ミニベロは競技的な自転車じゃありません。よりファッショナブルなおしゃれアイテムです。MTBみたいな泥臭さやロードみたいな汗臭さとは無縁です。
個人的な感覚では小径車全般は大きな模型、でかいミニ四駆、乗れるおもちゃみたいなものです。
そもそものコンセプトがノット競技用、ノットスポーツです。この用途のあいまいさが逆に改造の自由度につながります。
現実問題、ミニベロより軽量なバイク、高速なバイクは5万とあります。
「じゃあ、最初からクロスバイクやエンデュランスロードを買うのがベターじゃないかい?」
これは野暮です。ロードやクロスにミニベロほどの妙味はありません。
ベターなものは没個性的になります。ストイックなものは一歩間違うとつまらないものになります。
一方のミニベロには無駄と不足のオンパレードです。つまり、差し引きの余地が満載です。
ミニベロロードの目安
ミニベロロード、ミニベロロード化の目安はなんでしょう? 軽量ミニベロ=ミニベロロードの公式はただしくありません。
たとえば、うちのメインチャリ、
- 折りたたみフォーク→カーボンフォーク
- 406の重いホイール→451の軽いホイール
- 機械式ディスクブレーキ→油圧式ディスクブレーキ
- 汎用クランク→ダートレース用?155mm軽量ショートクランク
- そのほかこまごま
の軽量化をしたカスタムミニベロはペダル付きで約8.5kgです。小径車のなかでは軽量級でしょう。
でも、リアサスはあるし、エンド幅は135mmで、ディレイラーはSRAMの1×11、スプロケットはXDドライバー専用の9-44T、タイヤはBMX用で、クランクはダート用、チェーンリングはシクロ用のナローワイド44Tです。ごちゃごちゃ。
これはぜんぜんまったくちっともミニベロロードじゃありません。ミニベロダート? ミニベロシクロ? メカ? そんなふうです。
むしろ、ロードバイクのエッセンスはゼロです。13mmのリム有効内径くらいですか。
このあやしいカスタム車をロード化するにはなにが必要でしょう? 軽さは十分にロードです。451ホイールと1 1/8=28cタイヤの組み合わせは走行性重視のロード寄りです。
さて、どこをどういじりましょう?
キーはドロハン
はい、正解はドロップハンドルとロード用のグループセットです。ライザーバーハンドルをドロップハンドルに、MTBコンポをロードコンポにすれば、一気にロード系へ寄せられます。
ハンドルはことさらに重要です。もし、うちのチャリのグループセットがSORAやAPEXにごそっと変わっても、どこのだれがこいつをミニベロロードと思いますか? 思いませんよ~。
しかし、ライザーがドロップに変わったら、みんながミニベロロードと呼びますぜ。すなわち、ドロップハンドルミニベロ=ミニベロロードです。つまりすなわち、ドロップハンドル=ロードバイクのシンボルです。
くしくも弱虫ペダルの舞台版の演出がそれを完全に裏書きします。
で、こんなふうにハンドルがドロップタイプになれば、変速機がおのずとオンロード用になります。
シマノ=STI、カンパ=エルゴパワー、SRAM=ダブルタップコントロールと各社で呼び名はさまざまですが、シフターとブレーキが一体型のシステムです。
おすすめカスタムはタイヤの交換
さて、ドロップハンドルのミニベロを買うなり、ハンドルカスタムをするなりで、ロード化をほぼなしとげて、さらに万全を望むなら、めんどうなグループセットのチェンジにいかず、タイヤの交換をしましょう。
コンポ変更のロード化効果は見た目的にも性能的にもいまいちです。最高速の上限アップにはチェーンリングの大型化がいちばんです。ただし、フロントの多段化はトラブル増大の元凶です。
とすれば、フロントシングル・・・でも、シングル用のナローワイドリングに50T以上のものはありません。じゃあ、フロントマルチで・・・トラブルまみれです。このギア構成の折り合いはけっこうな難題です。
タイヤ交換はかんたんです。現状、市販品にごんぶとタイヤとホイールの小径車はそうそう見あたりません。ETRTO406ホイールのタイヤ幅は1.5インチ前後、ETRTO451ホイールは1 1/8インチ前後です。
デフォルトタイヤから±2サイズが適正範囲の目安です。ロード化=細タイヤ化です。406はシュワルベデュラノやOne、451はパナレーサーミニッツシリーズが定番です。
最細はおそらく451の7/8=22-23Cタイヤです。ロードバイクのタイヤ幅のスタンダードが25Cに移行中で、23Cは下り坂気味ですから、23Cはスポーツバイクのタイヤの中で最細の部類に入ります。
細さの順番は、
451の7/8 < 406の1 < 406の1.1 = 451の 1 1/8
って感じです。これ以上のものは30mm以上になって、ロードぽくなくなります。451の1 1/8、406の1.1がロードぽいタイヤの上限です。
ホイールのインチアップはヒトクセ
が、幅は同サイズであっても、タイヤ外周の直径は別です。451ホイール + 1 1/8タイヤは19.96インチで、ほぼ20インチです。406ホイール + 1インチタイヤは18.18インチです。
とうぜん、でかいホイールの方がスピーディです。より快速号にするなら、451ホイールにしましょう。ただし、ホイールのインチアップに立ちはだかるのがクリアランスとブレーキの互換性です。
クリアランスのむりはむりです。フレームは自転車の骨格です。これは基本的に不変です。27cmの足は24cmの靴に入りません。あきらめましょう。
ブレーキの問題は種類によります。ディスクブレーキ車のインチアップはかんたんです。ローターの位置は常に一定ですから。
キャリパーやVブレーキはそうかんたんじゃありません。451と406の差は45mm、片方で22.5mmです。ブレーキのリム面がそれだけ外側にずれます。
ブレーキシューの位置調整で片付くことはレアケースです。たいていブレーキの総取替えかアダプターの出番です。定番のアダプターはEIOSIX Vブレーキトランスファーてもんです。
ブレーキはこれです。ながいアームのタイプ。
キャリパーブレーキはミニベロではメジャーじゃありません。最初からミニベロロードと銘うたれるようなモデルにしか使われません。Vブレーキが主流です。
とはいえ、ロードバイクはどんどんディスクブレーキ化しますし、キャリパーブレーキ=ロードバイクてのはやや古臭いイメージです。
そして、ロードのブレーキレバーはキャリパーブレーキ用です。Vブレーキとの互換が問題になります。引き代がちがいます。シマノはこの組み合わせをNGにします。
現物合わせでシビアに調節するのが唯一の解決策です。か、キャリパーを金具や補強材でむりくり固定するか。でも、そんな苦労しても、制動力はVブレーキの足元に及ばない・・・まあ、ミニベロのキャリパーはコスプレですわ。
おすすめミニベロロード
完成車の販売品のなかからおすすめのミニベロロードをあげてみましょう。2017年の段階でもっともミニベロロードらしいミニベロロードです。
GIANT IDIOMです。2018モデルからフレームデザインが一新します。前より直線的にストレートになりました。
価格、性能、ルックス、三拍子のミニベロロードです。万人におすすめです。ただし、ややレーシー寄りになります。遊び心はダウンします。まじめのミニベロロードです。
こんなかごつきIDIOMはスーパーの梯子にサイコーでしょう。
パナパナセットで足回りを最軽量化
かんたんに入手できる定番ミニベロロードタイヤの最軽量はパナレーサーのミニッツライトの20 x 7/8です。
良くも悪くもフィーリングはとんがります。軽量化、クラス『最』軽量はカスタム派のロマンで通過儀礼です。結局、この細さの下限から8分の1インチ刻みでマイベストタイヤを探すのが合理的です。
最初からコンフォートな28cあたりを選んでも、軽量化熱のほとぼりに突き動かされて、高確率であとから調達しちゃいますしね、ははは。
これで1000kmから走りました、かなり荒っぽくイケイケで。パンクはありません。新型の耐パンク性向上のうたい文句は嘘じゃない!
あとはチューブです。しかし、これの決定版がありません。PanaのR’air、Scwalbe、TIOGA、いずれが一長一短です。