タイヤは自転車の生命線です。これが性能、機能、あげくにジャンルやスタイルを決定づけます。極論、チャリに乗ることはタイヤに乗ることです。
タイヤは減り、ゴムはへたる
自転車のタイヤはゴム製です。これは日々の使用で摩耗しますし、気温、湿度、日光で劣化します。素材的には神経質なものです。
で、定期的なチェック、メンテ、修理、交換は乗り手の義務です。が、世間の自転車タイヤへの関心は高くありません。
ボロいノーメンテのタイヤは穴あきシューズのようなものですけど、一般人はそれを恥じません。
ところで、自転車屋のタイヤ交換の代金は未知数です。店頭の表では実際の金額が良く分からない。
パンク修理の感覚で気軽に頼むと、見積もりの金額にぎょっとなります。ご、5000円だあ?!
そして、車体の安さが拍車を掛けます。1万のホームセンターのチャリに数千円の維持費は割高です。世間のランディングコストのハードルはせいぜい10%だ。
「なら、新しいチャリを買うか~」てとなります。1万のチャリに愛着を持つのは至難です。
これはべつに自転車に限りません。すりへらした靴のソールの張替えを頼む人、すりきれたジーパンのパッチワークをする人も多くありません。
現代は大量消費社会です。
タイヤ交換の料金比較
自転車屋は地域密着型の商売です。個人経営の小さなショップが無数にあります。他県や他エリアへの展開はまれです。10店舗以上のチェーンはもう大手です。
全国区の超大型店舗はあさひ自転車やダイワサイクルくらいです。ほかはスーパー、ディスカウントショップ、ホームセンターなどの大手小売の系列です。
筆頭はイオンバイクやカインズです。
これらの自転車販売店の作業工賃や修理代金はバラバラです。町の自転車や小規模チェーンはもちろん不ぞろいですし、大型チェーン店もバッラバラです。
パンクは小事、タイヤ交換は大事
ぶっちぎりの最多トラブルのパンク修理さえが300~1000円です。
そして、これは代金の下限でしかありません。上の300円の真の意味は『パンク一個300円~』です。『~』てのがじつに曲者です。パンクの個所が増えれば、代金が倍々ゲームになります。
そして、パンク修理は数百円台ですが、チューブの交換は一気に1000円オーバーになります。
そして、一般車のパンクはノーメンテ&オーバーユーズで起こります。パンク修理→チューブ交換→タイヤ交換のコンボはたやすく決まります。小K→必殺→超必みたいに。パワーゲイザー!
客「チューブ交換やタイヤ交換みたいなかんたんな作業が5000円だあ?! はあ?!」
店「その簡単な作業をすら抜かる人はどなたでしょう? チューブもタイヤもボロボロですよ。常用の野ざらしのゴム製品がそんなに長持ちしますか?」
前輪の工賃 < 後輪の工賃
販売店のタイヤ交換の実費には一定の傾向があります。前輪が割安で、後輪が割高です。
これは最多数派のママチャリやシティサイクルのリアホイールの整備性のわるさのためです。
こんなふうにホイールの車軸にいろんな付属物がゴテゴテします。取り外しに二倍三倍の手間がかかる。で、おのずとコストが上昇して、工賃が割高になります。
そして、自転車のタイヤはリアから摩耗します。単純に体重とパワーがそちらに掛かりますから。あと、急ブレーキで後輪がロックしても、タイヤのトレッドが一気に削れます。
指標はあさひの工賃
販売店の工賃の業界標準はサイクルベースあさひの金額です。全国400店舗はダントツの業界最大手です。2位以下のチェーン店が束になっても勝てません。
そして、あさひは各種の工賃をネット上できちんと明示します。パンク修理1000円からロードバイク完成車組み立て30000円まで。
で、このあさひのタイヤ交換の工賃です。税込みです。
- 前輪タイヤチューブ交換1200円
- 後輪タイヤチューブ交換2100円
これが工賃の指標です。タイヤとチューブ代は実費です。パーツ持ち込みの是非は店舗によります、たぶん。
安いチューブを1000円、安いタイヤを2000円としましょう。で、傷みやすい後輪を修理します。1000+2000+2100=5100円です。
前輪後輪を同時にやると、9000円オーバーの出費を求められます。パーツ代の実費を別にしても、3200円の工賃を取られます。
はて、1万のものに3200円のサービス料を掛けるか? この見積もりを先輩に見せましょう。多分、もうれつなダメ出しを食らいます、「ランディングコストが高すぎるわ!」て。
やはり、維持費の常識的な範囲は5-10%です。つまり、3万円のチャリがぎりぎりOKをもらえます。
イオンバイク、カインズ、ドンキなどの工賃
そのほかの自転車販売店や自転車コーナーのタイヤ交換の工賃をさらっとリストアップましょう。価格は前輪後輪の順です、内税。※は価格の引用元です。
- あさひ:1200円 2100円 ※オフィシャルHP
- ダイワサイクル :1080 1620円 ※画像検索
- カインズ:1000円 1500円 ※オフィシャルHP
- イオンバイク:1296円 1944円 ※イオンバイク尼崎店店頭
- 島忠ホームズサイクル工房:1200円 2000円 ※ホームズ尼崎店店頭
- ドンキホーテ:1296円 1836円 ※ドンキ十三店店頭
- てるてる:1080円 1620円 ※オフィシャルHP
- ワイズロード:1296円 ※オフィシャルHP
- 平均:1181円 1740円
カインズが良心的です。価格をホームページで明示しますし、ほかよりお安く受け付けます。あさひは何気にハイプライスじゃありませんか。ほら、そこは自転車専門店ですから。
スポーツバイク専門店大手のワイズロードが健闘します。しかし、これはロードバイクとかクロスバイクの値段でしょう。ママチャリ持ち込みの価格はさだかではありません。
これらの量販店の工賃には割引優遇サービスがつきものです。サイクルメイトとか。が、これもそこそこの有料課金サービスです。3000円-5000円ですね。掛け捨ての気休め保険みたいなものです。
北大阪の有名店をさらっと。
- カンザキ 1500円
- ウエパー 1240円
- シルベスト 1620円
ほかのエリアのショップの工賃はどんなものでしょうね?
ショップの規模、販売のスタイル、取り扱い車種、価格などと作業の技量はぜんぜん相関しません。担当者の腕と気分のみがたよりです。
盲点、それは待ち時間
実用自転車のタイヤ交換やパンク修理は一大事です。とにかく、ホイールの取り外しがネックです。べらぼうな時間がかかる。一台30分が目安です。
つまり、待機二台で1時間待ち、三台で90分待ち、4台で120分待ちです。ディズニーか! 好アクセスの大型店、人気店は土日には混みます。チャリは急に治りません。
そして、大昔には安いものを長く使うことは美徳でしたが、21世紀とゆうサイテキカイの時代には無意味なことになりました。
1万のママチャリに5000円の維持費を払うなら、新しい自転車を買いましょう。このご時世、メガネもチャリも消耗品です。
自分で交換するなら良いタイヤレバーを買いましょう。