自転車にはいくつかの必須の装備があります。公道走行には前後のブレーキが不可欠です。ベルの装着は都道府県条例で補足的に義務づけられます。
要か不要か? 自転車ライト
で、三つめが前後のライトです。夜間走行、視界不良、トンネル内などではライトの点灯が必要です。無灯火走行は取り締まりの対象です。
逆に夜間走行やトンネル走行をしないなら、前後のライトを外せます。万が一には自転車から降りて押し歩きすれば、歩行者モードに移行できます。歩行者にはライトの義務はない。
でも、趣味のアウトドアはおうおうに長引きます。時間は押す。予定は狂う。うっかりすると、闇に包まれます。
スマホのライト機能をONにすれば、数メートル先の地面を照らして、おっかなびっくりしながら走れます。でも、かいてきではありません。
といって、本格ナイトライドしないのに1000ルーメンの強力ライトを持ち歩くのは宝のもちぐされです。
スタイルとシチュエーションでベターなライトはことなります。自転車の状況から暗さレベルと明るさ目安をざっくりはじき出してみましょう。
自転車のライトの選び方
自転車ライトはパーツではありません。各種の通販ストアの分類では『アクセサリ』に入ります。ベル、かばん、サイクルコンピューターなどもこのジャンルです。
バッテリーの進歩は偉大です。充電式の自転車のライトはこの数年で劇的にパワーアップしました。小型で強力で安価だ。
1ルーメン=10円
ライトのあかるさの単位にlumen、ルーメンがあります。これは光源のあかるさを表します。
luxは投影面のあかるさ、candelaは空間のあかるさです。しかし、市販品ではルーメンが支配的です。
で、1ルーメン=10円が2018年の相場です。200ルーメンのメーカー品のライト=2000-3000円です。無印・格安はすこし安くなりますが、そんなばかみたいな値段にならない。
平均的なスマホのライト機能は30-80ルーメンくらいです。暗さレベル4の夜の山(オフロード)では見通しはこんなものです。
3-5mてとこです。10ルーメン=1mの目安がうかびあがります。これでオフロードを走ると、崖にすいこまれかねません。
暗さレベル1 夜の町
暗さレベル1は夜の町です。都会や幹線道路沿いの夜はぜんぜん暗くなりません。
ライトよりまわりの照明のほうがぜんぜんにぎやかです。走行に支障はありません。
でも、無灯火自転車は道路交通法的にNGですし、自動車のドライバー的には目の敵です。ポリ除け・クルマ除けには100均のごみライトがべんりです。
かいてきな走行を求めるなら、100-200ルーメンのライトを使いましょう。細道、裏道に入っても、十二分に行く手を照らせます。
正味、スマホのライトをONにして、胸ポケに入れて走ってもぜんぜん走れます。が、このツルツルの四角いデバイスはちょっとした拍子にポッケからすぽーんて飛び出します。
ぼくはこれで二台のスマホをコナゴナにしてしまいました。立ちこぎ、段差がくせものです。
ちなみにライトの取り付け場所には特段の決まりはありません。ママチャリやシティサイクルのライトはホイールの横のフォークに据え付けられます。
スポーツバイクのフォークにはこういうライトの台座がありません。ハンドル、ステムが主流です。
暗さレベル2 郊外、公園、河川敷
暗さレベル2は郊外、公園、河川敷です。田舎は集落から徒歩五分でダークネスです。街灯、自販機ががくって減ります。
また、チャリ通ユーザーがひんぱんに使う河川敷、川沿い、土手上の遊歩道は日没後にはまっくらけになります。
凧揚げするときにどこへ行くか? 河川敷です。理由は電信柱と電線がないからです。電気がなければ、電灯はありません。
そして、おうおうに帰路の河川敷にはランナー、ウォーカー、犬のさんぽラーが行き交います。これがほんとに見えない! 犬と人は見えても、その黒いリードは見えませんて!
イシキタカイ系の歩行者はライトや反射板でしっかり自衛にいそしみますが、一般ピーポーはそんなにあくせくしません。ぼくもジョグをしますけど、着の身着のままで行きます。
夜の河川敷を走るなら、300-500ルーメンのライトをつけて、徐行に徹しましょう。かっと飛ばすなら車道へ。
それから、ランナー目線では強力なビーム系ライトは完全な目つぶし攻撃です。それを水平に全開に照らしつつ時速20kmで突っ込んでくる自転車はほんとに恐怖です。
ライトは下げ目でおさえめ、速度は15km以下が夜の河川敷ライドの暗黙のマナーです。かっ飛ばすなら車道へ行きましょう。
暗さレベル3 オンロードの夜の山
暗さレベル3はオンロードの夜の山です。
街灯はそこそこありますが、平地より早く夜が来ます。で、狭い道では月明かりと街明かりが木々にさえぎられる。
おまけに山には上りと下りがあります。上りはふつうですが、暗い下りは日中のダウンヒルよりスリリングです。風景が闇に沈んで、相対速度がよくわからない。
あと、たまーに地元のお父さんが道端にぽつんています。郊外や山中で出会うと、めっちゃびびる。
下りでかいてきに走るなら、500-1000ルーメンを確保しましょう。
暗さレベル4 オフロードの夜の山
- 『一寸先は闇』や『油断大敵』などの諺がよぎる
- 『とおりゃんせ』が頭の中でかってに流れる
- あかりもなく、人気もないが、なんか変な気配がする
- 遠くのなぞの音にびびる
- ふもとの家の犬の声にびびる
- ビニル袋や布の切れ端にびびる
- 盛り土の黒いネットが頭髪に見えた
- ・・・
- おお、なんか楽しくなってきたゾ!
- ヒャッハー!! ヤケクソダー!!!
これらは暗さレベル4のオフロードの山の中あるあるです。
都市近郊の昼の山にはハイカーやトレイルランナーがいっぱいです。かれらは歩行者です。アウトドアヒエラルキーの上位種だ。
国内では超マイノリティな野良のMTBerはかれらとの山摩擦を避けるため、白い目で見られないために早朝や夕暮れにこっそり山へ行きます。
で、早く入りすぎるとか出遅れるとかすると、リアルにダンジョン探索みたいな状況におちいります。
上の写真は真夜中に見えますけど、時刻はせいぜい午後6時前です。
その30分前のふもとの西宮です。ぜんぜんあかるいなー。はて、どれが甲子園でしょう?
で、ぶじに帰りついても、異常な高揚感で眠れません。神経と脳髄がしばらくフルスロットルです。
夜の山には1000ルーメンオーバーのライトでのぞみましょう。もっとも、土地勘の方がたいせつですけどね。一寸先は闇=崖です!
で、とりあえず、500ルーメンのライトをGETすれば、常識的な夜間の自転車走行には不便しません。
「1000ルーメンで河川敷の遊歩道をガンガンかっ飛ばすぜ!」てのもへんなはなしですし。自転車は夜間には15kmくらいで徐行しましょう。