自転車カスタマイズ、チャリンコカスタムの大きな壁がエンド幅とホイールハブの互換性です。
これがフレームのエンドです。リアのホイールをはめるところの名称です。
エンド幅の数値はステーの内側-内側の実寸です。これは必然的にホイールハブの外側-外側の実寸に一致します。
上記の写真はオフロードフレームのトレンドの148mmエンドです。シャフトの径は12mmです。アメリカのSRAM発のBOOSTエンドです。
このエンド幅は自転車のジャンルやカテゴリで異なります。主要なものを列挙しましょう。
- 110mm BMX
- 120mm ピスト、トラックバイク
- 126mm ママチャリ、一般車
- 130mm ロードレーサー
- 135mmクロスバイク、小径車
- 142mm ディスクロード、オールロード
- 148mm BOOST MTB
- 150mm MTB DH
- 157mm DH、Super BOOST ※PIVOTなど
- 177mm-197mm ファットバイク
もちろん、例外はあります。
クロスバイクの超ベストセラー、GIANT ESCAPE R3は130mmのロードエンドです。
少し前の第一世代のディスクロードやシクロクロスには135mmエンドのクイックリリース式のものがあります。
ノットBOOSTの142mmエンドのMTBは中古市場ではまだまだボリューミーです。
一般的なチャリンコ乗りはおもにピンク色のエンド幅のフレームにおせわになります。その他はより趣味的、専門的になります。
エンド幅とホイール幅
DIYカスタムでよく話題になるのが135mmエンドのフレームに130mmのホイール、148mmエンドに142mmホイールです。
135mmフレーム x 130mmホイールはクロスバイクのロードバイク化の一環です。はたまた、小径者の高速化です。
148mmフレーム x 142mmホイールは手持ちの一世代前のホイールをBOOSTフレームに使いまわす作戦です。
『74mmを100mmにする』てのはダホン系のフロントホイールをそのほかの小径フレームに流用することになります。
いずれがメーカー非推奨のイレギュラーなカスタムになります。ざっくばらんな大将はやってくれますが、おジョーヒンな販売店はこういう要望をスルーします。
大は小を兼ねる
スポーツバイクのエンド幅は拡大の一途をたどります。130mm以前のロードレーサーのフレームエンドは126mmです。142mm以前のMTBはクロスバイクみたいな135mmのQRです。
エンド幅 > ホイールハブ幅はまあまあコンパチブルです。ワッシャ、スペーサー、アダプターを駆使すれば、広エンドに狭ハブをセットできます。
王道の135mmフレームに130mmホイール
クロスバイクへのロードホイール換装はすでに定番です。専用のアダプターが通販でふつうに出てきます。
135mmハブのリムブレーキ用のそこそこの完組ホイールというものがこの世には存在しません。99%は純正品、補修品です。解決策は手組です。
しかし、ハブ、リム、スポークを個別で買って、自分で組むorショップに持ち込むにしても、工具と工賃でそこそこの完組ホイールクラスの出費を求められます。コスパはよくない。
「じゃあ、中古のゾンダやレーシング3を買って、アダプターやワッシャで使うか~」
てなります。
142mmホイールをBOOSTフレームに
MTBはこの逆です。「手持ちのホイールをBOOSTフレームに使えないか?」て発想です。ホイールがありきです。
オフロードでは手組やセミオーダーがぜんぜん現役選手です。むしろ、完組のホイールがレアです。メーカーのプリセットでは細分化したMTBジャンルをカバーしきれない。
手組やセミオーダーを頼むと、「せっかくだから」の魔の呪文に魅入られて、グレードを上方修正しちゃいます。工賃と納期がネックです。
で、ENVEリム、クリスキングハブ、DTスポークみたいな超ハイエンドホイールセットが往々に出来上がります。
ENVEリムもクリキンハブも屈指の高剛性、高耐久です。Made in USA製のタフネス、タフボーイです。パーツ寿命よりさきに規格の変更が来ます。
結果、142mmのハイエンドホイールの使いどころに悩むMTBerが世界中にあふれます。主要ブランドのフラッグシップはほぼ148mmフレームに置き換わりましたから。
142mm幅のディスクロードに使う?
単純に148-142=6mmのギャップをワッシャで埋めても、旧ホイールをBOOSTフレームに使えません。
ポイントはディスクブレーキローターの台座の位置です。これが合わない。
こっち側に3mmのスペーサーが入ると、ハブの全体が中央にずれます。ローターがパッドに干渉します。
カセット側に6mmのスペーサーが入ると、ローターの位置は動きませんが、チェーンラインがこの上なく怪しくなります。たすき掛けみたいな状態になる。
NOT BOOSTのリングのオフセットは6mm、BOOSTのそれは3mmです。やはり、3mmが許容範囲です。
解決策はローターとハブの台座の内側に3mmのスペーサーを入れることです。
小は大を兼ねなくもない
逆はどうでしょう? 130mmエンドに135mmホイールや、126mmエンドに130mmホイールです。
がちがちのMTBフレームはむりです。たわみません。カーボンもむりです。ステーが悲鳴を上げます。
一方のロード系の金属フレームはわりにフランクです。クロモリやチタンはしなやかです。実質、126mmから130mmの過渡期に126エンドに130ホイールの換装はトレンディーでした。
以前、ぼくはママチャリをピスト化に改造します。その過程で120mmハブのトラックホイールを126mmエンドのフレームにセットしました。
フレームの素材はアルミです。状態はセミジャンク品です。廃棄自転車のバラシでしょうか。ヤフオクの自転車セラーから購入しました、980円也。
とくに工夫なくホイールの付属ナットでぐいぐい締め付けたら、こんなふうにふつうに取り付けられました。左右3mmの増減は余裕だあ?
近場の峠に行って、全力でトルクをかけても、特段の不安を覚えません。外置き、野ざらし、ノーメンテで半年を過ごしますが、ぴんぴん活躍します。
クロスバイクのアルミフレームはそうそう華奢じゃありません。130mmホイールとの5mmのギャップは誤差の範囲に思えます。
むしろ、数mmのしなりやたわみで壊れるアルミフレームは製品的に問題ありです。
クロスバイク x ミドルグレードのロードリアホイールの組み合わせはなかなかおいしいところです。
GIANT ESCAPE R3 x 中古のゾンダリア x 良いタイヤがクロスバイクカスタムの王道です。やっすいフラットバーロードより実用的な快速号になりえます。