Gravel、グラベルは英語で「砂利」のことです。”Gravel Road”は文字通りに砂利道のことです。ここを走る自転車がグラベルバイクだ。近年のスポーツバイクのトレンドです。
グラベルに近いニュアンスに”Dirt” ダートがあります。違いは路面の質感です。小雨でぬかるむ粘土質な路面がDirtで、ぬかるまないのがGravelです。Dirt=粉砂糖、Gravel=ざらめですか。
もっとも、実際の道路はグラベルとダートのミックスですけど。じゃあ、これはどっちだあ?

うん、6:4でグラベルです。林間コースの根っこや落ち葉や枯れ枝、植物系のノイズはわりに大きめです。ごろごろ、ぐらぐら、じゃあ、グラベルですわ、きっと。
舗装路のがた道も一種のオンロードグラベルです。これは猪名川サイクリングロードのグラベったポイントです。箕面ダム、箕面の滝の終点がここですね。

大きい河川敷の道にはたびたび工事車両が入ります。そういうところの路面はわりに荒れます。
つまり、グラベル=マイルド悪路というところでしょう。未舗装路ばかりが悪路じゃありません。がたがた路面、びきびきアスファルト、変な溝、段差、グレーチング、マンホール、ポイ捨てごみ、通勤路には障害物がいっぱいだ!
ぼくの長年のやっつけ調査で大阪市のグレーチングのすきまは平均26mmであることが判明しました。

これを旧式の23Cロードタイヤで通るのはひやひやものです。
またグラベルバイクはオンロード系のドロップハンドルですが、ダートバイクはトリック系のフラットバーorライザーバーです。おっきめのBMXみたいなやつです。
グラベルバイクは遠乗りやツーリングに向きますが、ダートバイクはショートコースやパーク用です。性質が真逆です。
グラベルバイクの用途 in JAPAN
グラベルバイク、アドベンチャーバイクの流行に乗って、自転車ブランドがさまざまなモデルを出します。オンロードとオフロードを両立するところはおおかたハイブリッド・オールロード系のニューバイクを投入します。
ところで、グラベルバイクの基本的なスタイルは
- ドロップハンドル
- ディスクブレーキ
- リジッドフォーク
- 700cホイール
ホイール表記は27.5インチや29erでなく、「700C」や「650C」です。サスペンションは基本的にありません。ハードテイル、リジッドフォークです。独自の衝撃吸収の工夫やシステムはありますが。
じゃあ、系譜はロード系です。てか、シクロクロスにそっくりです。
シクロとグラベルはよくよくごっちゃになりますが、シクロは競技用・トレーニング用で、グラベルはホビー用・ツーリング用です。
グラベルはスポーツバイク的にはアンオフィシャルなフリーダムなバイクです。「これこれこういうのがグラベルである」というアカデミックな定義はとくにない。「グラベルバイク」はあくまでスタイル、カテゴリ、コンセプトです。
一方、シクロクロスはフォーマルなバイクです。UCIの大会では機材の規定レギュレーションがきちんとあります。ドロップハンドルのみ、ハンドル幅50cm以下、タイヤ幅33mmまで、とかです。
さらに乗車のスタイルがぜんぜん別次元です。シクロクロスはショートスタンスのコースを周回する競技です。一試合の競技時間は30分から1時間です。しかも、コース内でチャリを降りる、担ぐ、押すをふつうにします。チャリ実走時間はさらに目減りします。
これはシクロクロスレース名物の競技後の丸洗いです。
The on-site bike wash is popular at the @navanroadclub Leinster CX championship’s pic.twitter.com/DthkkcqHDb
— HollywoodPics (@Hollywood_Pict) 2016年12月4日
また、由来が違います。シクロクロスは20世紀初頭のヨーロッパ生まれ、グラベルは21世紀初頭のアメリカ生まれです。ざっと100年の隔たりがあります。
しかし、現物のシクロバイクとグラベルバイクは見た目から仕様からパーツからそっくりさんです。ルックスやカタログで見分けるのは至難のわざです。
おおよそにグラベルのタイヤの方がシクロのタイヤより太めです。シクロのタイヤ幅は28-33前後ですが、グラベルは30-50前後です。
そして、グラベルには便利グッズやアクセサリ用の取り付けダボ穴が多めに配置されます。ドロヨケ、キャリア、スタンドの三種の神器の装備が許されます。
もしか、ピュアロードレーサーにそんな小物を取り付けようなら、イシキタカイ系のうるさがたチャリダーからBANされちゃいますよ!
このような使い勝手の良さからグラベルバイクは全天候型の通勤用コミューターバイクやツーリングバイクに向きます。雨の日や雨上がりの路面にキャリパーブレーキはちと不安ですし。
Cyclo or Gravel? と問われれば、ぼくはグラベル系を選びます。理由はトレンディーさと目新しさです、そして、遊び心とミーハーさです。
とまあ、とにかく、日本でのグラベルやアドバイクの活躍の場は本来の用途から外れます。この日本は巨額の道路予算でかっちかちに固められたアスファルトコーティングアイランドですから。
グラベルバイクが本来の力を発揮するグラベルロードが絶滅危惧種です。稀少なむき出しロードは私道やいわくつきのとこでしょうね。最後の正しいグラベルは山です。かといって、ドロップハンドルで山行きはハードです。
平地の長めのグラベルは国内にはもうありませんわ。じゃあ、やっぱし、高速通勤用、現代のツーリング用です。機能的にはオーバースペックです。
が、スポーツバイクの本来の用途をフルに発揮できる人は能力的に環境的にひとにぎりでしょう。オーバースペックてのは否定の根拠にはなりません。
グラベルバイク用タイヤを買ってみた
チャリのトレンドはグラベル、アドベンチャー、オールロード、そして、e-bikeバイクです。
個人的にe-bikeは注目株ですが、アシスト規制や電波法が頭痛ネックです。法がらみの問題はなかなか進展しません。日本にE-bikeの波が来るのは2020年以降でしょうね。
で、グラベルバイク用にいろんなパーツがほいほい現れますが、そのなかで専用タイヤがめざましく出ます。この数年でタイヤ幅がどんどん広がって、40cや50cに届きます。もちろん、フレームのクリアランスが前提です。
定番はパナレーサーのグラベルキングです。
40cはグラベルタイヤ的にはやや太めで、MTB的にはちょっと細めです。
おつぎがシュワルベジーワンです。G=グラベルのGです。2017モデルです。で、この卓球ラケットのラバーみたいなパターンに惹かれて、MTB用の2.35インチのものをポッチしちゃいました。到着が楽しみです。
同パターンのグラベル用の30前後のサイズもあります。グラベルタイヤの新商品はこれからより熾烈な競争になりますね~。太さとブロックパターンの組み合わせでバリエーションが無数に増えます。タイヤ屋の腕の見せ所です。
で、はい、実物がCRCから届きました。

左の小箱のやつです。トカゲ! てか、まんま卓球ラケット!
サイズは60-622=29erの2.35インチです。手元のはかりの実測値は480gです。軽い! チューブレスで使えば、軽く出来ますね。