固着したBBを外す 固いねじ切りボトムブラケットをDIYで回す裏技

自転車弄り中級編の代名詞、ねじ切りBB(ボトムブラケット)の固着トラブルとその対処法を解説します。

主役は中古のGIANT DEFYです。

10年物のロード
10年物のロードバイク

1.5万円でフルクラムレーシング1付きの掘り出し物でした。同じクラスの新品のロードは令和の今では20万円ですよ。

しかし、BBが難です。

固着したスクエアBB
固着したスクエアテーパーBB

ねじ切りBBの固着トラブル

以下の3つの条件が揃うと、BB周辺に何らかのトラブルが発生する確率が高くなります。

  • 古い自転車(5年以上経過)
  • 長期間の放置
  • ねじ切りボトムブラケット

ねじ切りBB・・・というか、ねじの全般はこのコンディションでは錆びて、痛んで、固着します。さらにボルトのネジ山なめなめで詰みが発生する。

また、ドライブ側(右側)はチェーンのせいで常に左より早く強く汚れて痛みます。固着の大半はこちら側で起こります。

JIS/BSAねじ切りBBの構造

ねじ切りBBには規格があり、締め付け方向が異なります。作業前に必ず確認しましょう。

規格ドライブ側のネジ方向備考
JIS/BSA逆ネジ(右回しで緩む)日本・イギリス・アメリカ規格。標準
ITA正ネジ(左回しで緩む)イタリア規格。ピナレロ等一部メーカー

GIANTは世界最大の自転車メーカーの一つであり、JIS/BSA規格を採用します。つまり、右側(ドライブ側)は逆ネジです。左回しで締め、右回しで緩みます。

固着がひどくなると、「こいつは本当に逆ネジですか?」という疑惑がちらつきますが、99%のBB右側は逆ネジです。

逆ネジ暗鬼
逆ネジであることを意識して作業

定番の外し方

固着したBBを外す基本的な手順は以下の通りです。

  1. BB周辺を清掃する
  2. 潤滑剤(ラスペネ等)を吹きかける
  3. 数時間〜一晩放置する
  4. 工具の柄をパイプ等で補強する
  5. 体重をかけて力強く回す

5年程度経過したフレームのBBはこの方法で緩みます。しかし、10年以上放置されたBBは簡単には外れません。

BB工具の構造的な課題

固着BBを外すとき、工具が空回りして外れるという問題がしばしば起こります。これはBB工具の構造的なボトムネックです。

20セレーションタイプの工具の掛かりの浅さ
20セレーションタイプ工具の掛かりの浅さ

シマノやFSAタイプのBB工具は20セレーション(溝)です。この20の爪がカップの溝に嵌る。しかし、この溝は深くない。セレーションが浅くしか入らない。仕様です。

固着がひどくなると、工具が溝から外れてしまい、BBの溝や山がなめます。

工具タイプ特徴備考
20セレーション一般掛かりが浅く、固着時に空回りする
カニ目タイプ旧型。外側1か所爪専用工具が必要
カンパニョーロ溝の数が異なる専用工具が必要
カンパ式スクエアテーパーBBカップ外し
カンパ式スクエアテーパーBBカップ外し

個人的に工具外れの失敗のリミットは3回です。それを越えて、しつこく繰り返すと、超高確率でなめなめを引き起こします。

BB工具を固定する裏技

ぼくはこのBB工具が空回りする問題を解決するため、工具をBBシェルに固定する方法を考えて、一つの対策を発見しました。

必要なものは以下の通りです。

部品規格価格
ボルトM8×40mm ピッチ1.0mm約199円
ナットM8 ピッチ1.0mm約199円(セット)
ワッシャーM8用約199円(セット)
固定ボルトと同じ規格のねじ
M8×40mm ピッチ1.0mmのボルト・ナット・ワッシャー

ボルトの太さとネジ山のピッチをクランクの固定ボルト(フィキシングボルトってやつ)と同じ規格を選びます。このサイズはM8で、ピッチは1mmでした。

1.0mmピッチはネジ界ではややマイナーです。サイズとピッチを確認して調達すること。

工具固定の手順

  1. BB工具を通常の位置にセットする
  2. 工具の外側からボルトとワッシャーで固定する
  3. ナットで締め付け、工具を固定する
  4. レンチを工具に掛け、体重をかけて回す(右回しで緩む)
工具を固定
工具をボルトで固定した状態

このようにボルトで工具を外から固定すれば、体重をかけても、上記のセレーション外れを食らいません。

注意点です。この方法は柄付きの工具では使用不可です。

また、クランク付属のフィキシングボルトは工具越しにBBの軸のネジ山まで届きません。40mm以上の長さのボルトが適します。

体重掛けて回す
体重をかけて回す

またカップの固着が緩んだら、固定ネジを即座に外しましょう。そのまま緩め続けても、カップが外れません。固定されてるので。さらに力が掛かると、フレーム側のネジ山がとびます。

固着BB外れました
固着BBが外れた状態

この方法で固着したBBを確実に外せました。なお、反ドライブ側(左側)はここまで硬くありません。

作業のポイントまとめ

ポイント内容
固着の発生5年以上経過したBBは固着しやすい
固着箇所症状の大半はドライブ側(右側)に発生
ネジ方向JIS/BSAは逆ネジ(右回しで緩む)
工具の課題20セレーション工具は掛かりが浅く空回りしやすい
注意点BBの溝を舐めると取り返しがつかない
解決策工具をボルトで固定すると効果的

よくある質問

BBが固着しているかどうか見分ける方法は?

BB工具をセットして回したときに、まったく動かない、あるいは工具が空回りする場合は固着しています。潤滑剤を吹いても反応がない場合は、固着がひどい状態です。

潤滑剤を吹いても外れない場合は?

潤滑剤を吹いた後、数時間〜一晩放置してから再試行してください。それでも外れない場合、工具固定の裏技を試すことをおすすめします。力任せに回し続けるとBBの溝を舐める可能性があります。

工具固定の裏技はどのBBにも使えますか?

20セレーションタイプのBB工具(シマノ・FSA共通)で使用できます。柄付きの工具には使用できません。また、工具のソケット穴より大きいワッシャーが必要です。

BBの規格を確認する方法は?

BBの端面に規格名(JIS、BSA、ITA等)が刻印されている場合があります。不明な場合は、フレームのメーカーやモデルから検索するか、自転車専門店で相談してください。日本の完成車はほとんどがJIS/BSA規格です。

固着を防ぐためには?

定期的にBB周辺を清掃し、グリスを塗布しておくことが有効です。長期間使用しない場合は、保管前にクリーニングしておくと、次回の作業がスムーズになります。プレスフィットBBは固着とは無縁ですが、異音の問題があるため、一長一短です。