前回、うちのママチャリがカーボンディープリムとエアロドロップハンドルで破格の走行性能を得て、ロードキラー号の栄誉を勝ち取りました。
Micheの厚歯の固定ギアとトラッククランク、高グリップなSchwalbe Oneチューブラーのおかげで足回りはパワフルです。完全なるガチムチ系ママチャリだ。
単純な走行性能はクロスバイクやロードバイクを軽く越えます。平地の短距離バトルではほぼサイキョーです。上の写真のふんいき=実際の速さです。
反面、足腰への反動が強烈です。ギア比は3です。上り、下り、ストップアンドゴーが苦手です。ここらはライザーバーピストモードの特性を引き継ぎます。
ドラクエで例えるなら、
「鎧は初期の『ぬののふく』だけど、剣は『もろはのつるぎ』で、そのほかの装備は『はがねシリーズ』だ!」
て、表現できましょうか。こんな勇者は攻守のバランスに欠けますが、もろはのつるぎの攻撃力でたいていのモンスターに力押しで勝てます。
使いすぎると自滅するけどね! ヒザがパキパキ鳴くよ!
ママチャリ11速化のキーアイテム
で、このピーキーなバイクをすこしマイルド化しようと思って、amazonをさまようと、おもしろいものを発見します。
はい、アルミの削りだしのディレイラーハンガーです。中華系業者か小口の輸入代理業者の販売品です。海外在庫、追跡なし、郵便局配送、ポスト投函、10日です。
近年、こういう海外在庫、現地発送のアイテムがamazonや楽天にふつうに進出します。雑貨、アウトドア、ペットグッズなどなど。
品質はとくに問題なしです。きれいなアルミの削り出しです。なぞのロゴはかっこよくありません。価格は500円です。CONSは追跡番号なしくらいですか。
正爪エンド用ディレイラーハンガー
裏側の形状です。
ママチャリ改造屋さんやシングルスピード乗りはこの形状にぴんと来ましょう。はい、これは正爪エンド用のディレイラーハンガー&アダプターです。
ちなみにこれがその正爪エンドです。
“正爪”の読み方がいまだに分からん・・・
※ 読者さんからのおたよりとチャリ界の慣習では『まさづめ』説が多数派のようです。『せいづめ』派の巻き返しに期待しましょう。
正爪エンドにポン付けできるシマノのリアディレイラーはあります。~7速の多段化が限界です。
RD-TY500、コンポのグレードはTourneyです。内装3速のNEXUSとおなじくこましな多段シティサイクルの定番の装備です。
が、うちの手持ちのリアホイールは固定ギアのシングルスピードかシマノ/SRAMフリーの11速だけです。6-7速用のボスフリーカセットは付きません。
そんなわけで、ママチャリの多段化=11速化となります。メカやシフトはロードの取り外し品です。
スポーツバイクの世界はいよいよ12速化時代に突入します。ママチャリ、シティサイクルもおちおちできません。特売たまごを買い逃さぬように11速化しましょう。
11速化スタート!
さて、作業にかかりましょう。手始めに固定ギアのホイールを外して、このハンガーアダプターをはめます。
はい、裏側の出っ張りがエンドにつかえました。ここまでしか入りません、ぎゃふん! 中華クオリティか?!
うーん、問題はこのママチャリのフレームのエンドのようです。下側の爪がみょうにデカデカします。なぜか途中から幅広になる。
ためしにハンガーを逆付けにすると、エンドの根元まですぽってはめられます。上側の爪の幅がぴったりです。下側は合わない。
ハンガーの出っ張りを削るか、エンドの下爪を削るかすれば、シンプルに解決できましょう、2mmか3mmか。でも、手動はたいへんです。ドリル加工か~。
ワッシャでスプロケをオフセット
取り付けの完全性を度外視して、工程を先にすすめます。11速のホイールのスプロケットにワッシャをはめます。
ワッシャなしでカセット付きの130mmホイールをポン付けすると、ロックリングとステーの干渉でホイールを回せません。つまり、これはオフセット、クリアランスの確保のためのかませです。
多分、これはシングルスピードのママチャリやシティサイクルのフレームの構造的な問題です。もともとのエンド幅が126mmですし。
で、この126mmのエンドをぐいって広げて、130mmホイール+ワッシャをごりごりにねじこんで、アダプターハンガーをクイックリリースで留めます。
ハブのエンドキャップの掛かりのあささがちと不安です。もう5mmだけ爪の内側に入って!
あやしいチェーンとステー
ワッシャを一枚に減らして、つよく再セットしたら、すこし深くはめられました。気休めにクイックリリースのトルクをがちがちにしましょう。
で、リアメカを付けて、アウターを取りまわして、インナーを張ります。
うーん、インナー、アウター、いずれの長さが足りません。アジャスタのアウターケーブルのエンドキャップの悲鳴が聞こえます。これは早晩に割れますねえ。
後回しにしましょう。チェーンラインをチェックします。
おお! しょっぱなから70点です。だめなふんいきはしません。が、みてのとおりに1速チェーンとステーがすこし干渉します、薄皮一枚。
変速調整はアジャスタと調整ねじでどうにかなりそう。完全NGはケーブルキャップです。メカの動きはわるくありません。
厚歯リングと11速チェーンが・・・
ハンガーとメカは及第点です。べつのところに致命的な問題が発生しました。
11sチェーンと厚歯リングです。リンクの隙間と歯の厚みがまったく合いません。こんなふうにチェーンが浮きます。
これは加工や調整でどうにもなりません。対策はBCD144の5ホールの薄歯リングの調達です。
はたまた、このEASTONのクランクを移植するか。
ねじ切りシェル用の30mmのホローテックBBかBCD144の薄歯リングか、それが問題です。
カンパ x SRAM=カンパラム?
最近、ママチャリとロードのパーツをひっきりなしに入れ替えて、ドロハンとライザーバーやフラットバーの使い勝手を比べます。
うーん、やっぱし、ハイライズのライザーバーが楽ちんオールラウンダーです。ドロハンの前傾が予想以上にストレスフルです。左肩がめっちゃ疲れる。
で、一時的にママチャリのハンドルをライザーバーに戻します。そして、わるふざけでオフロード用のSRAM NXのグリップシフトをセットします。
リアメカはもとのカンパニョーロのアテナです。メーカー、世代、ジャンルがてんでばらばらです。11sの変速数だけが共通します。
「これは動かんで~。インデックスもメカのバネの強さもちがうしさ~」
て、冗談半分でグリップシフトをぱちぱちします・・・あれ、ふつうに11速までシフトダウンしちゃったぜ? おいおいおい。
たしかにグリップシフトの動作はフリクション式のシフターにすこし似ます。握りで微調整がきく。とはいえ、ほぼポン付けでぱちぱち動くよ、これ・・・
そんなわけでMIXコンポに新たなる1ページが加わりました。SRAMグリップシフトとカンパニョーロリアメカのちゃんぽんです。ニョラム? スラニョーロ? カンパラム?
てか、互換ってなんだあ?!
その後のカンパラム
後日、このママチャリのカオスなMIXの信ぴょう性に疑問を抱いて、通常のロードフレームに上記のカンパラムセットをつけて、ふらっとテストライドしました。
じゃあ、手回しとは別の結果が出ました。ふつうに走りながらシフトチェンジすると、なぜか9段しかカチカチできません。
シフターの動作がリアメカ側の変速範囲に上書きされるような感じです。1、2、3、4~~8、9、10、11みたいになります。5、6、7が不安定だ。あとの2段はどこに行った?
グリップシフトの握りをびみょうに変えながらスイートスポットを探しますと、一個だけポイントを見つけられます。でも、もう一個が見当たらない。
1-3、9-11あたりは安定です。シフターとメカのギャップが誤差に収まります。で、4-8段の中間層でギャップが徐々に大きくなって、動作がごちゃごちゃになります。
実質、9.5段みたいなものです、このカンパラム。おもしろいものです。
これを使うなら、フレームの正爪エンドの幅をチェックしましょう。