォトジェニックな見どころはほんとに太陽の塔ばかりです。ほかは住宅街です。
おまけに公式指定ルートの近畿自動車沿いは当然のごとく高速道路の下道です。目線の右上をずっと高架で遮られつつ、排気ガスに塗れながら、10kmばかしを走行します。
そして、南茨木周辺で訪れる線路と道路と河川のごちゃごちゃジャンクションです。方向感覚がぐちゃぐちゃになります。
これのどこが初心者におすすめでしょう。 利用者目線が決定的に欠けます。コース設定した人が実際にここを走ったか? はなはだ疑問です。
改良版北大阪サイクルライン
序盤は問題なしです。よその人はひとおもいに中の島から大阪城公園の方へ行ってください。観光気分を味わえます。
淀川以北のルートを変更しましょう。
どの橋で淀川を渡るかがポイントです。大日、鳥飼まで行くと、地獄の近畿自動車沿い、南茨木の魔空間を通らざるを得ません。
城北か豊里をわたる
てことで、淀川CRをショートカットして、手前の城北や豊里から上新庄方面へ向かいます。
JR吹田の近辺がすこしややこしくなりますが、南茨木のラビリンスよりましです。線路下をくぐれますから。
あさひビールのでっかい工場から14号線=産業道路沿いに出ます。この道路には一応の自転車レーンがあります。
たくさんの歩行者、自転車、自動車が行きかいます。走りやすい道ではありません。あくまで本来の過酷なルートからのビミョーな修正です。
ビール好きは片山神社のよこのアサヒのビールケース置き場でうおーてなりましょう。
「こんだけビールあったら、一生宴会できるな!」て、しょーもないことをほざきましょう。
これをずーっと北上すると、あさひとセブンの合体した建物に行き当たります。ここが左折ポイントです。
ゆるい坂道を登って、ガンバ大阪のスタジアムを横手に見ながら、万博の外周道路に出ます。テキトーな下道やスロープから公園の正面に入ります。
夜には観覧車がデコります。太陽の塔のライトアップは早く終わりますが、観覧車は遅くまでこの通りです。
JR南側を岸辺まで進むルートはほんの少し快適です。北側の道より交通量が気持ち少なめです。
正直なところ、市内と北摂のはしごは快適なサイクリングになりえません。そもそものコース設定にむりがある。責任者、デテコーイ!
快速ライドには淀川サイクルロードを、インスタには大阪市内ゆるゆるポタリングをおすすめします。