ソフトテール エンデュランスロードのバックステーで復活のきざし


ソフトテール、Soft tailです。直訳は柔らかいしっぽです。ちなみにSoftailはオートバイのハーレーダビッドソンのモデル名です、豆知識。

 

じゃあ、ソフトテールは自転車の機構の一種です。テイル=しっぽですから、車体の後方を指します。

 

リアサスペンションなしのオフロードバイクの総称がHard tail=ハードテイルです。一例はこんなです。

 

KONA HONZO CR TRAIL DL ver Gravel

 

ハードテイルの完成車はだいたいサスペンションフォークですが、これはバラ完の29erでして、カーボンリジッドフォーク車です。

 

こんなサスペンションフォークのクロスバイクもハードテイルの一種ですか。

 

GIANT ROAM3 ver9

 

ロードバイクよりのクロスバイクやロードバイクはとくにハードテイルとは言われません。ハードテイルバイクの対義語はフルサスバイクです。がっちんのオフロード用です。

 

コメンサルスプリーム

 

が、自転車の歴史のなかではもう一つの対義語的なシステムがありました。それが冒頭のソフトテイルです。

 


エラストマー=ゴムのショックスシステム

 

ソフトテールはMTB由来のシステムの一種でした。本家のジャンルでは2000年代前半にちらっと盛り上がりましたが、メインになりえず、歴史の影に消えました。

 

ソフトテールのMTBは市場にまったく見当たりません。選択肢はハードテイル or フルサス、27.5er or 29erです。ソフトテールの『ソ』さえが頭に浮かびません。

 

唯一の生き残りが小径車です。これは先代のミニベロです。

 

今はなき愛機ペガサス号

 

もともとはフロントサスペンションのフルサス折り畳みです。しかし、このデザインは2000年頃のなつかしのMTBに通じます。KLEINとか。すでにレトロです。現代のフルサス車とは別物です。

 

そして、このパシフィックサイクル印のリアサスはスプリングサスでもエアサスでもなく、エラストマーサスです。エラストマー=ゴムです、ゴムゴムの実です。

 

案の定、スプリングサスやエアサスよりたわみませんし、沈みません。トラベル=サスの振れ幅は極小です。エアサスやバネサスみたいに実感できません。ボヨンボヨンして遊べない。

 

逆に走りはエアサスやバネサスよりかっちりします。ソフトテール風のハードテール、ハードテール風のソフトテールですか。

 

真ソフトテールな現役バイクはKHS社の折り畳みです。

 


KHSはアメリカの中堅自転車ブランドです。オフロードよりのプロダクトです。うしろのポスト付け根の金色のところがザ・ソフトテールです。

 

こいつの機能はKHSのページにくわしくあります。ステーのしなりを必要以上に抑えるのがこの部分の役目です。

 

つまり、サスペンションてよりストッパーです。振動吸収、衝撃緩和自体はステーの役目です。ソフトテールの役割はそのステーのあばれを防ぐことです。

 

このためにKHSのフォールディングバイクのステーは細めです。おのずとフレームの素材はクロモリかチタンになります。

 

アルミフレームモデルもチェーンステーにはクロモリやチタンを使います。アルミのステーではショックの代わりのしなやかさを発揮できませんので。

 

むしろ、KHSはこのソフトテールを全面的に押し出して、専売特許のブランドアイコンみたいにしちゃいます。いまやソフトテール=KHSです。

 

最新鋭のエンデュランスにソフトテールの波

 

そんなニッチなロストテクノロジー風のソフトテールがなぜかロードバイク界へちらほら進出します。

 

最近の各ブランドのロードバイクのモデルは、

 

スタンダード

エアロ

エンデュランス

タイムトライアル

 

の4モデルです。エアロを得意にするブランドはスタンダードやエンデュランスをエアロぽくしますし、ハードロックなキャノンデールは男気の無エアロを貫きます。

 

で、ソフトテールのウェーブはエンデュランスモデルの最新鋭機にじわじわと来ます。

 

旧来のエンデュランスはロングライド用の快適モデルですが、最新のエンデュランスはロードのクラシカルレース用の競技モデルです。

 

最大の活躍の場はヨーロッパの石畳コースのレースです。ヨーロッパでは石畳の古道が珍しくありません。とくにパリ-ルーベが有名です。

 

これは大阪-奈良の暗峠の石畳です。

 

峠のゴールの茶屋前 奈良と大阪境界

 

この段差を走るのはタフです。このとき、ぼくは3インチのセミファットのチューブレスタイヤで行きましたが、石畳のでこぼこにえらくなんぎしました。

 

ふつうの細タイヤのロードでこれをずぎゃーんと走破するのはベリータフネスです。事故や怪我のもとだ。

 

そこで各社はいろんな技術を詰め込んで、舗装路のでこぼこ、ぞくにマイルド悪路に対応します。最新のハイエンドのエンデュランスはなにがしかの衝撃対策を備えます。

 

Specialized RoubaixはFuture Shockです。これはステム内蔵のバネサスです。

 

スペシャライズドルーべコンプFuture Shock

 

手首のダメージを緩和します。本格のサスフォークは重くなりますし、ロードレースのレギュレーション的に怪しくなります。

 

システム的にはキャノンデールのなつかしシステム『ヘッドショック』を思い起こさせます。あちらはステムの直下にサスが入ります。

 


こんなふうに由来はオフロード系です。じゃあ、ソフトテールです。フランスのラピエールの新型パルシウムを見ましょう。

 

 

シートポスト付け根に黒い部分があります。これがエラストマーです、ゴムゴムです。ラピエはSAT=ショックアブソーションテクノロジーと称しますが、正味変則ソフトテールです。

 

イタリアのレーシングバイクブランドのWillierのCento10NDRです。

 


こちらはステーの可変機構が写真から分かります。小さなリンク機構てふんいきです。ウィリエールは本国ではオフロードモデルをちょろっと出します。

 

PinarelloはDOGMA Kシリーズに完全なサスペンション機構を盛り込んじゃいます。電子制御サスのEDSSシステムです。

 

 

スーパーソフトテールです。オフロードのソフトテールはここまで進化しませんから、これが最新最強のソフトテールです。

 

路面のコンディションをサスが自動で感知して、0.4秒でロックとフリーが切り替わります。うーむ、ハイテクだあ。

 

もちろん、バッテリーとセンサーは必須です。電動ドライブありきです。これがネックになって、フレームの価格がクレイジーになります。

 

Dogma K10 S EDDSバージョンのフレームセットは92万です。ぶはー! 完成車じゃありません、フレームセットですよ!

 

こんなのは完全トップレース用です~。プロ用だ。アマチュアはハイエンドエンデュランスよりグラベルやオールロードに行きますわ~。そもそも石畳を超高速で走る機会がないし。

 

ラピエールのパルシウムやスペシャラのルーベが限界です。げんにうえのスペシャラのルーベの乗り心地はばつぐんでしたよ。

 

てゆう、エンデュランスロードのソフトテール事情です。ピナがやるなら、この流れがしばらく続きますねー。