出前=フードデリバリー
この変換は主に外資系のUber Eats の影響です。現代人は「出前」という単語をもう使いません。「フーデリ」や「ウーバー」と言います。
おかげでフードデリバリー業界では未知の横文字が日常的に飛び交います。
- ブースト
- クエスト
- インセンティブ
配達の経験者にはこれらのワードは非常にシックなものです。もちろん、このシックはフランス語の”chic”でなく、英語の”shick”です。
こちらは『ブースト』の一例です。
Shick!
Uber Eats のインセンティブ
インセンティブの直訳は『刺激、動機、誘因』です。ビジネスでは報奨や奨励を意味します。金銭的なインセンティブはよりポピュラーに『ボーナス』で通じますね。
Uber Eats などのフードデリバリーでは配達の基本報酬とチップ以外の追加報酬の全般が『インセンティブ』と総称されます。
インセンティブは手数料の計算外
配達パートナーはUber Eats の従業員ではありません。文字通りのビジネスパートナーです。Uberと業務提携を結んで、お使いクエストを下請けします。
ギルドマスターのUber Eats は配達パートナーに業務を紹介する代償に10%の手数料を徴収します。
ちなみに加盟店の手数料は35%です。おかげでフードデリバリーの料理は店頭より3~4割ほど高くなります。→Uber Eats はなぜ高い? 手数料の仕組み
お使いクエストの紹介手数料の10%は配達の基本報酬にのみ掛かります。冒頭の明細では54円です。
インセンティブはこの手数料の天引きの母数から除外されます。つまり、額面=手取りです。Very Shick! ではありませんか?
ブースト
このウハウハなインセンティブの第1種がブーストです。諸々の条件で基本報酬に倍率が掛かります。
ブーストは後述のピークタイムとやや被ります。
DiDi Foodの雨の日の夜のブースト(ピークタイム)です。+400円がえぐい!
ブーストの発動の条件は非公開です。トリガー候補です。
- その日のオーダーの予想数
- 天候
- 季節
- 時間帯
- エリア
基本的にブーストはピークタイムより広域に長く出ます。冒頭の明細の基本報酬は542円、ブーストは164円ですから、このときの倍率はx1.3ですね。
Uber Eats のブーストはアプリの『プロモーション』で事前に告知されます。大阪ではめっきり減ったなあ・・・
それから、ブーストの適用はリクエストのタイミングや加盟店の位置などでたまにイレギュラーな結果になります。
ブーストありとなしのエリアの境界線、期限内のぎりぎりのタイミングのリクエストなどがややこしくなります。
クエスト、雨クエとか跨ぎクエとか
クエストはウマウマのインセンティブの第2種です。配達の回数で追加の報奨金が出ます。
代表的なものが跨ぎクエストと雨クエストです。
跨ぎクエストはその名の通りに日を跨ぐ中長期のクエストのことです。『月曜4:00~金曜4:00の間に50回の配達で追加10000円!』のようなものです。
クエスト報酬は段階的に設けられます。
雨クエストは雨の日の臨時のクエストのことです。
ご承知のように雨天、荒天、酷暑、極寒の日にはフードデリバリーの需要は激増します。裏腹に配達パートナーの供給は激減します。
ということで、より多くのパートナーを家から引っ張り出して、より長く引き留めるために雨クエというニンジンを臨時に奮発します。
ただし、この雨クエの精度がまちまちでして、雨降ってないのに雨クエある、雨降ってるのに雨クエないというパターンもしばしばです。
また、配達をサボり過ぎると、クエストをしばらく消されます。復活は一定数の配達の後です。
ピークタイム
ピークタイムはブーストや雨クエより限定的な臨時のインセンティブです。アプリの地図上に1駅圏内に30~60分くらいでぱっと出ます。
冒頭の画を見直しましょう。
真ん中の赤い部分がピークタイムです。通称シミ。これはブーストのように倍率でなく、\マークでどーんと出ます。+125円ですね。
このピークタイムのシミは告知なしで出て、告知なしで消えます。エリアの狭さと期限の短さから運頼みのインセンティブです。
重要なポイントはブーストとピークタイムは重複することです。ランチやディナーの頃合いにうまくシミのエリアに突入できれば、確変並みの大チャンスを得られます。
都市伝説? オンライン時間インセンティブ
オンライン時間インセンティブは時間保証制度のことです。アプリをオンラインにしたのにまともにリクエストを受けられなかった! というときにこれが出ます。
しかし、この時間保障のインセンティブはUber Eats ではほぼ終了しました。最近の報告例は皆無です。
逆に時間保障を出すのはfoodpandaやWaltです。保証の目安はだいたい1000円/1時間です。配達してもしなくても、きっちり貰えます。
サブのスマホでfoodpandaやWaltの時間保証を貰いつつ、メインのスマホでUber Eats や出前館の鳴りを待つというのはガチ勢の裏技です。
紹介インセンティブ
フードデリバリーにはお友達紹介制度があります。招待コードや招待リンクで第三者をUber Eats の配達パートナーに勧誘できれば、紹介インセンティブを貰えます。
最盛期には新規加入者向けの配達クエスト込みで8万円の超高額な追加報酬が出ました。一種のフードデリバリーバブルです。
これもコロナの前後にすっかり弾けて、5000~20000円くらいに落ち着きました。現在、金額はエリアで異なります。
ぼくも15人ほどを紹介して、キャッシュバックを分け分けしました。
判定基準は紹介する側の登録都市でなく、紹介される側の初回稼働都市です。配達パートナーを登録するときに入力します。
で、紹介インセンティブは紹介する側に振り込まれます。後で揉めないように先に分け前の比率や金額を決めましょう。
チップは愛
「海外のサービス従事者はチップで生活する」
この異世界の風の噂がフードデリバリーの普及で現実のものとなりました。Uber Eats では2020年9月にチップ機能が追加されました。投げ銭やー。
チップは運営からのインセンティブではありません。注文者さまからの心付けです。神の恵み・・・いや、人の優しさ、そう、愛だ!
日本の日常的なサービス業ではチップの習慣はほぼありませんが、フードデリバリーではしばしば100円、200円のチャリンチャリンが出ます。1日に1回はある。
チップは個人の信用や愛嬌に掛ります。もちろん、それを宛てにしないなら、不愛想に機械的に事務的にさばさばと受け渡しできます。その方針も事業者の裁量です。
反対にチップを積極的に狙うなら、
- 元気
- 挨拶
- 笑顔
- 愛嬌
を心がけましょう。というか、世の中の仕事の90%はこの4つのチートスキルで何とかなります。
Uber Eats のインセンティブまとめ
インセンティブは追加報酬のことです。これはフードデリバリーのアプリ手数料の計算対象にはなりません。
Uber Eats のブーストは倍率で比較的広範囲に出ます。実施の予定はドライバーアプリの「プロモーション」にあります。
クエストは配達回数で段階的に貰えるインセンティブのことです。期間内により多くの配達をこなせば、500~20000円の追加報酬を受け取れます。
跨ぎクエストは数日から一週間以内の中期クエストのことです。
雨クエストは雨天や荒天の臨時クエストです。
ピークタイムはブーストより限定的な短期間のインセンティブです。マップ上には赤いシミで表示されます。
オンライン時間インセンティブはfoodpandaやWaltのような時間保証のことです。しかし、最近のUber Eats でのこの制度の報告は皆無です。
チップはこの星の人の愛です。