ホイールのメンテナンス、組み立てはスポーツバイク乗りのたしなみです。必須の工具は振れ取り台、スポークニップル回し、センターゲージ、そして、スポークテンションメーターです。
が、この4大パーツをひとしきりにそろえようとすれば、2万円~の予算を取られます。イマドキの自転車乗りはこんな手間をかけず、手軽な完組ホイールの頭金にします。
スポークテンションメーターで手組設備がコンプ!
しかし、MTBのホイールにはてきとうな完組ホイールがありません。エントリーかハイエンドの二択です。そして、ロードのZONDA、レーゼロみたいな定番がない。
そして、中華サイトにはおもしろいリムやハブがぞくぞく登場します。工場直販系の自転車パーツはかくじつに市販のパッケージ品よりざんしんで先進的であらけずりです。
で、ホイールの組み立てを自転車ライフの一環に加えようと決めまして、中華振れ取り台、パークツールニップル回し、VARセンターゲージを買い集め、ついに第四のエレメントを入手します。
パークツール? ゴリゴリGORIX? PWT? もしかのホーザンの5万のやつだあ?
NONO! This is China Meter by Digital!! CMD! CMD!
て、デジタルゲージ付きの中華スポークテンションメーターをゲットしました。ブランド名はTENY BIKEです。
全国六憶八千万のスポークテンションメーター通はこの形状を見て、ぶほって吹き出しましょう。こいつはDT SWISSのスポークテンションメーターにそっくりです。
でも、本家のやつはアナログゲージ、中華のこれはデジタルゲージです。オリジナルはうん万円、こいつは7000円です。いや、アナログゲージ版はありましたが、見た目が完全にあれでしたから。
中華サイトにはパークツールの類似品、SAPIMのスポークテンションメーターのOEM元らしいICE TOOLSのオリジナルと廉価版、そして、このDT風のものがあふれかえります。
これでホイールの組み立ての4大工具が完全に結集しました。振れ取り台以下の出費は5万弱に至ります。そこらのチャリ屋より充実の設備がパソコンルームのかたすみにひかえます、ははは。
スポークテンションメーターの使い方
スポークテンションメーターの使い方はかんたんです。デジタルゲージのスイッチをONします。
で、先端の三つのでっぱりにスポークを挟みます。
単品のスポークのテンションは当然のごとく無です。中央の黒いバネのナチュラルなバネ力がスポークのしなりに勝ちます。メーターの下側のパーツはぜんぜん動きません。
キーアイテム、スポークテンション換算表
さて、このデジタルゲージの数値はふつうのミリメートルで、スポークの反りを示せど、テンションを表しません。
ホイールのビルダーはこのスポークの反りの距離をテンション換算表の数値に照らし合わせます。
ものはペラペラのコピー紙ですが、内容の重大さはメーター本体に匹敵します。この換算表はこのモデルの専用品です。
お察しのように”辐条”がスポークです。ギリシャ文字の”Φ”は直径の記号です。つまり、”Φ2.00MM辐条”は『直径2mmのスポーク』です。右端の”扁辐条”はエアロスポークです。
左側のKGがスポークテンションの値です。直径1.6mmスポークの反りが2.16mmであれば、リムとハブには100kgの力が掛かる、てことです。
このテンションの限界値はリム、ハブ、ニップル、スポークによります。無際限にテンションを上げてしまうと、スポークヘッドをばっつんするとか、カーボンリムをばりんこするとかしちゃいます。
最近の中華セラーは最大空気圧から限界スポークテンション、推奨体重まで商品説明に表記します。T700製のカーボンリムがだいたい130kgです。
ホイールのスポークテンション計測
では、うちの手組ホイールオールスターズのスポークテンションを計りましょう。VARのセンターゲージのセンター試験にクリアしたカーボンホイールがこのために再集結しました。
手始めはロード用のリムブレーキ用のフロントホイールです。ヌポークラジアル組のフロントホイールは左右対称です。ホイールレイアウト的にはもっともシンプルな構成です。
最初にスポーク幅をはかります。実測2mmちょいです。形状はエアロです。モデルはDT AEROLITEです。カタログのAEROLITEのWidth値は2.3mmです。
で、スポテンメーターをスポークの中央の平たい部分に当てて、下ハンドルをフリーにします。すると、スポークの反りがバネに勝って、ゲージのセンサーを押し戻します。
1.64mmです。これをさきほどの換算表のスポークテンションに照らし合わせます。Φ2.30MM扁辐条は・・・
ない! おい!
エアロスポークは手組ではイレギュラーです。ホーザンのスポテメのリストにはまんまるスポークの換算表しかありませんし。右側の3.2mmのブレードスポークはなんでしょう? カンパ系か?
気を取り直して、全部のスポテンを計測します。最大が1.64mm、最小が1.28mmです。30%のばらつきはちとアレです。
エアロスポークの受難
つぎのホイールはMTB用の29erのチューブレスカーボンホイールです。こちらのスポークもエアロタイプの扁平スポークです。幅は2mm、Piller 1420です。
このリアホイールはたびたび組み立てメンテの練習台にされます。テンションはめちゃくちゃです。
0.83mmがありました。あきらかにゆるゆるです。弾き音が妙に低音ですし。
うらはらにドライブ側のスポークテンションが異常値です。でも、弾き音はそんなに高音じゃない。
て、スポークをよくよく見ると、ねじれを認識できます。平たい部分が測定子にきちっと当たりません。むやみな振れ取りのしわざです。
しかも、Φ2.00MM扁辐条は・・・
スポークテンション換算表
あらへん! アイヤー!
エアロスポークは手組ではメジャーではありません。でも、中華ホイールのスポークはPillerとSAPIM CX RAYのオンパレードです。なんでこの二つの換算値がないよ。
そして、くしくも最初の測定サンプルの銀色スポークはSAPIM CX RAYでした。2.2mmです。リストにはありません! 終了~!
すくいのDT Champion
このままではスポークテンションの均等化には使えますけど、テンションアップや限界ぎりぎりヒャハートルクできません。なにがしかの目安はないか?
あ、買い物号のリアのスポークがふつうのまんまるスポークだ!
実測2mmのDT製です。Championの14号です。このホイールは芦屋の自転車ショップのビチアモーレから買った新古品のトラック用です。まあまあ有名な店です。もちろん、ホイールは調整済みでしょう。
で、このホイールのスポークの計測値はおおむね3.00mmです。リストの換算表には・・・
あった! あったで! 優勝ホイール!
テンションは約110kgです。テンションメーターの面目がたもたれました。
それから、もうひとつの中華カーボンのMTBホイールのスポークがPiller 1420です。購入が一年前、スポーク交換と振れ取りが一か月前です。
32本組のいかついホイールです。これはそうそう緩みません。このホイールにはわるい印象がありません。マイベストホイールです。
で、中華を信じて、このスポークを測ります。平均がざっと1.3mmです。手組はだいたいゆるめに組まれますから、
- 1.3mmゆるめ
- 1.4mmふつう
- 1.5mmきつめ
- 1.6mmカンカン
て、この中華スポークテンションメーターのエアロ系スポークの第一計測値の目安はこんなところでしょう。1.4mmが100kgぐらいです。ぼくのフィーリングと大きくかけ離れません。
あとでセラーにメールして、エアロ系の換算値を催促しましょう。しかし、なんでPillerかSAPIMの換算値がデフォルトで未記載だよ!
もちろん、PWTやパークツールのテンションメーターの換算表にはエアロ系の表記がきちっとあります。初心者はこっちにしましょう。
PS
返信が来ました。”just for refer” 『参照のみです、アリガト、シェイシェイ』てことです。