ちょっと前から車体から異音がします。ペダルにトルクをかけると、顕著に再現できます。空耳じゃありません。
厄介な異音
自転車の異音はわりに厄介な問題です。まず、箇所の特定が問題です。やりやすいところから始めて、
- ペダル交換×
- クランクフィキシングボルト増し締め×
- リアスイングの調整×
ここまでやって、えーいと覚悟を決めました。めんどうなBB周りのメンテをしましょう。
BBメンテに着手
さて、うちのクランクはスクエアテーパー対応のものです。つまり、BB,ボトムブラケットのシャフトはスクエアテーパー=四角い先細りのタイプです。
クロスバイクやミニベロ、一般車のBBはだいたいこれです。

完成車付属はFSAのスクエアテーパーBBとFSAの安クランクです。つぎがシマノ旧XTクランクとホローテック2BBです。
で、最終形態がANSWER150mmショートクランクとこのTOKENのクロモリシャフトのスクエアテーパーBBです。
ぼくはこのTOKENのBBをカンザキバイクで買いました。使用期間は3ヶ月、走行距離は1500kmくらいです。
まだまだ交換時期ではありませんが、そろそろメンテ時期ではあります。TOKENのBBはあたりはずれがありますから。
ちなみにシマノのホローテック2の回転性能はこのスクエアテーパータイプに全く劣ります。ベアリングシールの構造上の問題です。防水・防塵性能のかわりに回転が犠牲になります。
うーん、フレームのBB受けからごろっとはみ出す見栄えも色も好みじゃありません。せめて、アルマイトでかっこよく染めてよ~。
クランクを外す
まず、クランクのキャップを外しましょう。ここのキャップのねじはふつうです。左回しで緩みます。反対側のクランクのキャップも同じです。左回しで外れます。

つぎにクランクはずし工具をクランクにセットします。これです。

コッタレスクランクリムーバークランクを外すためだけの工具です。ほかに使い道はありません。取り付けにも使いません。ほんとに外すだけのオンリーワンツールです。
まず、奥の回るやつをクランクのネジ穴にネジネジインします。手で根元まで行けます。

それから、手前の回るやつをレンチやスパナでぐりぐりねじ込みます、クランクが外れるまでぐーりぐり。

ぺこんと外れます。

このアームのマウントのボルトも増し締めします。異音対策には怪しいところを総当りでつぶします。異音の原因の8割はなにがしかの緩みですので。
メンテ中にボルトを見つけたら、その都度に緩みをたしかめましょう。
BBを外す
これと同じ手順で反対側のクランクも外します。ようやくボトムブラケットを拝めました。

これはスタンダードな20スプライン(溝の数が20)のものです。だいたいがこれです。古いものやマイナーなものにはカニ目レンチとかを使います。
さあ、ボトムブラケットを外しましょう。ボトムブラケットはずしの出番です。20スプラインです。

ボトムブラケットを外すための道具です。
「えー、また外すだけ?」
いいえ、なんとこれは取り付けにも使うことができます! BB着脱工具が正解です。
ぼくはこれをスライドヘッドハンドルにセットします。

で、リムーバーをボトムブラケットのみぞにそってはめます。
このときの注意点はねじの回転方向です。オーソドックスなENGLISH JIS規格ではドライブ側のボトムブラケットの右ワンのねじは逆ねじです。左回しで締まって、右回しで緩みます。

これを知らないと、外すつもりで左回しにやってしまって、がっちがちに固めるという悲劇に見舞われます。
さらなる注意点は左で緩んで、右で締まるふつうねじのタイプもあるということです。このタイプのボトムブラケットはITA規格と呼ばれます。
イタリア老舗自転車メーカーのピナレロとかのフレームのねじ方向はこのITAになります。フレームの詳細を見て、ITAの文字を見つけたら、ねじ方向に注意しましょう。
反ドライブ側のボトムブラケットのねじはふつうの左緩み右締まりです。こっちは共通です。

で、やっとのことでボトムブラケットを取り出せました。

汚れの大半は古いグリスと塵です。このフレームにはケーブル内蔵用にいくつか穴がありますから、そこから塵が入って、ここまで到達しちゃいます。
また、キャリパーブレーキの取り付け穴からも塵が入ります。フレームは完全密封に見えて、そうじゃありません。
BBチェック

ボトムブラケットには不備が見当たりません。シャフトは真っ直ぐですし、クラックはありません。グリスアップして、このまま戻しましょう。
そのまえに一手間かけてシールドベアリングにグリスをさします。パッキンのゴムシールを針かハサミかのひらたいもので外します。ぼくはまつ毛切りバサミを使いました。

新品の購入から3000km前後の走行です。グリスはほぼからからです。グリスを入れましょう。おなじみのAZ万能グリスです。ぼくはハブにもBBにもこれを使います。

とその前にばらしクリーニングです。
圧入された右ワンを外す
さて、Lサイドの左ワンは手ですぽっと外れますが、Rサイドの右ワンはこうじゃありません。

右ワンの内径は左よりやや狭くなって、芯にがっちり圧入されて、ちょっとやそっとでびくともしません。塩ビパイプをかませて、ハンマーでがんがんに叩き出します。

なるべく均一にごとごと叩くと、ノーダメージで外せます。はい、OKOK。

このシールドベアリング自体を外すのはたいへんです。ハンマーとノミでごり押しで外せます。ベアリングをセラミックにするとか、シャフトを取り出すとか、そんなときにはチャレンジしましょう。
クリーニングにはベアリング着脱は不要です。オープンな外側から中を洗えます。内側にも同じようなシールパッキンがあるだけでしょうし。
丸洗い
じゃぶじゃぶ洗いましょう。油汚れにはお湯とJOYです。

こうゆう平筆はグリス塗り、部品洗いに便利です。
すっきりしました!

ドライヤーできっちり乾かしましょう。水気をベアリング内に残すのは厳禁です。さびのもとです。
最後にグリスを塗って、シールをして、ワンを組み付けます。
が、今回、ちょっと変化球をしてみましょう。グリスアップじゃなくて、オイルアップです。
グリスの代わりにルブを差してみる
でろ系のグリスは防塵・防水・防摩用の粘着シールドです。まんまデロデロののりです。これは回転性能には足手まといです。
実際問題、からからに乾いたベアリングはよく回ります。メンテ仕立てのBBやハブの回転はよろしくありません。グリス=のりがぴんぴんですから。
なので、今回、グリスを入れずにさら系のオイルを使ってみようと思います。はい、フラッシュラインのドライテフロン、チェーン用のルブです。

今年の初めに梅田のウエムラサイクルパーツで買ったやつです。中身はまだ切れません。ドライオイルの売れ筋ベストです
これもあります。

ホームセンターチャリコーナーの常連自転車油です。これは最悪です~。オイルのケミカル臭が異常です。そして、やたらと散らばって、むちゃくちゃ黒くなります。墨汁をぶちまけたあ? みたいに。問題外です。

うーん、見た目は変わりません。が、匂いは別次元です。デラックスオイルはもう異臭です、ははは。そして、このキャップがぜんぜん役立たずです。だだもれ! 物置に再封印しました。
ちなみにこの白い皿はヤマザキ春のパン祭りのやつです。デラックスオイルの風味が着いちゃったよ~。怒られる~!!
ドライテフロンを流し込みます。

グリスみたいにみっちり入れずに控えめにしました。
が、パッキンのキズからちょい漏れします。

気にしない!
再圧入
右ワンをハンマーで圧入しなおします。槌にあて布をして、均一にこつこつやって、ふじに戻せました。

が、いつの間にやらあて布がやぶけて、キズができました。

気にしない! 気にしない!
「気にするわ!」
て人はゴムハンマーを使いましょう。
フレームにインします。平筆でねじ山にグリスを塗って、

取り外しの逆の手順で取り付けます。

回転は上々です。感覚的にグリスの1.2倍増しです。でも、雨の日や砂利道には使えません。それから、ベアリングボールの磨耗が早くなります。この状態は空回りみたいなもんです。
これを壊したら、セラミックかチタンシャフトのやつにします。