自転車のおもしろさにはまると、パーツやウェアやアクセサリーをじゃんじゃん買ってしまいます。カスタム派は機械いじりや模型づくりの延長で台数を増やしちゃいます。複数台所持はふつうです。
あげくに置き場所に困ります。資金より先にスペースが底をつきます。シティ住まいではなおさらにそうです。新しいチャリを入れるために古いチャリとおさらばします。
また、自転車にはまらなかった人は勢いで買ってしまったロードバイクや折り畳み自転車やフルサスのMTBやBMXの処分を迫られます。
貴重なスペースを埋めてしまう室内保管の自転車
気楽に外置きにできない10万以上のバイクは場所取りです。ベランダ、屋根だけガレージさえが保管には不適切です。紫外線が塗装をむしばみます。
結果、不要なチャリが室内にでんと居座り、上座を占有します。実質、賃貸物件ではたたみ一畳分のショバ代を自転車パイセンに収める格好になります。
「新卒の社会人一年目、春から一人暮らしを初めました! 初ボーナスでカーボンロードを買っちゃいました! まだ1回しか乗れません!!」
こんな若人が後を絶ちません。ブームのおそろしさです。じゃあ、いつのまにかピカピカの新古品が2年落ち、3年落ちです。
よほどの希少モデルでなければ、価値が下がります。フルモデルチェンジが来れば、下落が加速します。
さらに中古自転車の処分のわずらわしさがこれに加勢します。買いやすく売りにくい。いきおいで出来る結婚と計算と妥協でしか決まらない離婚の関係にそっくりです。
未知数な中古自転車の処分
そんなこんな障害を乗り越えて、一念発起して、自転車を処分しようと意気込むとしましょう。最初の山場は防犯登録です。
自動車や単車のように厳格ではありませんが、自転車は個人情報に紐づけされます。登録者以外の人が乗るのはイレギュラーです。貸し借りは非推奨です。
「まぎらわしいことをしない!」
ておまわりさんに怒られます。しかも、警察の防犯登録の取り扱いはわりとルーズです。一律じゃありません。管轄、部署、時期、個人によります。
手放す側はそんなに神経質じゃありません。公式の方法は購入店か交番での防犯登録抹消手続きです。でも大半の中古屋はふつうに買い取ります。ぺらぺらの譲渡証明一枚でロンダリングできます。

譲渡証明書
買う側は無登録車体で折悪しく検問にひっかれば、むだな疑いをまねきかねません。とくに新シーズンや夏休みや年末年始の取り締まり強化月間のポリスは平常よりハッスルハッスルです、ははは。
中古自転車の相場は流動的
中古自転車市場は中古自動車や中古オートバイほどにシステマチックじゃありません。中古車や中古バイクの相場はモデル、車種、年数、走行距離でだいたいシステマチックに決まります。
一方の自転車の買い取り相場はまちまちです。まず、有力候補先がリサイクルショップ、中古自転車屋て二つに分かれます。これらは別業界、別業種です。
リサイクルショップの査定は安め、自転車専門買取業者は高めです。汎用リサイクルストアはメンテやクリーニングを出来ません。価格を上乗せできない。自然と仕入れ=買い取りが下がります。
専門店はバラ売りやクリーニングで価格を上乗せできますし、ジャンクバイクをニコイチ、サンコイチにして、新たな一台を作れます。
そして、自転車屋は基本的に地域密着型の商売です。全国規模のチェーン店は多くありません。個人営業、家族経営が多数です。
じゃあ、業界共通の価格査定マニュアルみたいなものがありません。買い取り相場は流動的です。究極、店長の趣味と気分で変動します。
売値最強、ネットオークション
中古の販売価格の相場、リアルな実売価格はオークションサイトの落札額です。出品、連絡、梱包、発送のあれこれをかんがみても、価格面の圧倒的なメリットを見出せます。
ぼくは中古自転車の売り買いをすでに経験します。ホイールやフォークみたいな大物からステム、ハンドルバーみたいな小物までヤフオします。メルカリのシステムはチャリパーツには力不足です。
購入の最大物はGIANTのクロスバイクです。ジャンクな車体を15000円で買って、こまごまいじりたおしました。

GIANT ROAM3 Ver10
ヤフオクでは15000円の価格が付きます。買取業者では数千円がせいぜいでしょう。ピカピカの新古品の査定の上限一杯が購入額の30-40%です。ふつうの中古車の見積もりは加速度的に下落します。
高難度の自転車フリマ
つぎがシクロジャンブルや関戸橋みたいなフリマです。地域と時期は非常に限定されます。関東と関西で半年に1回2回です。ほかのエリアではこんな催しはない?

人手はまあまあ
こういうイベントでは客商売か自転車の知識や経験を持たねば、名うてのお客やほかのくろうとさんに尻込みします。いらっしゃい、まいど、おおきにを練習して、実践に臨みましょう。
買い取り業者の査定の相場は?
健康ブーム、エコブーム、弱虫ペダルのヒットのおかげでおしゃれなスポーツバイクが一般的になりました。とくにロードバイクは飽和状態です。供給が需要を完全に上回ります。
で、前段のようにマイルームのオブジェと化した有名ブランドの高級ロードが全国津々浦々に存在します。
元気な中古自転車買い取り専門店
じゃあ、専門の買い取り業者が現れて、一気に成長します。少し前には金、Apple、いまではロードやクロスです。中古自転車販売店は少数派ですが、買い取り専門店は全国にあります。
中古自動車みたいな点数式査定を採用するバイチャリが元気です。ネット買い取りで力をつけて、じわじわ実店舗を増やします。
最近、買取販売の実店舗が尼崎にできました。

バイチャリ尼崎店
店内が気がかりでしょうか? いえ、ここの注目は看板です。文面に注目しましょう。『スポーツ自転車、ミニベロ、アシスト』です。これがキーです。
ママチャリや軽快車は二束三文
結論から申しましょう。ママチャリや軽快車、シティサイクルの類は買取店ではぜんぜん歓迎されません。定価5万が商品のボーダーラインです。それ以下はゴミです。
日常生活用の自転車の最高値はBSアルベルトクラスの5万円の日本ブランドのシティサイクルです。これを一年二年で手放す人はまれです。車種の用途が中高生の通学用です。最低3年です。
3年落ちの5万の実用品の価値はせいぜい10000円です。これを買い取って、メンテして、店先に並べても、かくじつにコスト負けします。
5万のチャリも10000円のチャリもほぼ同じ面積を占有します。むしろ、カゴ、スタンド、キャリアが出っ張ります。容積あたりのコスパがよろしくありません。
結局、店舗や倉庫の空間も費用の一部です。10000円のチャリのために10万のバイクを置かないのは商売的にNGです。
じゃあ、それ以下の古いママチャリやルック車はほんとのただのゴミ、産業廃棄物です。店頭の売り物にはなりえません。しめやかに購入店で廃車の手続きをするか、粗大ごみに出しましょう。
ちなみに電動アシストは10万前後です。ヤマハ、パナソニック、ブリジストンの大手3ブランドが多数を占めます。モデルは限定的です。アシストの相場はわりと安定です。
自転車の一括査定サービスはよちよち歩き
中古自動車や中古バイクのネット一括査定サービスはやたらめったらありますが、中古自転車の一括査定サービスは超マイナーです。
査定元の買い取り業者がそんなに激しく渡り合いません。バイチャリやサイクリーみたいな全国展開は少数派です。自転車は地域密着型ですから。
うちの地元の北大阪では『サイクルコンビニてるてる』が有名です。ここははやりのスポーツバイク買い取り業者とちがって、ママチャリ系を多く扱いますし、自前の自転車を販売します。
かくゆうぼくもてるてるで3段変速の黄色いアルミのママチャリを買いました。たしか8000円? でした。
高年式の新古品のロードで最大40%
トレンド的に買い取りで高得点をたたきだせるのは完璧な状態の高年式の有名ブランドのロードバイクです。仮に『2017モデルの室内保管の新古品のロード』としましょう。
これの最大査定額が約40%です。購入額10万が4万、20万が8万になります。でも、買取の『最大』は宣伝文句、キャッチコピーです。満点は出ません。
普段使いのものはさらに下落します。二年落ち三年落ちでなおさらに下落します。欠品、破損、よごれでぐんぐん下落します。
このリサイクルショップの自転車買い取りのレポートが非常に参考になります。→買い取り専門店アシスト 自転車買い取り実績
使用感ありのGIANT Escape R3が4000円です。Escape R3 2019モデルの定価は52000円です。査定額は定価のざっと8%です。
自転車専門業者ではこれが9%か10%にはなりましょう。しかし、15%や20%にはなりません。2017モデルの使用感なしのぴかぴかの新古車で15000円が限度です。
パーツを見ましょう。前にオランダの手組ホイールのFast Forward F6R DT SWISS 240s 700cがありました。査定は25000円です。
備考に『汚れ、バルブキャップ欠品でした』てあります。キャップかよ! 減点方式のおそろしいところです。かように査定はずるずる下がります。足元を見やがって!
タイヤ付きホイールを買取りに持ち込むなら、きれいに拭いて、てきとうなキャップをつけましょう、ははは。