フォーマルな自転車乗りはなにを重視するか? それは統一性です。代表的のものが『ウェアの上下のブランドをそろえる』です。
たしかに『阪神のユニフォーム上+巨人のユニフォーム下』てよそおいは熱心な野球ファンの目にはへんてこりんに映りましょう。
ちなみにぼくは阪神ファンではありませんし、野球を見ませんが、いちばんの優先順位はタイガースの勝利で、二番目がジャイアンツの黒星、三番目が読売の不祥事です。
で、ウェアの上下にこだわる人は機材の統一性を見過ごせません。パーツのMIX、ちゃんぽん、ごたまぜはNGです。
古参の保守的な愛好家はホイールとコンポーネントの不一致にすらめくじらを立てます。
シマノコンポ+カンパホイール
この黄金パターンさえがうるさがたの独自ルールにしばしば抵触します。105+ゾンダorシャマルとかは邪道だ。アルテグラやDURA ACE C24だけがジャスティスです。
ゾンダやシャマルを使うなら、カンパニョーロを使わなけれなりません。それがフォーマルなロードバイクス乗りです。
パーツMIXの世界
一部のフォーマルな愛好家はそう唱えますが、一般の自転車好きはつめつめの統一性には息苦しさを覚えます。
そして、シマノホイールは地味ですし、カンパニョーロのドライブトレインは割高です。シマノ変速+カンパホイールの恩恵は大だ。
シマニョーロ
このシマノ+カンパニョーロのごちゃまぜはぞくに『シマニョーロ』と称されます。もっとも、コンポ+ホイールのシマニョーロはプチ・シマニョーロです。
よりディープなシマニョーロは変速機のちゃんぽんです。カンパのレバー+シマノのメカが黄金パターンです。
カンパニョーロのレバーのにぎりやすさは特筆です。これはシマノのSTIやSRAMのダブルタップを凌駕します。
で、このLV2シマニョーロの実現のために先人たちはいろいろな工夫や部品をあみだしました。有名どころは『大回し』とか『イコールプーリー』とかです。
シマグラ
パーツのミックスはロードバイクばかりではありません。サドルなしの特別な自転車で障害物をぴょんぴょこ乗り越えるトライアルバイクの世界には『シマグラ』があります。
これは変速機のちゃんぽんでなく、ブレーキのちゃんぽんです。シマノレバー+マグラキャリパー=シマグラです。
シマノとマグラの油圧ブレーキのオイルはともにミネラルオイルです。シマノはピンク、マグラはブルーです。ちなみにカンパのディスクブレーキは実質的にマグラ製です。
変速機が戦国時代へ
以前、Youtubeの動画ネタでママチャリを多段化しました。ありきたりなロード化ではありません。シクロ化、12速化です。
そのためにわざわざシクロクロス用のチューブラーホイールをヤフオクで買いました。105のハブ整備ネタのやつです。
2019年上半期時点の一般的な12速セットです。
- SRAM EAGLEシリーズ
- SRAM AXSシリーズ
- SHIMANO XTR M9100
- カンパニョーロ RECORD 12s
SRAMだけがMTBとロードをすでに12速化して、セットを販売します。シマノはロード12速には未着手で、カンパはオフロード系には参戦しません。
で、最安の12速セットはSRAM SX EAGLEです。旧来の入門用NS EAGLEよりさらに安価な12速グループセットです。
国内サイトや欧州ストアの通販ではSRAMの入手はめんどうですけど、中華サイトでは非常にかんたんです。
スプロケ、チェーン、シフター、ディレイラーのNX EAGLE4点セットはおおむね2万ちょいですね。
さらにフロントシングルがMTBやグラベルで一般化して、フロントディレイラーがすたれましたから、中小メーカーに福音がもたらされました。
フロント変速の大御所はシマノです。技術と特許がある。ほかは太刀打ちできない。でも、フロント変速の開発を度外視すると、大幅にコストを削減できて、工程を簡略化できます。
「リアはよく分からんが、フロントはぬるぬるだ」
これはシマノの変速の決まり文句です。フロント変速は他の追随を許さない。でも、フロント変速の必要性が自転車界全体では薄れた。
もはや、フロントディレイラーはピュアロードとクロスバイクの専用品です。スポーツバイクの必須のパーツではなくなった。
結果、中小メーカー、マニアックなブランドがぽちぽちと変速機市場に参入します。やはり、マウンテンバイクのパーツが先行します。
これはシマノの最高グレードXTRの12速スプロケットです。3万オーバーの高級品です。新規格のHG+フリーボディに対応します。
で、こちらはかの有名なVG SPORTの5000円の12速スプロケットです。旧来のHGフリーボディに対応します。
そっくりだあ! 回転中はさらにシマノへ近づきます。もちろん、SRAMとSHIMANOの12sとコンパチです。
が、そこはネタ用のアイテムです。ただのMIXはおもしろくない。格安スプロケットで名をはせる台湾のSUNRACE社がなぜかこれまた変速機に参入します。
左のメカはSRAMとSHIMANOのあいのこみたいな設計です。右のシフターはまんまシマノのラピッド的なやつに見えます。
気にしない!
12速メカ+11速シフター
新型XTRのニッチな機能に11速との互換があります。シマノ的にはあきらかな下位互換はめずらしいことです。
これに倣ったか、このSUNRACEの12速メカは10速と11速に互換します。情報はほぼない。商品説明の文章だけがたよりだ。
で、最近のMTBのロングライド用カスタムに11速カセットを用いました。予備の11速シフターはありますが、12速メカはこれしかない。
結果的にSRAMの11速シフター、SUNRACEの12速ディレイラーてざんしんなMIXちゃんぽんが発動しました。
実のところ、ママチャリ12速化のときに試験的にこの組み合わせをしまして、良い手応えを得られなかった。
で、今回、わりときちっと調整したら、ふつうに使えました。トップからローまで11段です。
12速シフター、12速メカ、11速カセットの組み合わせにすると、中間ギアでなんかへんな違和感を感じます。
この11速シフター、12速メカ、11速カセットの組み合わせのフィーリングはそれよりあきらかに上です。8-9の下りがすこし神経質ぽく思えます。それ以外はふつうです。
てことは、商品説明の”11s Compatible”はうそじゃなかった?! でも、これはSUNRACEの11sシフター+SUNRACEの12sメカの組み合わせのことじゃない?
まさかSRAMのグリップシフトでふつうに11速化できたのは意外でした。
うーん、MIXはミステリアスだ。メカっぽい見た目はわるくない。ただし、変速性能は本家のSRAMにゆずります、ははは。
そして、とうとう後発組のシマノがXTとSLXの12速セットを同時に発表しました。12速戦争がさらにおもしろくなります。
シマニョーロ・・・