自転車カスタムのおもしろさにはまると、遅かれ早かれこれに挑戦したくなります。ヘッドパーツの交換です。

ヘッドセットわん
クランクやボトムブラケットの交換にも専用工具が必要ですが、それらは比較的に安価なツールです。

左・BBツール 右・コッタレスクランクリムーバー
だいたいが1000円以下です。ところが、ヘッドパーツの交換にはやけに高いスペシャルな工具が必要になります。
とにかく、ワンが曲者
まず、もともとのヘッドパーツを取り外します。が、その前にフォークを外さなければなりません。じゃあ、ステムがほんとの『まず』です。ヘッドキャプを外して、ステムを抜いて、フォークをヘッドチューブからすこんと叩き落とします。
すると、上下のスペーサー、ベアリングがばらばらします。多分、上ワン、上スペーサー、上ベアリングはグリスでねちょっとトップチューブにくっついてますが、下スペーサー、下ベアリングはフォークに引っ張られて、ステ管にくっついています。すばやく回収しましょう。
さて、ここからが最初の山場、上下のワン外しです。トップチューブにがっちりはまったこれのことです。
これを取り外すのは前述のはぼきみたいなツールの役目です。しかし、そんなものは手元にありません。めったに使わないものに2000円も出せません。塩ビパイプで自作工具を作るもめんどうです。
O型はすなおにノミとハンマーを用意します。ノミの刃先をチューブ内のワンの縁にセットします。細心の注意で大胆にふんわりとがんがん叩きます。かんたんに外せます。
結局、専用工具であろうがなかろうが、ワンの取り外しは物理的作業です。専用工具のメリットはパーツへの負担が少ないだけです。
お客の自転車を扱うチャリ屋はむちゃをできませんが、カスタムチャリダーは力技DIYでぜんぜんOKです。
つぎはフォークの下玉押しを外します。薄刃のカッターを密着部に差し込んでとんとこ叩いて、数mmの隙間をつくってマイナスドライバーかノミの歯を入れて、ぐいとこじります。
この方法がベストです。へんにやさしくすると、細かいキズを多くつけちゃいます。肉を切らせて骨を断つ精神です。
これで全部のパーツを外せました。構成は上下ワン、上下スペーサー、下玉押し、上下ベアリングです。製品モデルによって、シールや上玉押しがあります。

TANGE タンゲ ヘッドパーツ terious オーバーサイズ一式
このヘッドパーツはTANGE タンゲ terious オーバーサイズ28.6mmです。オーソドックスなカップ&コーンタイプで、エントリークラスのスポーツ車に使われます。
信頼と品質のタンゲ製にしてはスペーサーのフィット感が大きめだったり、ガタが出たりして、最初から好印象じゃありませんでした。
どうせなら、カートリッジシールドベアリング式のCNC系のやつにしようと思って、よさげなやつを探します。クリスキングは高すぎ、ケーンクリークは見当たらず、結局、INTREPIDのチェーンを買ったヤフオクの豆新で買いました。
AEST ヘッドパーツ アヘッド オーバーサイズ シールドベアリングです。クリスキングのうん十分の一の値段です。うちのはこれの黒です。シールドベアリング式でアルマイトブラック。
下玉押しはスリット入りのもので、フォークの根元への取り外しが格段に楽ちんです。
取り付けの山場は上下ワンの圧入です。ワンは取り外しにも取り付けにも曲者です。とにかく、パワーと思い切りが必要です。
ここでまじめなA型さんはホームセンターの資材で自作工具を作りますが、ずぼらのO型は力技で押し通します。だいたい力技で外れるもんが力技で付かへんておかしくない?
ということでワンをトップチューブに軽くはめて、ロゴの方向にだけ注意して、ざぶとんを下にかまして、体重でぐいぐい押し込みます。特に問題なく圧入できました。
専用工具も自作工具も不要です。ヘッドパーツ、ちょろいです~、はははは。
あとはベアリングとスペーサーを順番にはめて、下玉押しをフォークの根元に入れます。スリットが広がって、らくにはまります。あとあとのメンテも楽ちんです。

AEST ヘッドパーツ
さて、シールドベアリングのヘッドパーツの実力ですが、ハンドリングの滑らかさはそんなに変わりません。もっとも、交換の動機はそこじゃありませんが。
問題のガタはなくなりましたし、見栄えはよくなりました。なにより専用工具も自作工具もなしにうまくやれたことが満足感です。
カーボンフォークに下玉押しのクラウンレースの圧入
また、別の機会にクラウンレースの圧入をやりました。ヘッドセットはインテグラルです。カーボンフレーム用です。

FSA 40 ABC インテグラルヘッドセット バルク
カーボンのフレームにはワンを圧入しません。ベアリングをダイレクトにフレームにセットします。フレームのトップチューブにワン代わりの加工がありますから。

トップチューブはテーパーのインテグラル
で、FSAのバルクをeBayで買いましたが、クラウンレースが割りなしのタイプでした。てことは、圧入が必須です。
これにもまたまた専用工具があります。しかし、一回二回のメンテにツールをいちいち取り寄せられません。道具箱はすでに限界ですし。
じゃあ、ごり押しで圧入しましょう。ノミ、ハンマーでがんがんやりました。

所詮この世はパワーだよ!
一打だけミスって、フォークの肩のところにチッピングをしちゃいました、うえーん。接着剤でごまかしましょう、うんうん。
ヘッドのワンであれ、下玉押しであれ、プレスフィットBBであれ、専用工具の出番はついぞありませんね~。手持ちでなんとかしちゃいますわ、ははは。
圧入工具も安くなりました。