大阪は兵庫、京都、奈良、和歌山と接します。いずれが『おとなりさん』ですが、距離感はまちまちです。
北大阪人のぼくの感覚では神戸や京都は近所です。阪急電車の特急で十三からびゅーんと行けます。
対照的に奈良と和歌山はちょっとした異邦です。近鉄と南海やないか! 実際に土地勘がありません。
で、チャリで遠出するようになっても、京都や神戸ばかりに行って、奈良と和歌山にはとんと向かいません。カオスな大阪市内中心部の縦断がなんぎですから。
今回、はじめての阪奈サイクリングにチャレンジします。ルートは国道308号線です。
自転車で奈良へ
出発点はいつもの神崎川です。
気温はそこそこ、風は微風、天気は晴れ、サイコーサイキョーのサイクリング日和です。
今日の装備はお財布、スマホ、パンク修理セットのチャリンコ三種の神器とかっちかちに凍らせたウーロン茶 in キャメルバックのポディウムです。
最短快速コースで上新庄まで行って、淀川を渡ります。
で、橋を渡って城北公園に下りると、えらい人手に出くわして、出鼻をくじかれます。なんかのお祭りのようです。
国道308号線へ
ここからまっすぐ南下して、ここまで来ます。この左右に横断するのがかの有名な国道308号線です。奈良と大阪を結ぶ下道です。
この付近はまだぜんぜんふつうです、まだね・・・
大阪市内から生駒山のふもとまでざーっと一直線に進みます。でっかいヤマダ電器でトイレ休憩を取ります。
生駒のふもとへ到着
ラグビーでおなじみの花園を越えると、ついに生駒の山のふもとへ到着します。
この先の踏切からほんの最初の区間はゆるい上りです。ちょっと拍子抜けします。でも、そんな余裕はせいぜい3分です。のっけからけっこうな坂が来ます。
周りはまだ住宅街ですが、路面にはすでに滑り止めのコンクリ舗装です。この丸型のスレッドが酷道308号線の基本状態です。
早速、足に限界を感じます。中途半端なギアではいまにもへこたれそう。ならば、11速の42Tギアを使わざるを得ない!
ふつうの街乗りではMTB用のローの出番はほぼありません。でも、今日の主役はこのでっかいギザギザくんです。
人里が遠ざかり、山の気配が色濃くなると、恐ろしいケモノが牙をむきはじめます。くま? いいえ、でっかいみぞです。
セミファットの3インチタイヤがみぞにすっぽり収まります。これが定期的に路面を切り裂きます。ロードやクロスの細タイヤはスネークバイトのえじきです。
傾斜はきつくなりこそすれ、一向に緩くなりません。ずーーと上りです。きつい! はやばや胸が息苦しくなり、大量の汗が噴き出します。
「11速で上れないなら、歩かざるを得ない!」
はい、ヒルクライムはそうそうに終了しました。押し歩きハイキングモードでてくてく上ります。こういうときにこそフラットペダルとスニーカーが活きます。
日本一のゲキサカ暗峠
308号線のハイライト・・・いや、逆です、ディープダークネスだ。それは『暗峠』です。読みは『くらがりとうげ』です。まんまのダークネスヒルです。
箱殿の交差点から2km、山道の入り口から1kmの鳥居です。
はい、国道です。
番号標識が下三角=国道のしるしです。国道マニアには『おにぎり』のあだ名で愛されます。
魔のヘアピン37度
はい、来ました。有名なヘアピンカーブのところです。チャリダーの目の前が絶望の暗闇に包まれます。
これがおおよそのリアル角です。正味、このカーブのイン側はむりです。アウト側はまだましです。
弘法のお堂で一服
ころあいに弘法大師のお堂とお水があります。坂のきつさのピークはここで終わります。
全国のチャリダーの安全と無事、そして、世界の平和を祈りましょう。
が、コンクリ舗装の坂はまだまだ続きます。くらがりの通常モードがほかの坂のピークです。
ゴールはとうげの石畳
おお、峠の茶屋が見えた! ゴール!
と、にわかにものすごい石畳の道に迎えられます。車体がぼよんぼよんします。はぴー、ここはパリ-ルーベですか? ※阪奈です
茶屋の前が大阪と奈良の境目です。峠の石畳は由緒正しいものです。江戸時代前期には参勤交代に、後期にはお伊勢参りの参道に使われました。
ダウンヒルは爽快! ブレーキ次第で
この茶屋から奈良が始まります。南生駒までは下りです。道幅が広くなって、視界が開けます。格好のダウンヒルコースです。
でも、傾斜がきつすぎます。キャリパーのロードにはデンジャラスでしょう。ぼくのオフロード用の油圧ディスクブレーキでちょうどぐらいです。
正味、308号線の上りはハード、下りはデンジャラスです。いずれがタフネスな道のりです。柏原市から25号線経由で行くのが安全です。
南生駒の小さな町はすぐに過ぎ去ります。ここは谷あいの町です。じゃあ、町の終わりは上り坂になります、ぎゃふーん。
でも、くらがり峠を乗り越えたこのぼくにこんな広い緩い舗装路はちょろいもんです。むしろ、こんな道は上りやなくて、下りやで?! ※上りです
308号線は市街地からふたたび山道へ入ります。そして、これは国道です。ふつうに追い越し車が来ますし、対向車が来ます。
セダン2台がぎっりぎりのスレスレです。このちょくちょくの対向車と激坂のおかげで順路の自動車の速度はゆっくりです。下りですぐに追いついちゃいます。追突しないように注意しましょう。
この生駒-奈良の矢田丘陵のピークは榁木峠、『むろのきとうげ』です。こちらもけっこうな難所です。
308号線ではくらがり=大峠、むろの木=小峠ですが、その小峠がよその大峠です、まじで。
てか、このルートで奈良まで行くのは少数派だあ? たしかに二つのヒルクラはEXハード、ダウンヒルはリアル・サバイバルモードです。
奈良市内へ 東大寺と鹿
大きな第二阪奈有料道路が見え始めると、平地の気配がぐっと濃厚になります。
奈良市内です。国道308号線が仏の心を取り戻しました。
これをひたすらに直進すると、ちょうどJR奈良駅前に到着します。
駅前スタバのかいわいから観光客や地元民で歩行者がぶわっと増えまくります。
路上にこんな標識があります。
ほっつき歩くのはヒトサマだけじゃありません。シカサマも我が物顔でふらふらします。奈良公園の鹿は神の使い、天使です。トキやオオサンショウウオと同じく天然記念物です。
榁木峠ローディの消失とくらがりDH
くらがり峠の名前の由来は早々に暗がるからです。現実問題、あそこを日没後に通るのはベリーデンジャラスです。たいまつなしでなぞダンジョンに入るようなものだ。
基本的に奈良→大阪のルートは大阪→奈良のルートより楽ちんです。まあ、ふつうにきつい山登りハイキングです。
本日最初の同士を発見します。
おお、友よ! すこし元気が出てきました。リズムを合わせて、えっちらおっちら上ります。気がまぎれます。
が、このロード乗りはむろの木峠の山頂でふわっと消えました。ええ!? どこに行ったの? 幻だったかあ?
この神秘体験も帰りの激坂二段構えの前に掻き消えます。そして、茶屋が見えました。でも、本日の営業は終了しました。
そもそもぼくの心の中のケチくさナニワデビルがお財布の口を容易に開かせません。本日のサイクリングの費用は184円です。
下りのヘアピンです。
フォークの角度がヤバヤバです。KEEP LEFTを厳守するなら、ここを通らなきゃなりません。ぶひゃー!
ドロッパーポストをいちばん下にべったんして、ケツを目一杯にずりさげて、リアブレーキを多用して、急場をしのぎます。オフロードの乗り方や・・・
のこりの道のりは楽しい嬉しいヒャッハーな下りです。29erの太タイヤはよゆうでヒャハれます。でも、ローディはどう下る?
暗峠まとめ
- 大阪側は地獄
- 奈良側はプチ地獄
- 上りは地獄
- 下りはメガ地獄
- 溝に注意
冷やかしで行く人はピークの石畳と下りのリム打ちパンクに注意しましょう。