【勘はフラグ】カーボンパーツをクラックさせないためのトルクレンチ術と選び方

ハイエンドなMTBやロードバイク、はたまた高級ミニベロや折り畳みの軽量化や乗り心地向上に欠かせないのがカーボンパーツです。

うちの歴代のカーボン号をご紹介しましょう。

KONA HONZO改 for ツーリング
中華カーボンディスク
中華カーボンディスク
ミニベロ
ミニベロ

と、このカーボンパーツをアルミや鉄と同等に扱うのは禁物です。とくに熱、圧、打撃はこの素材の最大の弱点です。

オーバートルクは厳禁! 自転車トルク管理のすすめ

カーボン、炭素繊維は非常に堅牢です。ことさらに引っ張り強度やしなりは鉄やアルミを優に越えます。これを引き千切るのは容易ではありません。

TREK KOV
TREK KOV カーボンレール

他方、高熱、圧力、打撃にはそこまで強くありません。一昔前の軽量カーボンホイールなどは下り坂のブレーキの摩擦熱でしばしば溶けて歪んで膨らみました。※リムブレーキ時代のはなし

また、フレームの細身の部分、リアステーは落車や事故で良く断裂します。中古のカーボンロードの『ジャンク』の大半はこのパターンです。

この裏でより一層に多発するのが自家整備や日曜自転車弄り中のオーバートルクのクラックです。シートポストの固定クランプを『勘』で締めて、だいたいこういう結果を引き起こします。

カーボンクラックだぁ!
カーボンクラックだぁ!

カーボンはこのような『局所的な潰れの力』には極端に脆弱です。素材の規定値を超えた力=オーバートルクはいとも簡単に「ピキッ」という嫌な音とクラックを引き起こします。

カーボンバイクで「割れやすい部位」と破損時の影響度

カーボンパーツの「割れやすい危険部位」は以下の通りです。

部位(パーツ)適正トルクの目安破損しやすさ破損時の影響度(危険度)
シートポスト周り / クランプ4〜6Nm非常に高い(ほぼ締め付け過ぎで発生する)
ステム / ハンドル周り4〜5Nm高い致命的(ハンドル折れは事故に直結する)
フロントディレイラー台座(直付)3〜5Nm中〜高(シートチューブ自体のクラックに繋がる)
リアステー5〜8Nm ロード系の持病
※パーツ本体やマニュアルの指定値(Nm)を確認してください。

MTBで攻め過ぎると、リムをぽしゃってしまいます。

カーボンリム破損
カーボンリム破損

クラックさせないためのトルクレンチ術

ある種、走行中のアクシデントやチャレンジの破損は許容範囲ですが、不用意な締め付けでカーボンフレームに傷をつけてしまうのは論外です。

まれに走る前の組み立てでまっさらなカーボンフレームに傷を入れてしまう人が後を絶ちません。しかし、これは非常に恥ずかしい話ですから、当事者は積極的に口外しませんが。

1. 2Nm〜15Nmの範囲を測定できるか

自動車用の大型トルクレンチは自転車には不可です。カーボンパーツの締め付けは4Nm〜5Nmです。2Nmから15Nm程度の小トルク帯をカバーする自転車専用品を選びましょう。

上は自動車用 下は自転車用トルクレンチ
上は自動車用 下は自転車用トルクレンチ

ちなみに自転車用のトルクレンチは固定工具というより調整器具に近いものです。ラチェット機構が便利で、ねじ回しが捗りますが、多用は非推奨です。

2. プリセット型が初心者にはおすすめ

あらかじめ手元のダイヤルで目当てのトルク値(例:5Nm)を設定し、「カチッ」という音やショックで締め終わりを測れるプリセット型自転車ではが主流です。

プリセット型トルクレンチのメモリ
プリセット型トルクレンチのメモリ

最近のトルクレンチはだいたいこのタイプです。アナログ型は中級者向けです。

3.勘で締めない

シートクランプのクラックの原因の99%は『メカニックのオーバートルク』、つまり、趣味の自転車弄り勢のずぼらです。勘、塩梅、さじ加減、良い具合の末路がこれを招きます。

その『勘』というのはアルミパーツには通じますが、より繊細なカーボンパーツのさらに繊細なシートクランプには通じません。

トルク不足はサドルのずり下がりを招きます。この経験を経て今に至る自転車整備中級者は無意識のうちに『強め』に締めてしまう。結果、クラックです。

逆にアルミや鉄のクランプを締めてクラックさせるのはほぼ不可能です。それらをクラックさせないというのは実績や経験値にはなりません。

つまり、その『勘』は素人のまやかし、カーボンパーツ死亡フラグです。だって、プロのメカニックや自転車が工具を使いますし。

精神的ダメージを受け、カーボンドライジャパンやROCK BIKEの社長の西山さん(自転車業界内では有数のカーボンパーツ修理の名人)などへの修理代に大枚をはたく前にちゃんとトルク管理をしましょう。

4. おすすめメーカーを選ぶ

無名ブランドの安価なトルクレンチはおすすめではありません。肝心の精度が微妙(設定値と実効値が違うなど)です。

  • TOPEAK(トピーク): 自転車用品の定番。コンボトルクレンチなどのモデルから本格派まで揃う。
  • パークツール:一般向け最強自転車工具メーカー。
  • ホーザン:業務用最強工具メーカー。
  • KTC(京都機械工具): 日本が誇る工具メーカー。デジラチェなどデジタル式で超高精度な管理が可能。
  • Wera(ヴェラ) / PB SWISS: プロメカニック御用達。最高峰の精度と所有欲を満たす高級工具。