自転車はほんとにいろんなところに行けますし、いろんなところを走れます。活動範囲のひろさ、臨機応変さ、小回りのよさはチャリのだいごみのひとつです。
自動車や単車はこう行きません。
行くところ、走る場所、地形や路面から自転車のおおまかなジャンルが決まります。
道路を疾駆するのはロードバイク、山道を走破するのはMTB、砂利道を散策するのはグラベルバイクなどなど。
ぼくは街乗りからオフロード、バイクパッキングまでひととおりにこなしまして、さまざまな地形と路面にでくわします。
過去のサイクリングの写真を活用して、垂涎の路面コレクションを開催しましょう、個人的なパラメーターや備考を添えて。
路面の祭典 地形の万博
自転車の地形と路面の大枠は二つです、オンロードとオフロード。スポーツバイクの系統はこれに準じます。オンロード代表がロードレーサー、オフロード代表がマウンテンバイクだ。
中間のハイブリッドなシーンには実用的なクロスバイクやアクティブなオールロードバイクがひかえます。街にはママチャリやシティチャリ、通勤通学にはアーバンコミューターです。
オールロードみたいなジャンルのMIXちゃんぽんクロスオーバーが一方にありつつも、専門ジャンルの細分化がおうせいに進みます。
比較的にコンサバなロードバイクさえがオールラウンド、エアロ、エンデュランス、TTの4種に枝分かれします。もはや、一路面、一状況ごとに専用機材が出現します。
アスファルト
自転車の基本の地形は一般道路です。国内ではアスファルトの舗装路がこれにあたります。『路地裏の砂利道』みたいな昭和ロマンスは平成以降にめっきり激減しました。
これをまともに走れないと、チャリで遊べません。路面のいろはの基礎です。ただし、アスファルト舗装路のすべてが無条件できれいではない。
旧道系、古道系の舗装路はそこそこあらくなります。とうげのあたりでは木々や落石のノイズが増える。
大型トラックや工事車両が多く通る平野部のアスファルトも一等に消耗します。
でも、日本の道路のコンディションの平均値は圧倒的に良好です。ばくだいな道路予算がありますから。おかげでガソリンが破格です、ははは。
一般道路の路面ステータスです。
- スピード:A
- グリップ:A
- しんどさ:D
ちなみに雨やウェットでランクは変動します。雨のアスファルト路面です。
- スピード:B
- グリップ:B
- しんどさ:C
雪や氷はまた別次元です。
パヴェ
ヨーロッパの各地には古代ローマ時代の石畳の道路があちこちに現存します。フランス語ではパヴェてゆわれます。
この石畳の区間を含むロードレースが『クラシック』です。有名なものはパリ-ルーベ、ツールデフランドルなどです。
国内のパヴェは希少です。観光地の装飾や神社の境内の石畳はおなじみですが、一般道のパヴェは昭和な砂利道の路地裏以上のレア路面です。
この石畳は阪奈のヒルクライマーに立ちはだかる暗峠のピークです。ゲキサカのあとにこのガタガタはこくです。
ヨーロッパのクラシックレースのパヴェはレースの前後に整備されます。一方のくらがりのこれは石畳+コンクリです。敷石が不規則でかさ高だ。本場のパヴェよりガタガタです。
- スピード:C
- グリップ:C
- しんどさ:A
ドーナツ
舗装路のしめはドーナツです。ぴんと来ない? 15度以上のゲキサカ区間で出てくるあれです、あれ。
はい、ドーナツです。でも、スイーツではありません。口の中に広がるのはビターな絶望の血の味です。地獄のポンデリング。バイバインで増えたくりまんじゅう級の脅威です。
このリング型のすべり止め付きのコンクリ路面が出てくる状況はゲキサカに限られます。おのずと加速はままなりませんし、難易度は最高クラスになります。
反面、グリップや水はけはGOODです。くるしまぎれの蛇行運転が異常にはかどります、ははは。
- スピード:E
- グリップ:A
- しんどさ:A
グラベル
グラベル=砂利道です。昨今の一大ブームでオールロードの代名詞的存在になりました。ロードやMTBのライトユーザー、他部門のアウトドアユーザーを巻き込んで、爆発的に勢力を拡大します。
やはり、海外では未舗装路の砂利道は珍しくありませんが、国内では希少品種になります。フラットなグラベルゾーンがなかなかありません。
淀川の右岸の土手上の一部がカイテキなグラベルです。
路面のふんいきは『昭和の路地裏の砂利道』です。小粒の砂利と砂礫が適度にまじります。グラベルはグラベルです。後述のダートや砂浜ともちがいます。
- スピード:B
- グリップ:B
- しんどさ:C
ダート
で、そのダートです。砂利がまじりません。路面は黄土系のこまかい砂地です。これがダートです。BMXのパークやレーシングコース、トリック系の遊び場でおなじみです。
ダート特化のオフロードバイクはまんまのダートバイクです。MTBのジャンルではDJ、ダートジャンプになります。
グラベルとダートの定義はこんなところです。
- グラベル=砂礫質、雨でぬかるまない
- ダート=粘土質、雨でぬかるむ
例のごとくダートも国内では希少な路面です。フラットなダートはわりにコンフォートです。あらいアスファルトより走り心地はマイルドです。グリップはすこし落ちる。
- スピード:A
- グリップ:B
- しんどさ:D
しかし、雨や雪でダートがマッドになると、コースのパラメーターが一変します。粘土はごっついブロックタイヤのみぞをすらたやすく埋めます。
草地
身近な未舗装路シリーズの3番手は草地です。例のごとく国内の道路事情では非常に限定的な路面です。公園や河川敷、夏場のゲレンデなどにしかありません。
マウンテンバイク乗りはそんなにぶいぶい走りませんが、シクロッサーはレース会場でたびたび遭遇します。
- スピード:B
- グリップ:B
- しんどさ:C
草地もウェットで豹変します。グリップがぜんぜん利きません。そして、水気がのちのちまで残ります。
雨の翌日や翌々日に何の気なしに草地にびゃーてつっこむと、くさポケモンをゲットできず、背中とケツにハイドロポンプを食らいます。
トレイル
オフロードの入門コースがトレイルです。自然のなかのゆるやかな未舗装の道のことです。
まあ、つまり、一般的なハイキングコースです。ハイカー、トレイルランナー、観光客、ふもとの方々、そして、ゆるいMTBerにこよなく愛されます。
おかげで都市近郊のトレイルは土日祝には混雑します。ハイカーは横ばい、MTBはじり貧ですが、トレイルランは右肩上がりです。チャリ顔負けの速度でスタスタと走っていきます。
- スピード:B
- グリップ:B
- しんどさ:B
木の根
快適なトレイルのさきに待ち構えるのが木の根ゾーンです。道幅が狭くなり、シングルトラックが始まると、路肩の樹木の根っこが途上に現れます。
- スピード:C
- グリップ:C
- しんどさ:S
木の根は見た目以上に難所です。ライン状の起伏がタイヤの方向をたやすく変えてしまいますから。実際、根と根のあいだはちょっとしたみぞです。止まると動けない。
さらに雨で凶悪度がグレードアップします。濡れた根っこをうかつに踏むと、すってんころりんします。方向次第で壁ドン、でんぐりがえり、崖ごろごろの三択になります。
岩場
MTBのはながたセクションが岩場です。
荒々しい山の本性が牙をむきます。上りも下りもハードです。とくにダウンヒルはおのれのメンタルとの勝負です。ビビったら負け。
- スピード:C
- グリップ:C
- しんどさ:S
実際問題、崖の途中でブレーキして、ずるずるしてしまうのが最も危険です。一気に行くか、最初から降りるか。GOGOGOGOGO!!!!!
岩場も雨でつるつるになります。
砂浜
ハードな路面は高いところに集中しますが、平野部に最強クラスのセクションがあります。はい、砂浜です。
砂浜で止まってしまうと、ぜんぜん身動きを取れません。タイヤが砂に埋もれて、足回りが激重になります。脱出方法は押し歩き&跳び乗りです。単純トルクではパワーが足りない。
2-3インチのオフロードタイヤさえがそんなです。まともにらくらく走れるのはファットバイクのみです。
- スピード:E
- グリップ:E
- しんどさ:S
ただ、いくらはでに落車してもぜんぜんダメージを受けません。転げて遊べます。
アイスバーン
冬季限定の路面がアイスバーンです。たまたま2017-2018シーズンの寒気はこの数年で最強クラスの冬将軍でした。
おかげでとくに意図せず、例年のごとくとうげに向かってしまい、アイスバーンのくだりに迎えられます。で、この光景に出くわします。
ヒィ~!
クロカン用のブロックタイヤがぜんぜんグリップしません。ブレーキして、ロックしても、つるつる滑って行きます。もうスケートだよ、あっはっは!
- スピード:E
- グリップ:F
- しんどさ:SS
水辺
オンローディは習性的にきれいな方へきれいな方へとかじを取ります。一方のオールローディは本能的にけわしい方へけわしい方へと吸い寄せられます。
とすると、半年にいっぺんくらいの割合で浅瀬や水辺が目の前に立ちはだかります。
こういう水辺にざばって突っ込むと、流動体の抵抗力を痛感できます、「ああ、空気って軽かったんや・・・」て。
ディープホイールが横風でスコーンと持って行かれるてよくゆわれますが、川の流れの持って行き力はその比じゃありません。まじで10倍です。
- スピード:E
- グリップ:E
- しんどさ:SSS
B4C的路面コレクション2018でした。