- 総合評価 4.5/5 ★★★★☆
- スニーカー以上ランシュー未満
- 軽くておしゃれ
ニューバランスらしいおおらかなサイズ感のNEW BALANCE RALAXAの第一印象は上記の通りです。
このフィットネスウォーキングスニーカーの詳細を以下で解説します。
NEW BALANCE RALAXAの基本情報
欧米のアパレルメーカーのシューズは日本人には細身でタイトです。あちらの標準的な足幅はC~Dしかありません。
憧れのプーマ、アディダス、コンバース、ナイキは夢のまた夢です。
その窮屈な欧米シューズのなかでニューバランスはおおらかなサイズ感と万人向けのポピュラーさで幅広甲高ユーザーの絶大な支持を得ます。
ミズノやアシックスにはないポップさがNBにはある。
前回のNBのレビューはトレイルランニング用のMT410でした。あれはUSEDですが、今回のRALAXAは新品、そして初耳のモデルです。
フィットネスウォーキングシューズ
ニューバランスの売れ筋は880や990などの連番のモデルです。
本家アメリカ製のUSモデルやイギリス製のUKモデルは憧れの高級スニーカーで、日本発のランシューNB HANZOシリーズなどもあります。
で、今回のRALAXAはそんな定番のラインから外れて、独自路線の新興モデルになります。
公式ページの区分は『ウォーキング&アウトドア』内の『フィットネスウォーキングシューズ』です。
モデル名 | NEW BALANCE RALAXA |
定価 | 8690円(税込) |
アッパー素材 | 合成繊維 |
ソール素材 | ゴム底 |
製造国 | インドネシア |
備考 | 標準幅EE、幅広4E |
つまり、このNB RALAXAはランニングシューズではありません。
実際にこれで走ってみると、些細な不満を感じます。適切な使用シーンは歩き以上、走り未満です。
PU COMFORTとCUSH+
税込8690円の希望小売価格のようにNEW BALANCE RALAXAは最廉価の安っぽいシューズではありません。テクノロジー入りのパーツが投入されます。
ララクサシリーズはすでに数バージョンが展開しますが、共通項はPU COMFORTインソールとCUSH+アウトソールです。
単語の印象のようにどちらもクッション・快適型の素材です。
クッション型のコンセプトと裏腹にシューズの重さは標準的な4Eのランニングシューズより軽量です。
使用者の身体情報
ぼくの自己紹介に替えて、自足紹介をしましょう。
性別 | 男性 |
体系 | 中肉中背 |
素足サイズ | 25.5cm |
スニーカーサイズ | 26.0-26.5cm |
素足幅 | 11cm |
スニーカー幅 | 4E |
土踏まず足囲 | 26cm |
母指球足囲 | 27cm |
足型 | エジプト・ギリシャ型 |
土踏まずの足回りが26cm、母指球の足回りが27cmです。とにかく甲のボリュームが縦サイズの25.5cmを上回ります。
これが典型的な幅広甲高です。ジャストフィットよりややゆるめのサイズ感が好みです。26.5cmの4Eがファーストチョイスです。
NEW BALANCE RALAXAの特徴
上述のようにNEW BALANCE RALAXAは『フィットネスウォーキングシューズ』です。ランニングシューズではありません。
散歩、ウォーキング、軽い運動には向きますが、高負荷のスポーツには向きません。競技用シューズではない。
逆にデザインが現代的でスマートでおしゃれです。シームレスなアッパーとシックなカラーは街履き、普段使いに良く合います。
ちなみに今回の実物のカラーは『カーキ』です。むしろ、色味はモスグリーンですが。
ヘザーメッシュアッパー?
NEW BALANCE RALAXAのアッパーは『柔らかなヘザーメッシュアッパー』です。これは通販サイトの記載にあります。
さて、メッシュはおなじみですが、ヘザーは目新しいワードです。
“heather”の直訳はギリュウモドキです。これは植物の低木ヒースのことです。
ヘザーはこの葉の色の季節ごとの変化に由来して、霜降り状のカラーパターンを意味します。和名は杢色(もくいろ)です。
上の写真のように単色のベタ塗りメッシュとは異なる面白い風合いが出ます。
裏地はしっかりキャンパスシューズ風
NB RARAKXAの表地はこの柔らかなヘザーメッシュですが、裏地はしっかりめの素材です。
ゆえにこのシューズのアッパーはランニングシューズのメッシュアッパーのようには広がりません。
ランニングシューズ > ウォーキングシューズ > スニーカー、キャンパスシューズ
アッパーの伸縮性はこの順番です。
徒歩では接地時の爪先部分の負荷はそれほど大きくありません。足も大きく変形しない。
必然的にシューズのアッパーの伸縮性=変形率もそれほど必要ではない。防水タイプのムーンスター M196などではこの傾向がより明らかです。
一方、トレイルランニングシューズはアッパーのつま先部分は非常におおらかでゆったりです。
トレイルランナーはオフロードの下り坂をスピーディに駆け降ります。爪先の負荷は平地のランニングよりハードです。アッパーの伸縮性がより重要です。
で、NEW BALANCE RALAXAのコンセプトは『フィットネスウォーキングシューズ』です。ランニングの文字はありません。
アッパーの広がりの少なさがそれを裏付けます。
具体的には小指側の当たりがややストレスフルです。接地時に小指の外側がアッパーの裏地に押される。
快適に走れるのはせいぜい5kmまでだ。長距離では靴擦れの心配があります。
このように素足で履くと、シューズの特性をダイレクトに感じられます。このララクサの履き心地はスニーカー・キャンパスシューズ風です。
また短所は長所ですから、アッパーの耐久度や型崩れのしにくさはランニング系のメッシュアッパーより上です。防水もそこそこ。
異常に柔らかいインソール PU COMFORT
NEW BALANCE RALAXAの説明で最初に出て来るテクノロジーが”PU COMFORT”のインソールです。
特徴はその異常な柔らかさです。上の写真のように壁に立て掛けるのが一苦労です。ほとんど自立しない。
PUMAのSoftForm+はスポンジのような肌触りですが、このNB PU COMFORTは低反発ウレタンのような手応えです。
ぐにゃんぐにゃん。ぼくの手持ちのシューズの中では最も柔らかいインソールです。
他方、甲側のアッパーの質感はスニーカー寄りです。履き心地のちぐはぐさが少し気掛かりです。まあ、このギャップは靴下でぼやけますが。
あと通気性はそんなによろしくありません。アッパーの中はメッシュのランシューより少し蒸れます。
シューズのタグにインソールのミニサンプルが付きます。つまり、これがRALAXAのイチオシ素材ですね。
特徴的なヒール
NEW BALANCE RALAXAのアッパーの構成はツーブロック方式です。
爪先から土踏まずのアーチまでが例のヘザーメッシュで、アーチの後ろからヒールまでがライクラ風の艶っぽい生地です。
表地には植物のツタのような有機的なひだがあります。
このような非実用的な遊びのデザインは5000円台の安価なランニングシューズにはまずありません。そして、この部分もつるペタのシームレスです。糸目が皆無だ。
ヒールの硬さや浅さは標準的です。
ハイグリップなアウトソールCUSH+
RALAXAの二つ目の売りがCUSH+です。こちらはアウトソールのテクノロジーです。
ただし、このシューズのミッドソールとアウトソールの境目はあいまいです。靴底の大部分は白いミッドソールです。
CUSH+のプリントは白い部分のサイドにあります。爪先とヒールのアウト側の黒い部分が本来のアウトソールでしょう。
が、これは部分的な補強の域を出ません。
この白いCUSH+の手応えはゴム系でなく、EVA系やウレタン系です。
これが意外にハイグリップで、濡れたマンホールや溝の蓋をしっかり掴みます。安物のごつごつしたゴム底より安心安全です。
接地感は「ぎゅっぎゅ」という感じです。
丈夫な発砲スチロールのような素材の性質からノーカバーの剥き出しのCUSH+ソールの寿命は長くありません。
アスファルトでがりがり削れて、消しゴムみたいにぽろぽろ崩れます、ぼくの推測では。
で、その予防のためにヒールの外と爪先が黒い補強でカバーされます。ソールの消耗はこの二部分から始まりますからね。
つまり、RALAXAのアウトソールは『部分的に補強されたミッドソール』と言えます。
インソールのPU COMFORTとの相乗効果でクッション性はばっちりです。
やたら軽量
クッション系の幅広シューズは容積と素材のせいで重くなりがちです。
防水アッパーのシューズなどは300gを軽くオーバーします。標準的な26.0cm、4Eのランニングシューズは250~300gです。
ところが、このNEW BALANCE RALAXAは見た目やコンセプトに反して、非常に軽量です。26.5cm、4Eの片足重量が何と227gしかない。
この軽さの理由はアウトソールのゴム部分の少なさとアッパーの前部の薄さでしょう。
NEW BALANCE RALAXAのまとめ
『おしゃれで、ハイグリップで、クッション型で、軽量』というニューバランスララクサはなかなか前衛的なシューズです。
機能面とデザイン面が高いバランスで釣り合います。
難点はアッパーの甲の部分の広がりの悪さですか。まあ、シューズのジャンルがランニングシューズじゃありませんしね。
- 価格:3
- ブランド:4
- デザイン:5
- 性能:3
- 機能:5
- 幅広甲高:4
- トータル:4.5 ※走らないなら
セミ一体型のミッドソール=アウトソールの耐久度は不安ですが、激しいシーンはそもそも用途外です。
街履き、普段使い、ウォーキングに使うのがベターでしょう。