Youtubeで動画配信を始める動機や目的はそれぞれです。趣味、勉強、遊び、その場のノリ、自己アピール、セルフブランディング、会社の業務等々。
ここで『実益』や『儲け』から始める人は少数派です。何故ならYouTuberは水商売だから。
私の感覚では動画配信者や生主は漁師ないし猟師です。未知の大物を求めて、海へ山へ繰り出すところがそっくりです。
実際、ブルーオーシャンやレッドオーシャンという表現があります。大漁の日があれば、坊主の日もある。不安定。
YouTuberは明らかに不安定な職業です。収入が一定しない。最初の1円までの道のりが過酷です。でも、その先には一攫千金があり得る。
この記事ではこの巨大な動画配信サービスの収益モデルやお金の回り方、YouTubeとYouTuberの取り分の秘密などを解説します。
フェアになったYouTubeの収益化
一昔前までYoutubeの収益化機能は一部のチャンネルだけの特権でした。一般人は動画をアップしても、金銭的な見返りを貰えなかった。
そもそも最初期のYouTubeはGoogleの傘下ですらありません。広告配信の仕組みがなかった。しかも、YouTubeの単体事業は長らく赤字でした。
運営元が儲からなくて、配信者が儲かりますか? ビジネスモデルの確立は2010年以降のことです。
2014年から2018年は黄金期
国内のYouTuberの第一世代が大々的な『好きなことで生きていく』キャンペーンの頃です。
YoutTuberという新しい生き方が世間に認知されました。あれが2014年です。
ここからYouTubenの利用者は増大の一途を辿ります。視聴者、配信者が爆発的に増えました。
2016年にはキズナアイがデビューして、以降のVtuberブームを巻き起こします。
で、このYoutuber元年の2014年からVtuberブームの2018年までの収益化の条件は比較的に緩やかでした。無名の新人が趣味の延長でお小遣いを稼げた。
が、この一種のバブル的な時代が終焉を迎えます。2018年2月20日、YouTubeの収益化の条件が大幅に変更されました。
- チャンネル登録者数1000人
- 過去一年間の再生時間4000時間
私は勝手に『1000人ショック事変』と命名します。事実、この規約改正はライトな配信者には事変級の衝撃です。
これ以前の収益化の条件は『総再生回数10000回以上のチャンネル』です。非常に低いハードルです。
幸か不幸か私はこのXデーの後でYouTubeチャンネルを開設しましたから、新しい環境にすんなり適応できました。
反対に緩い時代を知る人はこの突然の条件変更に不満をたらたら唱えます、「無慈悲だ!」とか「改悪だ!」とか「YouTubeはオワコンだ!」とか。
しかし、客観的にこの厳正化はフェアなものに思えます。結局、この背後には冷やかし、チート、違法アップロードの増加があります。
また現在のYouTubeはコミュニティです。評価基準が動画からチャンネルに推移します。
何で人はYouTubeで儲けようとするか?
実益や小遣い稼ぎでYoutubeを始める人は少数派です。着実にお金を稼ぐ手段は他にあります。実際、サービス業や介護職は慢性的に人手不足でしょう。
しかし、労働や業務の増大は愉快ではない。職場には理不尽という名の魔物が潜みます。人間関係、社内ルール、仕事内容、いずれがモンスターになり得ます。
それらに煩わされず、趣味と実益を兼ねて、好きなことで生きて行かないにしても、お財布に多少の余裕を持てるなら、少し幸せな気分になれます。
極論、金銭は大事ではありません。なにかテンションを上げてくれる小さな幸せが大事です。
単純な労働ではハッピーとマネーのバランスはイーブンです。理不尽な人間関係や職場ルールが牙をむけば、それは容易にマイナスに反転します。
裏腹に趣味が実益に繋がれば、ハッピーとマネーが同時に転がり込みます。夢のような話ですが、現代では現実の延長線です。
個人が何かを発信する媒体は多彩です。メルマガ、ブログ、SNS・・・ネットが高速になって、文章が画像に、画像が動画に、動画がライブに移り変わります。
『最新ゲームを10GBの光回線で4Kライブ』のようなことが個人で可能です。しかも、これが普通にエンターテイメントになる。
でも、媒体が増えても、文章が動画になっても、映像がきれいになっても、回線が高速になっても、配信が手軽になっても、利用者の欲求は変わりません。
コンテンツがおもしろくなければ、運営者が魅力的でなければ、チャンネルが楽しくなけらば、人は集まりませんし、お金は回りません。
『お金儲け』の一念でおもしろい動画や有用なコンテンツを作るのは至難の業です。熱意が一瞬で尽きてしまう。何故なら結果がなかなか出ないから。
こんな人はYoutubeには向きません。
- すぐに時給換算してしまう人
- チャレンジしない人
- 手間を楽しめない人
正直、最初の1円までの道のりは優しくありません。最初の数か月は丁稚奉公の修業時代です。
この期間にチャンネル運営自体におもしろみを感じられるかが大きな分かれ目です。 目先の利益のみで考えると、ここであっさり挫折します。
ちなみに私はブログの経験を活かしつつ、運に恵まれて、二ヶ月でお小遣いにありつけました。
YouTubeで収益を得る方法
YouTubeでお金を儲ける方法は広告収入だけではありません。この数年で様々な収益化機能が追加されました。
2020年9月現在のYouTubeの設定画面にはこのような項目があります。
- 広告収入
- スーパーチャット
- メンバーシップ
- グッズ販売
このうちの『グッズ販売』は北米限定です。物販商品の提携業者がアメリカにしかありませんから。ゆえに日本国内の実装は未定です。
広告収入
広告収入はYouTubeの主な収益です。動画の前後や途中にCMが入りますね? あれです。
動画内で広告が流れると、YouTubeにチャリンチャリンとお金が入り、その一部が動画の管理者にチャリンチャリンと転がり落ちます。
内訳はおおむね3:7です。3がYouTube、7がYouTuberです。もっとも、我々にはスポンサーからYouTubeに実際に支払われた広告費は分かりませんが。
つまり、どこかの会社が『この毛生え薬のCMを100円/1回で流してください!』とYouTubeに頼むと、YouTubeはそれを一回流して30円を貰い、アップ主は70円貰います。
実のところ、私も広告を活用します、出稿側で。毎月5000円、3円/1回、TrueViewという広告タイプで自分のチャンネルを宣伝します。
このように費用を払う方に回ると、広告収入の仕組みをより深く理解できます。
スーパーチャット
YouTubeの収益の二つ目がスーパーチャットです。略称は『スパチャ』です。これは新しい課金モデルです。
このスパチャは通常の公開動画には対応しません。ライブ配信及びプレミアム公開で機能します。
何故ならチャットがその二つの公開タイプでしか作動しないから。
YouTubeのチャットはニコニコ動画のように再生画面上には表示されません。専用のチャット欄があって、そこにリアルタイムのメッセージが現れます。
こちらはパソコンからのライブ配信の見栄えです。
右がチャット欄です。そして、500円の緑色のところがスーパーチャットです。一人のファンが短時間で1500円のおひねりを投げてくれました。
ライブ配信とプレミアム公開は生放送の後でアーカイブに残ります。収益スタイルは通常の広告収入に切り替わります。
チャット機能はリアルタイムでしか反映されません。スーパーチャットもしかりです。現時点ではスーパーコメントという機能はありません。
ちなみに私は一回のライブで500円から2000円を頂けます。ただし、このおひねりの全部は生主には入りません。
スーパーチャットの取り分もおおよそ3:7です。YouTubeが3、生主が7です。上記の500円おひねりの三割はYouTubeに天引きされます。
ライブ配信とスパチャは本当に水物です。私は勝手に『デジタルスナック』と仮称します。実際問題、このスタイルはスナックやクラブにそっくりです。
ライブを盛り上げてユーザーを楽しませれば、相応の見返りを期待できます。反対に場をうまく切り盛りできないと、1円のチップすら貰えない。
その点では大道芸や流しの歌手、吟遊詩人に通じます。
生放送のスーパーチャットを収益の柱にする配信者はとくに『ライバー』と呼ばれます。
メンバーシップ
三つ目の収益システムがメンバーシップです。ついこの間まで中級者向けのエリートな機能でした。有効化の条件が登録者30000人以上でしたから。
ところが、この選ばれし者のための課金システムが2019年12月下旬に規制緩和されました。恐らく現在の条件はチャンネル登録者10000以上です。
また条件の緩和とともにメンバーシップの価格設定が自由になりました。料金体系を自分で設定して、グレードを振り分けることが可能です。
私はグレードを以下のように振り分けて、特典を設定しました。
- フレンド会員=290円 絵文字と特別なバッジ
- サポート会員=590円 下位グレードの特典と限定動画やメイキング、グッズ
特典のためにオリジナルグッズを作ってみました。
評判は上々です。が、不人気なシールが出てきました。左端の黒いゴリラシールです。ネタ系グッズは人を選びますね。
ご想像の通りにメンバーシップの課金もYouTubeに天引きされます。あちらの取り分は幾らでしょう? ご推察の通りに3:7です。これが黄金比のようです。
YouTubeの収益化のまとめ
最後にYouTubeの収益化の仕組みをまとめましょう。
収益の方法
- 広告=基本
- スーパーチャット=ライブ配信とプレミアム公開
- メンバーシップ=登録者10000人以上で解禁
- グッズ販売=国内未実装
利益配分はおおむね3:7です。どこかの芸能事務所より良心的に思えます。本当の正味の配分はYouTubeにしか分かりませんけど。
また広告費は一律ではありません。単価は時期で変動します。決算月の三、六、九、十二月は割高に、その直後の一、二、四月は割安になります。
ライブ配信のスーパーチャットはこの限りではありません。スパチャはファンからのおひねりですから。
誕生日、周年、何万人達成などの記念配信で良く跳ねます。
メンバーシップはYouTube内のサブスクです。コミュニティをしっかり作らないと、会員を獲得できません。