自転車の異音はわりに厄介な問題です。まず、箇所の特定が問題です。やりやすいところから始めて、
- ペダル交換×
- クランクフィキシングボルト増し締め×
- リアスイングの調整×
ここまでやって、覚悟を決めました。めんどうなBB周りのメンテに着手します。
3KなBBメンテ
さて、この車体のクランクの遍歴を紹介します。
- 初代:FSA スクエアBBとFSA クランク
- 先代:Shimano ホローテックIIと旧Deore XTクランク
- 現役:TOKEN スクエアBBとANSWERのショートクランク
中空BBからスクエアBBへの回帰は150mmのショートクランクの装着のためです。
![ACE ANSWER AEST](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2017/04/ACE-ANSWER-AEST.jpg)
で、このセットの走行距離は1500kmくらいです。メンテには尚早です。しかし、異音が無駄に整理魂を掻き立てます。
クランクを外す
まず、クランクのキャップを外しましょう。ここのキャップのねじはふつうです。左回しで緩みます。反対側のクランクのキャップも同じです。左回しで外れます。
![クランクキャップを外す](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/09/31090ea8d2bf4598099f659e115fa176.jpg)
つぎにクランクはずし工具をクランクにセットします。これです。
![コッタレスクランクリムーバー](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/07/DCIM0569.jpg)
コッタレスクランクリムーバーはクランクを外すためだけの工具です。ほかに使い道はありません。取り付けにも使いません。ほんとに外すだけのオンリーワンツールです。
![answer%e3%82%af%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%82%af](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/09/c901ae27c0a183f369b7c683ab40d244.jpg)
このアームのマウントのボルトも増し締めします。異音対策には怪しいところを総当りでつぶします。異音の原因の8割はなにがしかの緩みですので。
BBを外す
これと同じ手順で反対側のクランクも外します。ようやくボトムブラケットを拝めました。
![スクエアテーパーボトムブラケット](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/1584247031f3903bf70fe3969b06ac67.jpg)
これはスタンダードな20スプライン(溝の数が20)のものです。
ここでボトムブラケットリムーバーの出番です。20スプラインです。
![スクエアBBリムーバー](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/01/0cb036039db20c4728fe905f10c35d80-1.jpg)
ボトムブラケットを外すための道具です。
「えー、また外すだけ?」
いいえ、なんとこれは取り付けにも使うことができます! BB着脱工具が正解です。
ねじ切りBBの取り外しの注意点はねじの回転方向です。ドライブ側のボトムブラケットの右ワンのねじは逆ねじです。左回しで締まって、右回しで緩みます。
![JIS ENGLISH BB右ワンネジ方向](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/0d4566489dff255ebbaf666eee47ded9.jpg)
これを知らないと、外すつもりで左回しにやってしまって、がっちがちに固めるという悲劇に見舞われます。
さらなる注意点は左で緩んで、右で締まる正ねじのタイプもあるということです。このタイプのボトムブラケットはITA規格と呼ばれます。
イタリア老舗自転車メーカーのピナレロなどのフレームのねじ方向はこのITAになります。フレームの詳細を見て、”ITA”の文字を見つけたら、ねじ方向に注意しましょう。
反ドライブ側のボトムブラケットのねじはふつうの左緩み右締まりです。こっちは共通です。
![左は左回しで緩む正ネジ](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/DCIM0581.jpg)
で、やっとのことでボトムブラケットを取り出せました。
![BB取り外し完了](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/6fbc75bc139745b66587f479381ed632.jpg)
汚れの大半は古いグリスと塵です。このフレームにはケーブル内蔵用にいくつか穴がありますから、そこから塵が入って、ここまで到達しちゃいます。
また、キャリパーブレーキの取り付け穴からも塵が入ります。フレームは完全密封に見えて、そうじゃありません。
BBチェック
![bb-token](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/BB-TOKEN.jpg)
ボトムブラケットには不備が見当たりません。シャフトは真っ直ぐですし、クラックはありません。グリスアップして、このまま戻しましょう。
そのまえに一手間かけてシールドベアリングにグリスをさします。パッキンのゴムシールを針かハサミかのひらたいもので外します。ぼくはまつ毛切りバサミを使いました。
![3000km走行後のグリスの減り](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/c0600e7a0ae8daf8023ad40b18123980.jpg)
グリスを入れましょう。おなじみのAZ万能グリスです。ぼくはハブにもBBにもこれを使います。
![おなじみAZ万能グリス](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/DCIM0590.jpg)
と、その前にクリーニングをします。
圧入された右ワンを外す
さて、Lサイドの左ワンは手ですぽっと外れますが、Rサイドの右ワンはこうじゃありません。
![bb-token](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/BB-TOKEN.jpg)
右ワンの内径は左よりやや狭くなって、芯にがっちり圧入されて、ちょっとやそっとでびくともしません。塩ビパイプをかませて、ハンマーでがんがんに叩き出します。
![塩ビパイプで右ワンたたき出し](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/a46f4f08ba28edf8a65620093325c0c6.jpg)
なるべく均一にごとごと叩くと、ノーダメージで外せます。はい、OKOK。
![BB分解](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/bballstars.jpg)
丸洗い
じゃぶじゃぶ洗いましょう。油汚れにはお湯とJOYです。
![熱湯と中性洗剤で丸洗い](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/2d0afb1532a610b9fd18508a0ca16cf2.jpg)
こういう平筆はグリス塗り、部品洗いに便利です。
すっきりしました!
![グリス完全除去](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/DCIM0618.jpg)
ドライヤーできっちり乾かしましょう。水気をベアリング内に残すのは厳禁です。
最後にグリスを塗って、パッキンを戻して、ワンを組み付けます。
が、今回、ちょっと変化球をしてみましょう。グリスアップじゃなくて、オイルアップです。
グリスの代わりにルブを差してみる
でろ系のグリスは防塵・防水・防摩用の粘着シールドです。まんまデロデロののりです。これは回転性能には足手まといです。
実際問題、からからに乾いたベアリングはよく回ります。メンテ仕立てのBBやハブの回転はよろしくありません。グリスがフレッシュですから。
今回、グリスを入れずにさら系のオイルを使ってみようと思います。はい、フラッシュラインのドライテフロン、チェーン用のルブです。
![フラッシュラインドライテフロン](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/DCIM0621.jpg)
ドライテフロンを流し込みます。
![オイルアップ](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/0f703a1801b6c8a21d682f92e4a5ebba.jpg)
再圧入
右ワンをハンマーで圧入しなおします。槌にあて布をして、均一にこつこつやって、ふじに戻せました。
![右ワンをハンマーで圧入](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/DCIM0636.jpg)
が、いつの間にやらあて布がやぶけて、キズができました。
![打ちキズ](https://b4c.jp/wp-content/uploads/2016/04/DCIM0640.jpg)
気にしない! 気にしない!
「気にするわ!」
という人はゴムハンマーを使いましょう。
効果は?
オイルアップの効果は歴然です。クランクが手回しでスムーズにきゅるきゅる回転します。
異音は消えません。おい!