「スパチャはおひねり」
誰の言葉かは定かでありませんが、間違いなく21世紀の名言です。
YouTubeはさまざまな方法でチャンネルの収益化をサポートします。2020年1月の時点では以下の四つの機能があります。
- 広告
- スーパーチャット
- メンバーシップ
- グッズ販売
おのおのにアクティベートの条件があります。広告の収益化は1000人からですが、メンバーシップは10000人からです。
グッズ販売は国内ではまだ実装されません。
ここでは二番目のスーパーチャットの仕組みや裏事情を解説します。
スーパーチャット=スパチャとは?
リアルタイムのチャット付きの元祖はニコニコ動画です。とみに希少な日本発の国産の動画配信サービスです。
ニコニコ動画の魅力は動画上に流れるコメントです。コメントなしのニコニコは単なる劣化YouTubeに過ぎません。あの独自の文化が生命線です。
しかし、YouTubeが知ってか知らずか、数年前からチャット機能を強化し始めて、元祖のお株を奪います。
むしろ、YouTubeの別窓のスマートなチャットの後ではニコ動の画面上の無秩序なコメントは蛇足に見えてしまう。
しかも、YouTubeは投げ銭機能まで実装しました。これがスーパーチャットです。視聴者が配信者に直に金銭的なサポートを与えられます。
スパチャ=おひねり
「お金を投げるって・・・」
一部の方々はこんなふうに顔をしかめます。さて、これは卑しい俗物的な行為でしょうか?
投げ銭は目新しいスタイルではありません。実際問題、日本人はお賽銭やおひねりをぽいぽい投げます。
動画の配信者は舞台の演者です。良い芸、グッドパフォーマンスにおひねりやチップを投げるのは粋な計らいです。
スパチャの表面的なスタイルに難色を示す方が周りにいれば、このおひねりの例が最も効果的に伝わります。
スパチャの条件 for YouTuber
YouTubeのスーパーチャットの条件を更に詳しく示しましょう。公式の記載を引用します。
チャンネルの要件
チャンネルが収益化されている
チャンネル登録者が 1,000 人以上いる
チャンネル所有者が 18 歳以上である
チャンネル所有者の居住地が提供地域に含まれている
注: Super Chat と Super Stickers は、年齢制限付き、限定公開、または非公開の動画では利用できません。チャットをオフにしている場合も、Super Chat と Super Stickers をご利用いただけません。個々の動画の要件
Super Chat と Super Stickers は、次の種類の動画ではご利用いただけません。年齢制限あり
YouTubeのSuper Chat と Super Stickers の利用資格、利用可能な地域、ポリシー
限定公開
非公開
子ども向け
チャットをオフにしている場合も、Super Chat と Super Stickers をご利用いただけません。
“Super Stickers”は有料の特別な絵文字のことで、比較的に新しい機能です。
上記の条件にチャンネルの収益化が含まれますから、非営利のチャンネルはスパチャを利用できません。
また最近の規約変更で子ども向け動画の収益化が全面的に厳しくなりました。2020年はキッズチャンネルの受難の年です。
ただし、YouTubeの子ども向けの成否の判定は曖昧です。ガチャ、おもちゃレビュー、マンガ動画、ゲーム実況等がしばしば誤爆?されます。
ちなみにうちのチャンネルの動画には子ども向けの判定は全く付きません。趣味系チャンネルの視聴者層の平均年齢は割と高めです。
スパチャのON/OFFの画面です。
これを有効にして、ライブかプレミアム公開をすると、スーパチャットを受け取れます。動画のチャット機能を事前に有効にしないと、スパチャも受け取れません。
無論、生放送で良いパフォーマンスをして、ファンの気持ちをがっちり掴まないと、一円のおひねりをすら頂けません。
スパチャの条件 for 視聴者
つぎにユーザー目線からスーパーチャットの利用法を解説します。ためしに適当なライブ配信で購入の手順を辿りましょう。
利用者の多さを考慮して、モバイル版を例にします。
NASAの宇宙ステーションのライブカメラがありました。24時間中継のようです。
『チャット』内の¥マークがスパチャ(スーパーステッカー及びメンバーシップ)のアイコンです。
ここから課金の種類を選べます。スーパーステッカー、スーパーチャット、メンバーシップからチャンネルをサポートできます。
この後に金額の設定、パスワードとCVCコードの入力、同意のチェックがあります。タップ一回の課金はありません。
実際にスパチャをしてみましょう。金額は100円から50000円までです。
この金額でスパチャの固定表示の有効時間と文字数が決まります。下限の100円の時間と時数はゼロ秒、ゼロ文字です。
100 – 199円:0文字:0秒(青)
200 – 499円:50文字:0秒(水色)
500 – 999円:150文字:2分(黄緑)
1,000 – 1999円:200文字:5分(黄色)
2,000 – 4999円:225文字:10分(オレンジ)
5,000 – 9999円:250文字:30分(ピンク)
10000 – 19999円:270文字:1時間(赤)
20000 – 29999円:290文字:2時間(赤)
30000 – 39999円:310文字:3時間(赤)
40000 – 49999円:330文字:4時間(赤)
50000円:350文字:5時間(赤)
配信者にメッセージを送るなら、200円以上を購入しましょう。が、今回の課金はテストです。私は100円だけにします。
それから、固定表示は公開の終了で強制的にリセットされます。
『購入して送信』を押すと、Googleアカウントのパスワードの入力→クレジットカードのCVCコード入力→同意を求められます。
そんなわけでスパチャの購入にはカードが必要です。クレジットカード、デビットカード、バンドルカード、Paypalアカウントのどれかを用意してください。
めでたく100円のスパチャを壮大な宇宙にテイクオフできました。
100円のスパチャは固定表示されず、通常チャットのように流れ去っていきます。その様は流星のごとしです。
スーパーチャットの収益配分
このように熱心なファンはスパチャを利用して、配信者を直接的にサポートできます。そして、YouTubeは課金機能を積極的に推奨します。
ただし、YouTubeは企業です。ボランティア団体ではありません。一から十まで無料にすると、利益を上げられません。
広告、スーパーチャット、メンバーシップのいずれが配信者の懐には丸々転がり込みません。YouTubeは何割かを源泉徴収します。
基本配分は7:3
収益の配分率はおおまかに7:3です。配信者が70%で、YouTubeが30%です。つまり、さきほどの100円のうちの30円はYouTubeに吸い上げられます。
巷の芸能事務所や大阪の某有名興業の噂を考えると、特段の不満を言えませんが、うまい利益モデルに愕然とさせられます。
一般ユーザーはこのような仕組みを知りません。ピュアな気持ちでスパチャを購入します。その三割はGoogleの利益になります。切なさで胸がちょっぴり痛みます。
また為替や手数料で実際の支払額は更に変動します。変動=減少です。私の感覚では最終受取金額は課金額の60-65%くらいに落ち着きます。
YouTube Studioの分析画面ではスーパーチャットやメンバーシップは『トランザクション収益』の項目に含まれます。
個人的なスパチャの過去最高額
うちのチャンネルのメインコンテンツは収録動画です。ライブ配信は月に一度か二度しかありません。生放送は何かとハードですから。
同時視聴者は100-500人で推移します。自転車のメンテナンスやパーツの開封になぜか数百人が集まります。
で、不定期にライブやプレミアム公開をすると、熱心な視聴者さんから多少のおひねりを頂けます。金額はおやつ代くらいです。
私の過去最高額は12月のプレゼント企画の告知ライブで出ました。「今月はぼくの誕生日です!」のアピールが効を奏しました。金額はゲーム代くらいです。
誕生日や一周年のようなメモリアル回にはスパチャが良く付きます。これはご祝儀と変わりませんね。
まとめ
「7:3の配分は良心的だが、一抹のもやもや感は残る」
これが一般的な感覚でしょう。普通の視聴者はGoogleが利益をバキュームのように吸い上げる仕組みを知りません。
しかしながら、『我々がスパチャの3割を徴収します』と馬鹿正直なポップアップを提示しても、余計な興ざめを誘ってしまいます。言わぬが花だ。
そして、スパチャに眉をしかめる堅物さんにはおひねりの例が効果的です。