シフター、シフトレバー、変速機、変速用レバー・・・呼称はまちまちですが、自転車の変速システムのリモートコントローラーのことです。
内装、外装、手動、電動、有線、無線、いずれの変速システムにシフターは不可欠です。
「おいおい、内装自動変速2段のSRAM AUTOMATIXを無視すんけ~?」
て指摘をできる人はなかなかのくろうとはだしです、ははは。
基本のフラットバー用とドロハン用
これはおなじみのSRAMのフラットバーハンドル用のSRAM NXトリガーシフターです。
ちなみに『トリガーシフター』はSRAM社の商標です。シマノのフラットハンドルバー用のシフトコントローラー端末は『ラピッドファイヤー』です。
カンパニョーロはこのタイプをしません。が、MTBの草創期にEuclidやCentaulてオフロード用のドライブを出します。そう、CentaulはもともとMTBのグレードでした!
これの手元は後述のサムシフターレバー+カンチブレーキレバーみたいな構造です。Centaur MTBとかで画像検索すると、まぼろしのパーツ類をおがめます。
3強+新規参入2社+MS
ロード用のシフターはSHIMANOデュアルコントロールレバー、SRAMダブルタップ、CAMPYエルゴパワーてそろい踏みします。
ここに油圧式のROTOR UNOやセミ無線のFSA K-FORCE WEみたいなニューカマーが来ます。いずれが有線ワイヤーリモートシステムを過去のものにしようとします。
そして、台湾microSHIFTさんを忘れない。ここのロード用は『インデペンデントシフトレバー』で、ぐりぐりグリップシフトは『ツイストシフター』です。
あと、バーエンドコントローラーやWレバー、サムシフターが何気に充実です。microSHIFTのシフターはブルホーンカスタムやDHバーカスタムの強い味方です。
こんなふうにメーカー別、用途別に見ていけば、けっこうなタイプのシフターを列挙できます。以下で個々の製品をくわしく掘り下げましょう。
フラットバー用のシフター
シフターのタイプはハンドルのタイプに準じます。て、その前に旧来のオフロード、オンロードて区別は正確じゃありません。
グラベルバイクやオールロード、CXバイクのハンドルはドロップハンドルですが、ジャンル的にはオフロードです。
反対にフラットバーロードやクロスバイクやアーバンコミューターはオンロード用です。
ドロップハンドル=ロードバイク
フラットバー、ライザーバー=MTB
て、くくりが時代遅れになっちゃいました。ハンドルの形状はジャンル区分の裏付けになりません。
トリガータイプ
トリガータイプはシフターの最大勢力です。本格MTB、ミニベロ、クロスバイク、フラットバーロード、高めのママチャリ、軽快車などなどがこれを搭載します。
これはクロスバイクの常連選手のリア用8速のレバーです。シマノ=ラピッドファイヤーです。
人差し指と親指で上げ下げをします。初心者向けグレードにはこんなふうなメモリと数値の表示があります。
インデックスとフリクション
8のところがローの8速、1のところがトップの1速です。これが変速のインデックスです。このインデックスは禁書目録じゃありません、変速の区切りの意味です。
インデックス式のシフターの変速域は一定です。1は1、3は3です。2.5とか3.38とかの中間や余分がありません。インデックス=パーティションです。楽器のピアノです。音階は有限です。
対照的にフリクション式のシフターでは上限と下限、トップとローだけが固定です。2速とか3速とかのたしかな区切りはありません。
「あ、坂だ。4速にしよう」
て思ったら、4速らへんにレバーを入れます。あとはチェーンとスプロケの機嫌によります。調整次第で3.75や4.18なんかが4速に入ります。その逆もしかり。楽器のバイオリンです。音階は無限です。
現在、一部の特殊なモデル以外はインデックス式です。シフターの歴史ではフリクションのが先輩です。使用者の感覚でマニュアルに変速を決める、おおらかで古典的でしょう。
トリガーシフターに戻ります。上位モデルのXTグレードのシフターです。10速用です。
メモリはありますが、数値はありません。中級者以上には分かりやすさの親切心があだとなります。
SRAMの11速用にはメモリさえがありません。で、SRAM=トリガーシフターです。操作は親指のみです。手前がダウン、奥がアップです。
あと、SRAMがカチカチキビキビ機械系、SHIMANOはヌルヌルスイスイ生物系の手応えになります。
トリガー系シフターは使いやすさ、安さ、整備性、耐久度にすぐれます。シフター側に不満が出ることはまれです。安いやつも高いやつもまんぞくに動作します。
グリップシフト
グリップシフトは安いクロスバイクやママチャリや軽快車の標準装備です。内装3段のSHIMANO NEUXSはチャリ通のおともです。ぼくは学生時代におせわになりました。
これはハンドルの握りのところ=グリップに一体化したコントローラーです。レバー状ではありませんから、変速レバーじゃありません。ぐりぐりグリップです。Grip! は擬音語です。
グリップシフトは身近なチャリのおなじみの装置ですが、5万以上のフラットバー、ライザーバーのスポーツバイクにはほぼ搭載されません。シマノがスポーツバイク向けのをしませんから。
結果、日本国内では10速や11速用のグリップシフトは超レアアイテムです。おまけに国内定価がファンタジープライスです。で、こんなときにこそ海外通販の知識が役立ちます。
SRAM GXの11速用のグリップシフトです。最初、カバーの外し方に四苦八苦しました。
こんなふうに付属のグリップとドッキングさせて、ハンドルバーにすぽっと装着します。
利点はスマートなビジュアルと多段上げ下げのしやすさです。
グリップシフトはラピッドファイヤやトリガーシフターみたいにレバーがいちいち定位置に戻りません。握り込みで段数を一気に変えられます。10段飛ばしのアップダウンもOKです。
そして、グリップから手を放さずにオートバイのスロットルみたいにぐりぐり変速できます。反面、なんかの拍子で握りがシフターに入ると、不慮の変速が発生します。
それから、付属のグリップは専用品の短いものです。汎用のロックオングリップやシリコングリップをセットできません。いや、使えますけど、見た目の統一感を損ねます。
変速性能、耐久性、整備性はトリガータイプと互角です。個人的にぐりぐり操作の独特なフィーリングがツボです。
あとの不安はグリップのゴムの寿命です。すこしべたべたし始めたかな~? 予備はありますけどねー。
サムシフター
サムシフターです。
その名の通りに操作は親指オンリーです。SRAMのトリガーシフターのしょぼい版です。か、あっちが後発の進化系です。
てか、やっすぅ?! これはインデックスタイプです。古風なフリクションタイプはマニア向けです。
ドロップハンドル用シフトレバー
ドロップハンドル用のシフターはブレーキ一体型のカマキリの鎌みたいなやつです。
シマノのは『デュアルコントロールレバー』です。ブレーキとシフターの合体融合レバーです。デビューは1990年ごろです。開発費を湯水のようにじゃぶじゃぶ使えた好景気なバブル時代の産物です。
これ以前のドロップハンドル用のブレーキとシフターは別々でした。シマノがSTIて思想のもとに統合化を図って、ラピッドファイヤとデュアルコントロールレバーてゆう形で実現にこぎつけます。
くだんのように同系のSRAMの製品はダブルタップ、カンパのはエルゴパワーです。シフトの操作手順は各社でことなります。
あと、じみな相違点がグリップの大きさです。シマノ、スラムは武骨ででかめ、カンパニョーロはすっきりスマートです。
ミニハンド族のぼくみたいな男子はシマノの旧レバーを持て余します。ブラケットを握ると、ブレーキ、シフターを遠く感じます。
キャリパーブレーキの効きの悪さが加わって、下り坂が冷や汗ものです。
やっぱし、油圧ディスクブレーキが安心安全です。最悪、ダイレクトマウントで。Colnago Conceptデュラエースのダイレクトマウントはよく効きました。
そのほかのシフター
基本のシフターをおさらいして、そのほかのニッチなシフターを見ていきましょう
バーエンドコントローラー
このタイプの代表はバーエンドコントローラーです。レバーないしコックないしツマミをハンドルバーのはしっこにすぽっとはめ込んで使います。略称はバーコンです。
バーの内径さえ合わせれば、いろいろなハンドルに使えます。とくにブルホーン、DHバーとの関係が良好です。
機能は純粋なシフターです。フリクションタイプです。ブレーキ機能はありません。ですから、バーエンドにこれを突っ込んでしまうと、エアロブレーキを使えません。
例外はSHIMANOのアーバン系コンポのMETREAです。これはバーエンド型のデュアルコントロールレバーです。ブレーキとシフターを内蔵します。インデックスタイプです、たぶん。
油圧ディスクブレーキブルホーンバイクを組むなら、こいつを使いましょう。か、ひとおもいにドロップハンドル化するか、ははは。
実際、フラットバーをいちいちブルホーン化せずとも、バーエンドバーのポン付けで済みますしねえ。
Wレバー
Wレバーは統合型シフターレバー以前のスポーツバイクの変速システムです。バーコンとのちがいは取り付け場所=マウント形状です。機構はそっくりです。
昔の金属製フレームにはこのWレバーのためのダボ穴がありました。ない? アダプターや台座や留め金を駆使して、どこかへマウントしましょう。固定してワイヤーのテンションを出せれば使えます。
Wレバーの主要な用途はクラシカル・ヴィンテージ系のカスタムやリペアです。レトロなふんいきが往年のクロモリロード、復刻版モデル、ミニベロとかに合います。
電動ボタン
シフターの最新系は電動です。Di2やエルゴパワーの細い電気信号ケーブルです。インナーワイヤーは存在しません。ディレイラーのメカが変速アームを調整します。
SRAM eTapは完全無線電動ドライブです。短距離無線で指示を送ります。アウターケーブルもインナーケーブルも存在しません。
シフターワイヤーが不要になると、テンションや引き代が不要になります。レバー、コック、ツマミの形状は不要です。操作はボタン、タッチパネルとかになります。
高テンションなワイヤーの操作にはレバー、コック、ツマミみたいな形状が不可欠ですが、電気信号にパワーは不要です。
技術的には音声操作は可能でしょう。必殺技風にシフトの上げ下げを叫ぶのは遠い未来のことじゃありません。
「ドグマ、シフトアップ、発動!」
「レディ」
とかね。
実際、スポーツ車いす、ハンドサイクルの競技者の中には手や指をまんぞくに動かせない人がいます。パラリンピックで30kmで走れるトップレーサーも細かい操作が可能だとは限りません。
音声認識はこういう問題を部分的に解決します。Kickstarter発の電動セミ無線ユニットのXShifterプロジェクトがスマホ連動のアプリで音声認識にローンチから対応します。
さらにこのプロジェクトは目や顔のジェスチャーでシフトチェンジする技術を開発中です。無線、電動、バッテリーで可能性が広がります。
そのまえにフルオートマ、アシストじゃないバッテリー内蔵化が来るかな~。