中古チェーンは新品には戻らないが、90%ぐらいにはメンテナンスで復活します。とくに10速速以下の太いチェーンの洗浄効果は大です。
逆に細身の11速、12速チェーンはピンの着脱やミッシングリンクの取り付けで局所的に痛みかねません。

しかし、チェーンの状態を知り、取り扱いを間違わなければ、洗浄や丸洗いでトラブルを解消し、走行性能、変速性能を取り戻せます。
ここではジャンクな8速チェーンを例にして、丸洗いの方法を紹介します。
恒例イベント、チェーン異音
こちらが今回の自転車です。

お下がりパーツと寄せ集め部品とジャンクの山から生まれたフラットバーロードです。銀色のアルミフレームと小柄な650cホイールが特徴です。
で、一か月前くらいからこれの足元からパキパキ音がし始めました。完全再現性あり。おかげでYouTubeのロケ動画にパキパキノイズが盛大に乗ります。

- 金属音
- ペダリング中
- 右側
はい、チェーンが容疑者の最有力候補に挙がります。
異音は迷宮入りしがち
ところで、異音の発生源の特定は自転車トラブルの中では上級の難題です。自転車フレームは筒状ですし、ホイールは空洞です。音が伝導して、反響する。
カラカラ音
パキパキ音
キシキシ音
これらは予想外のところからやってきます。「クランクの緩みだ!」→「ドリンクホルダーのボルトの緩みでした」などはあるあるです。だいたい作業後で発覚します。
あと、外で鳴るのに、店で鳴らない。自転車屋さんの冷たい目線が胸に刺さる。なんか勝手に急に治った。耳をふさげばどうということはないというのもあるあるです。
が、今回は上記の条件に加えて、
- チェーンがそもそもジャンクである
- 基本的に屋外野ざらし駐輪
- 寒さで注油もメンテもさぼった
というオプションが加わります。まあ、これは十中八九でチェーンでしょう。
が、クランク、BBなどの足回りパーツの嫌疑は完全には晴れません。この期にクリーニング、グリスアップ、ボルト増し締めを実施しました。

このFSAのクランクもなかなかの年代物です。リングの歯の摩耗がそこそこ進みます。7分くらい? へたりはありますが、歪みはありません。
で、リングの変形はもちろんですが、汚れも変速性能と走行性能に影響します。オイルと泥の混合物は歯石みたいなもので、けっこうな膠着性を持ちます。
これは布の空拭きでは落ちません。布ヤスリか金たわしみたいなものでようやく消えます。
洗うときにチェーンを外すか否か?
さて、本命のチェーンの洗浄です。と、その前に一つの分岐があります。チェーンを外して丸洗いするか? 外さずに簡易に洗浄するか?

ぼくはほぼ外します。チェーン洗浄をするときにはだいたい動画撮影を兼ねて、室内で作業しますから。ここでクリーナーをぶちまけるとか、水をジャバジャバ流すとかできないし。
チェーンの鮮度を保つなら
チェーンを外す、チェーンカットはパーツのコンディションにはプラスにはなりません。リンクが緩む。
これは自転車のチェーンの仕様上の弱点です。

カット=中ピンを抜くことです。外プレート(上の黒い部分)の穴は微妙に変形します。実際、ピンを抜いて再圧入すると、その連結は少し硬くなります。
11速以上の細いチェーンではミッシングリンクが推奨ですが、これの使い回しはメーカーの言い分(シマノなど)では非推奨です。

すべてはチェーンの細さのせいです。
11速、12速チェーンの物理的な強度を重視するなら、不用意なカットを避けて、簡易に洗浄しましょう。
クリーナーか中性洗剤か556か
チェーン洗いに何を使うか? ちなみに清掃屋の友人は「油汚れにはジョイが一番やで」とおしゃいます。ぼくもそう思います。
では、ジョイは機械油、チェーンオイル、潤滑系のルブに効くか?
車体の洗いには十分に効きます。

が、チェーン汚れ、プーリーのダスト、とくに泥、油、錆の不気味な塊にはさすがに効きません。
昭和式呉556式自転車チェーン洗浄法
Mac offやワコーズや自転車専用のディグリーザーは一般家庭にはなかなかありません。しかし、あれはほぼ一家に一本の頻度であります。
そう、556です。

このおなじみのケミカルの主成分はケロシンです。ケロシンは英語で灯油のことです。つまり、556はほぼ灯油です。
そして、灯油でチェーンを洗浄するのは昭和式の伝統の自転車整備の用法です。灯油はオイル、ダスト、錆まで除去します。
が、その灯油の処理は少し神経質です。下水に流すのは厳禁です。放置もよろしくない。※40~60度で引火する。
紙か布に吸わせて可燃ごみの日に出す、庭で燃やす、が正解です。
ぼくはあの独特の匂いでげんなりするので、もう556でのチェーン洗浄をやりません。

自転車専用クリーナー
幸いうちには自転車専用クリーナーがあります。GOTAL チェーンディグリーザーの素です。

販売者で開発者の横山さんから2022年にプロトタイプを頂いて、ちまちま使いますが、ぼくの不精のせいでまだ余します。
使い方は簡単です。アツアツのお湯にこの素を溶かして、チェーンを漬け置きします。

で、適度にシャカシャカするとか、シャカシャカするとかします。ちなみに匂いは無味無臭です。
すると、あら不思議、オイルもサビもきれいに落ちます。

たわしやブラシでがしゃがしゃ擦らなくても、こんなふうに汚れをしっかり落とせます。中性洗剤と空拭きで仕上げは完璧です。
乾燥と注油をお忘れなく
チェーンのメンテナンスは洗浄だけで終わりません。乾燥と注油までがメンテナンスです。
これはヘアケアと同じです。髪のお手入れはシャンプーだけで終わりません。リンス、トリートメントまでがヘアケアです。え、シャンプーだけだ? 鴉に怒られますよ。
実際、556を自転車の潤滑剤に使って、後でサビサビの刑を食らうのはこのトリートメント抜かりのパターンです。
556はほぼ灯油です。これは古いオイルを溶かして、錆を落として、一時的な滑り気を与えます。が、常温で蒸発します。チェーンには残りません。
で、そこに雨風泥が来れば、剥き出しの鉄はどうなるか? マッハで錆びます。つまり、556はコーティング剤ではない。
クリーニング後のチェーンも同様です。生身の鉄は雨で錆びる。空気で酸化する。コーティングが必須です。
洗って、乾かして、潤す。ほら、髪のお手入れと一緒です。
で、パキパキ異音は治ったか?

はい、音が消えました。やっぱ、チェーンでしたわ。今回の特定は簡単だった。
GOTALの最新版は超音波洗浄機に対応します。これとAZの洗浄機でチェーン洗浄はプロ仕様です。



