本格スポーツ自転車は競技用機材です。パフォーマンスを高めるために特殊なペダルを搭載します。クリップレスペダル、ビンディングペダルです。
ビンディングペダルの特徴的な見た目とこの「カチャ」が一般人の心の奥のスポーツマンシップをくすぐります。実際、形から入るにわかユーザーには最高のコスプレです。
しかし、用途に合わない専用品は汎用品に及びません。街乗り、ちょい乗り、通常のサイクリングではビンディングペダルは100%の力を発揮できない。
また、歩きにくさ、立ちごけの危険性、わずらわしい着脱、専用シューズのワイズ展開の少なさ、デザイン、初期費用などのデメリットがあります。
で、この縛りの多さにうんざりしたぼくはフラットペダルに回帰して、この気軽なスタイルの良さを痛切に感じます。
フラットペダルで速く走るコツ
フラットペダルはオールラウンダーです。ママチャリ、軽快車、クロスバイク、ロードバイク、MTB、トリックバイクと車種を選びません。
オフロードのトップレーサーの一部はフラペを使います。Nukeproofを駆るENDURO世界チャンピオンのサム・ヒルは世界最強のフラペダ乗りの一人ですね。
そもそもそんなに遅くない
気軽さ=初心者向け、の構図はしばしば誤解を招きます。そもそもフラットペダルはそんなに遅くありません。
ロード乗りがビンディングを使うのは上りを楽にするためとロングライドの効率を上げるためです。
- ビンディング≠出力を上げる
- ビンディング=出力の取りこぼしを防ぐ
一瞬の出力、最高速度はライダーの身体と自転車の性能にかかります。遅い人がビンディングを使っても、フラペダ上手のチャリダーには勝てません。
順位は、
ぼんやりフラペダ < ぼんやりビンディング < しっかりフラペダ <しっかりビンディング
になります。
消去法とスタイルでフラペ
向かい風、上りではビンディングが有利です。これは歴然です。わりとざつにガシガシ漕いでも、腿の裏と表の筋肉パワーでグイグイ進みます。
が、こんな超激坂で途中下車してしまうと、再発進に苦労します。
そして、ロード用ビンディングシューズでてくてく歩くと、むき出しのクリートをめっきり痛めてしまいます。
また、ロード用のビンディングシューズは一種のピン付きのスパイクシューズのようなものです。一部のコンビニなどはこれを歓迎しません。
アンチなところは「ビンディングの人は入らないで」と露骨に拒否します。たしかにサッカーや野球のスパイクシューズでそこらをガチャガチャ歩くのは微妙なラインです。
で、ぼくの自転車スタイルではペダリング効率より気軽さと歩きやすさが重要ですから、ビンディングペダルの出番はほぼありません。
そもそもジャストフィットのビンディングシューズがない! ぎゅうぎゅうのタイトな靴を長く履き続けるのは苦痛です。
消去法でフラットペダルが正解です。
玉当たりを調整する
小売りのペダルは未調整です。耐久性と安全度のためにねじ類はきっちり、グリスはどっぷりです。
パーツを弄れるならば、ペダルの玉当たりを調節しましょう、ギチギチとガバガバの間のベストの塩梅を手探りで。
こんな安物のカップアンドコーンのペダルはなおさらです。要メンテです。
バラせるなら、定期的にクリーニングしましょう。
定期メンテは致命的な固着の防止に効果的です。
軽いペダルを使う
ペダルはクランク軸の延長の外周にあたります。ここの軽量化は効果的です。
これは超軽量フラットペダルです。シャフトはチタン、プラットフォームはマグネシウムです。台湾AEST製です。
ペア重量は170-175gです。ふつうのフラットペダルの片側分です。
でかいペダルを使う
ペダル交換のもうひとつの方向性がサイズアップです。でかい幅広のペダルを使うことだ。
点で踏む人には小さいペダルが有効ですが、面で踏む人にはでかいペダルがおすすめです。
ぼくみたいに幅広、べた足、スニーカー履き、立ちこぎ多用者には幅広のワイドペダルの方が高パフォーマンスです。
薄着、ピチT
気軽なフラペダライダーは普段着でライドに出かけます。ジャンパー、ジーパン、キャップ、サンダルで100kmは朝飯前です。
が、速度アップにこれはタブーです。空気抵抗は自転車の大敵です。だぼだぼジーパンやざっくりジャンパーはバタバタバタ!とはためきます。
冬場には上着を少し減らして、夏場にはピチTやピチパンを着ましょう。
引き足を使わない
ロスを減らして、効率を高めるのが理想のペダリングです。ビンディングは引き足をセミオート化して、ロスカットに大きく貢献します。
逆にフラットペダルで引き足を使うのは至難です。
片足でペダリングすると理解できます。10-12時のところがすぽっと抜けます。これはふつうです。
ここにへんな力を入れると、全体の動きの統一性を欠きます。結果、ペダリングがぐちゃぐちゃになります。
「引き足を使うぞ!」という意識や力みは逆効果です。逆にリラックスして、余分な力を抜きます。
- 引き足×
- 抜き足〇
実質、クランクの3時以降の回転はフォロースルーです。踏み込みのピークは1、2、3時の昼下がりです。
『甘噛み』という言葉が日本語にあります。いわば、3時以降の踏みは『甘踏み』です。しかも、ここの力みは逆足の踏み込みに影響します。
『引き足』という自転車用語は罪なものです。引く=綱引き=わっしょいわっしょい! ですから。
初心者が聞きかじりで直観的に「引き足」をやると、確実に力み過ぎます。「抜き足」のニュアンスの方が正解です。
硬いソールを使う
ビンディングペダルはシューズを選びます。ペダルに合致する金具付きのシューズしか受け付けません。つまり、シューズとぺダルはニコイチです。
一方のフラットペダルはフランクです。革靴、サンダル、スニーカー、ブーツ、パンプス、どんと来い!
夏場のサンダルチャリダーは気軽で爽快です。ぼくのベストお気にスタイルです。おかげでソールがすごい勢いで痛みます。
ランニングであれ、自転車であれ、硬い薄いソールは高反発でハイスピード用です。踏み踏みパワーをよりダイレクトにペダルに伝道します。
反面、足裏足首の疲れは溜まります。休憩を多くとる、マッサージをする、踏み方を変える、インソールを工夫する、みたいなところで緩和します。
逆にふにゃふにゃの柔らかすぎのシューズを使っても、へんに疲れちゃいます。パワーが逃げる、てか、靴がぐにゃぐにゃ歪む。
革靴のソールはかちかちですけど、つるつる滑ります。ブーツは重すぎです。
ハードソールのランニングシューズがフラペシューズの最速候補です。まあ、ぼくみたいな幅広甲高はランシュー選びにすら苦戦しますが。
おすすめはNIKEの RIVALシリーズやPEGASUSシリーズです。ぼくはPEGAUS 4Eを愛用します。